関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうも関ヶ原です。
最近TOEICの勉強してたので更新出来ませんでした。
すいません。
TOEICが終わり、次はITパスポートの試験になるわけですが、合間合間に作品の方書いていきたいと思います。
良い文章がひらめけば、勉強中断しても別に良(ry
こんな人間にならないよう、皆さんはメリハリをちゃんとつけましょうね!
どっちつかずじゃ出来ることも出来ませんので(汗
……それを分かっててやってしまう私は本当にダメ野郎 \(^〇^)/
関係ない話なりますが、藍蘭島面白過ぎる。
まち可愛いよまち。
でもしのぶも……っ!
しのぶも可愛い……っ!!
……貴重なお客様前に完全にアウェイな話をしてしまいました。
本当にダメだなぁ……(遠い目)
最近TOEICの勉強してたので更新出来ませんでした。
すいません。
TOEICが終わり、次はITパスポートの試験になるわけですが、合間合間に作品の方書いていきたいと思います。
良い文章がひらめけば、勉強中断しても別に良(ry
こんな人間にならないよう、皆さんはメリハリをちゃんとつけましょうね!
どっちつかずじゃ出来ることも出来ませんので(汗
……それを分かっててやってしまう私は本当にダメ野郎 \(^〇^)/
関係ない話なりますが、藍蘭島面白過ぎる。
まち可愛いよまち。
でもしのぶも……っ!
しのぶも可愛い……っ!!
……貴重なお客様前に完全にアウェイな話をしてしまいました。
本当にダメだなぁ……(遠い目)
どうもこんばんわ、関ヶ原です。
新作が出来ました。
ちょっと早めの更新に自分でも驚きです。
今回のネタは特になく、本当フィーリングで書いてます。
夜中、部屋の窓を開けて浮かんだ小説なので……。
アイカは今回出てこないのですが、設定上の関係で部類をあやさきけにさせていただきました。ご了承ください。
所々不明な点があるかもしれませんが、もう皆さん慣れましたよね(笑
早く自信をもって紹介出来る小説を書きたいです……道は遠いなぁ。
そんな感じなのですが、良かったら読んでやってください。
ではどうぞ~ ノシ
『九月夜』
虫の声につられるように、部屋の窓を開けてみた。
蒸し暑い風ばかりが入ってきた八月に比べ、開いた窓の外からは、涼しげな虫の声と、肌寒さを感じるくらいの涼しい夜風が入ってきて私の頬を撫でる。
「随分と涼しくなったわね……」
私の呟きは、虫の声に紛れて消えた。
それが少しだけ、面白い。
「ん? どうしたのヒナギク」
私だけにしか分からないことで小さく笑っていると、ハヤテが話しかけてきた。
寝室は一緒なのだけど、まだ起きていたらしい。
「ハヤテ……まだ起きてたんだ」
「まだ十二時だよ?」
「『もう』の間違いじゃなくて?」
「執事の夜は遅いんだよ」
「あら? 執事の妻の夜は早いけど?」
「そう言っておきながら、まだ起きてるじゃないか」
私の言葉にハヤテは苦笑を浮かべると、窓枠に身体を寄せる私の隣に来た。
「で? 何一人で笑ってたの?」
どうやら私の笑い声を聞かれてたらしい。
ちょっぴり恥ずかしい。
「いや……大した理由はないんけどね」
「そうなの?」
「ええ」
大した理由はないけれど、つまらない理由はあった。
それをハヤテに言っても、ハヤテは分かってくれるのだろうか。
言うか言うまいか迷って、ハヤテを見る。
「でも……本当に涼しくなったよね。虫の鳴き声も綺麗だ」
「ええ、その通りだわ」
私と同じように窓に目を向け、私の感じた夜風を、ハヤテも感じているのだろう。
「…………」
その横顔を見て、つまらない理由を口に出そう、と思った。
「……あのね、ハヤテ」
「ん?」
「さっき私が笑った理由なんだけど」
聞いてくれる?
そんな視線をハヤテに向けると、いいよ、とハヤテは微笑んだ。
「本当につまらないことなんだけどね」
「うん」
「私、窓を開けて『涼しい』って言ったのよ。笑う前に」
「それで?」
「その私の声がね、虫の声より小さかったから、思わず笑っちゃったのよ」
それでお仕舞い。
本当につまらない理由。
人間よりもちっぽけで儚い存在である虫たちが、私の呟きよりも大きな声で鳴いていることが、なんだか私には面白かったのだ。
「あんなに小さいのに、鳴き声だけは私よりも大きいなんて面白いじゃない」
……いや、違う。
「ね、ハヤテもそう思わない?」
「……そうだね」
本当に可笑しいと思ったのは。
「でもね、もっと可笑しいのはね」
小さな身体を精一杯揺らして、自分の声よりも大きな音を奏でる。
なんだかそれを、羨ましいと思ってしまった自分だった。
「私、虫に『負けた』って思っちゃったのよ」
いくら負けず嫌いでも程度ってものがあるでしょ、と私は苦笑を浮かべた。
「それが馬鹿らしくてね、つい笑っちゃった」
「へぇ……。でも」
私の言葉にハヤテは納得したように頷くと、
「良いんじゃないかな、別に負けても」
そう言葉を続けた。
「え?」
「確かにさ、虫に負けたらまぁ屈辱的な気持ちにはなると思うよ。誰でもさ」
「いや……そこまでは言ってないけれど」
「まぁいいから聞いて」
私の言葉には答えず、ハヤテは私の肩に手を置いて、視線を再び窓の外へと向ける。
「でも、さ」
その仕草に年甲斐もなく胸を高鳴らせていると、ハヤテは私の方を向いて、言った。
「こんなに綺麗な音に負けるなら、負けることも別に悪くないんじゃないかな」
「…………」
考え方の違いもあるだろうが。
「ヒナギクはそう思わない?」
本当にどうしてこの人はそういう事を、そんな顔で言えるのだろうか。
「……えぇ」
そんな顔で言われたら、頷くことしか出来ない。
「本当にハヤテって……」
「ん?」
「なんでもない」
本当に、私の夫は最高だ。
こうして結婚できて本当に幸せだと思う。
「それよりハヤテ、もう少し窓開けててもいい?」
でもその言葉だけは、言わないでおこう。
返しの言葉でどんな恥ずかしいことを言われるか知ったものじゃないから。
だから虫の声よりも小さな、もっと小さな私の心の声でだけ言っておくことにする。
「僕は全然構わないよ」
「良かった」
それよりも、今は。
私は身体をハヤテに預けながら、言った。
「もう少しだけ、この虫たちの声を聞いていたいから」
「……その意見には凄く同感」
意識を外へ向けると、虫たちの涼やかな声が再び耳に入ってきた。
思わず羨んでしまうくらいの、綺麗な音。
その音をその身で感じながら、私は思う。
この音に負けるのならそれは……それは確かに悪くない気分だと。
すっかり涼しくなった九月の夜。
虫たちの小さな演奏会を聞きながら、私とハヤテの静かな夜は更けていく。
End
新作が出来ました。
ちょっと早めの更新に自分でも驚きです。
今回のネタは特になく、本当フィーリングで書いてます。
夜中、部屋の窓を開けて浮かんだ小説なので……。
アイカは今回出てこないのですが、設定上の関係で部類をあやさきけにさせていただきました。ご了承ください。
所々不明な点があるかもしれませんが、もう皆さん慣れましたよね(笑
早く自信をもって紹介出来る小説を書きたいです……道は遠いなぁ。
そんな感じなのですが、良かったら読んでやってください。
ではどうぞ~ ノシ
『九月夜』
虫の声につられるように、部屋の窓を開けてみた。
蒸し暑い風ばかりが入ってきた八月に比べ、開いた窓の外からは、涼しげな虫の声と、肌寒さを感じるくらいの涼しい夜風が入ってきて私の頬を撫でる。
「随分と涼しくなったわね……」
私の呟きは、虫の声に紛れて消えた。
それが少しだけ、面白い。
「ん? どうしたのヒナギク」
私だけにしか分からないことで小さく笑っていると、ハヤテが話しかけてきた。
寝室は一緒なのだけど、まだ起きていたらしい。
「ハヤテ……まだ起きてたんだ」
「まだ十二時だよ?」
「『もう』の間違いじゃなくて?」
「執事の夜は遅いんだよ」
「あら? 執事の妻の夜は早いけど?」
「そう言っておきながら、まだ起きてるじゃないか」
私の言葉にハヤテは苦笑を浮かべると、窓枠に身体を寄せる私の隣に来た。
「で? 何一人で笑ってたの?」
どうやら私の笑い声を聞かれてたらしい。
ちょっぴり恥ずかしい。
「いや……大した理由はないんけどね」
「そうなの?」
「ええ」
大した理由はないけれど、つまらない理由はあった。
それをハヤテに言っても、ハヤテは分かってくれるのだろうか。
言うか言うまいか迷って、ハヤテを見る。
「でも……本当に涼しくなったよね。虫の鳴き声も綺麗だ」
「ええ、その通りだわ」
私と同じように窓に目を向け、私の感じた夜風を、ハヤテも感じているのだろう。
「…………」
その横顔を見て、つまらない理由を口に出そう、と思った。
「……あのね、ハヤテ」
「ん?」
「さっき私が笑った理由なんだけど」
聞いてくれる?
そんな視線をハヤテに向けると、いいよ、とハヤテは微笑んだ。
「本当につまらないことなんだけどね」
「うん」
「私、窓を開けて『涼しい』って言ったのよ。笑う前に」
「それで?」
「その私の声がね、虫の声より小さかったから、思わず笑っちゃったのよ」
それでお仕舞い。
本当につまらない理由。
人間よりもちっぽけで儚い存在である虫たちが、私の呟きよりも大きな声で鳴いていることが、なんだか私には面白かったのだ。
「あんなに小さいのに、鳴き声だけは私よりも大きいなんて面白いじゃない」
……いや、違う。
「ね、ハヤテもそう思わない?」
「……そうだね」
本当に可笑しいと思ったのは。
「でもね、もっと可笑しいのはね」
小さな身体を精一杯揺らして、自分の声よりも大きな音を奏でる。
なんだかそれを、羨ましいと思ってしまった自分だった。
「私、虫に『負けた』って思っちゃったのよ」
いくら負けず嫌いでも程度ってものがあるでしょ、と私は苦笑を浮かべた。
「それが馬鹿らしくてね、つい笑っちゃった」
「へぇ……。でも」
私の言葉にハヤテは納得したように頷くと、
「良いんじゃないかな、別に負けても」
そう言葉を続けた。
「え?」
「確かにさ、虫に負けたらまぁ屈辱的な気持ちにはなると思うよ。誰でもさ」
「いや……そこまでは言ってないけれど」
「まぁいいから聞いて」
私の言葉には答えず、ハヤテは私の肩に手を置いて、視線を再び窓の外へと向ける。
「でも、さ」
その仕草に年甲斐もなく胸を高鳴らせていると、ハヤテは私の方を向いて、言った。
「こんなに綺麗な音に負けるなら、負けることも別に悪くないんじゃないかな」
「…………」
考え方の違いもあるだろうが。
「ヒナギクはそう思わない?」
本当にどうしてこの人はそういう事を、そんな顔で言えるのだろうか。
「……えぇ」
そんな顔で言われたら、頷くことしか出来ない。
「本当にハヤテって……」
「ん?」
「なんでもない」
本当に、私の夫は最高だ。
こうして結婚できて本当に幸せだと思う。
「それよりハヤテ、もう少し窓開けててもいい?」
でもその言葉だけは、言わないでおこう。
返しの言葉でどんな恥ずかしいことを言われるか知ったものじゃないから。
だから虫の声よりも小さな、もっと小さな私の心の声でだけ言っておくことにする。
「僕は全然構わないよ」
「良かった」
それよりも、今は。
私は身体をハヤテに預けながら、言った。
「もう少しだけ、この虫たちの声を聞いていたいから」
「……その意見には凄く同感」
意識を外へ向けると、虫たちの涼やかな声が再び耳に入ってきた。
思わず羨んでしまうくらいの、綺麗な音。
その音をその身で感じながら、私は思う。
この音に負けるのならそれは……それは確かに悪くない気分だと。
すっかり涼しくなった九月の夜。
虫たちの小さな演奏会を聞きながら、私とハヤテの静かな夜は更けていく。
End
どうも関ヶ原です。
新作です。
結構更新に間が空いてしまいました……頑張ろう。
現在はヒナ魔のほうも順調に製作進んでおります。
並行作業でこちらのほうも頑張りたいです。
今回の作品ですが、山場もなければ落ちもない。
本当に平凡で面白みのない作品になってしまいました。
しかしまぁ、そういう平凡な日常こそがあやさきけなのではないかな、と思うわけでして……。べ、べつに言い訳をしてるわけじゃないんだから!
あやさきけらしいといえばあやさきけらしい文章が書けたのではと思います。
これからもこういう短文を書いていければな、と思ったり、もっと文章上手くなりたい、とかなり思ったり。
全てが中途半端なレベルなので、なにか一つでも極めたいところです。
私の話が長くなってしまうのもアレなので、今回はこの辺で。
それでは拙文短文シャカブンブンですけども、良かったら最後まで見て頂けると嬉しいです。
ではどうぞ~☆
「ねぇパパ」
「ん?」
とある休日。
執事としての仕事を一樹に一任して以来、その言葉通りの一日を過ごせるようになった僕がリビングで本を読んでいると、アイカが話しかけてきた。
「どうしたの?」
「これ」
本を一旦閉じてアイカの方を向くと、アイカが何かを差し出してきた。
「これ」
グローブとボールだった。
これは確か、衝動買いしたお嬢様が使わないからといってアイカにあげた物だったはず。
それを手に取り、尋ねる。
「グローブ? これがどうしたの?」
まぁこれを渡してきたということは、そういうことなのだろうけど。
僕の問いにアイカは笑顔で、そして予想通りの返答をしてきた。
「キャッチボール、しよ?」
こうして、娘の一言によって。
僕の休日の時間の使い道は、決定したようだった。
『キャッチボール』
折角なので、近所の公園にやって来た僕たち。
人のいない場所を選んで、そこでキャッチボールをすることにする。
「ここらへんでいいかな」
「うんっ!」
「じゃあアイカ、グローブ嵌めてー」
アイカにそう言いながら、僕も左手にグローブを嵌める。
新しい……というか全く使っていないから、グローブが堅い。
「うわ……取れるかな、これ」
野球経験がある人ならわかるだろうけど、新しいグローブというのは、買ったばかりのころは満足にボールが捕れる状態ではなかったりする。
今ではスポーツ店等で直ぐに使えるよう多少は柔らかくなっているものの、自分好みの形を作りたい人などはそういったものは買わない。
全く手の加えられていないグローブを、自分の手で好みの形に整えていくものなのだ。
「パパ……このグローブ、固い……」
「はは……」
どうやらお嬢様が買ったグローブは、どちらも手の加えられていないものだったらしい。
野球経験のないアイカには使いづらいだろう。
「右手を使えば捕れると思うから、大丈夫だよ」
「本当?」
「本当」
まぁでも、ボールのほうは(何故か)子供が使うようなゴムボールだし、怪我することもない。
キャッチボールをすること自体には問題はないはずだ。
「さて、じゃあやりますか」
そういうわけで、キャッチボール開始。
柔らかすぎるゴムボールに若干の違和感を覚えながらも、アイカの構えるところへとボールを投げ込む。
「うわっ……と、と」
構えたところへ、山なりの軌道でボールは投げ込まれた。
それをアイカは、見事にキャッチする。
「お、上手いじゃないか、アイカ」
「え? ……えへへ、そうかな」
「うん」
捕り方が拙いのは当たり前だが、それでもボールはグローブから零れていない。
ゴムボールをグローブで捕球するのは、小さい子供からすれば結構難しいのだ。
「じゃあアイカ、僕のここに投げてみて」
照れくさそうに笑うアイカに、僕はグローブを向けた。
グローブを胸の位置で構え、ここに投げるよう催促する。
「よーし……えいっ」
可愛らしい掛け声とともに、アイカの手からボールが放たれる。
砲丸投げのようなフォームから山なりを描いてボールがグローブに届く。
見事なストライクだった。
「おぉー」
「どう?」
「いや……正直驚いたよ」
記憶によれば、アイカとキャッチボールをするのはこれが初めてのはず。
初めてでここまで投げれるのは驚きだった。
「アイカってキャッチボールとかしたことあったっけ?」
「え? ないよー」
流石はヒナギクの血を受け継いでいるだけある、とでもいうのだろうか。
それともアイカの身体能力自体を凄いと言うべきなのだろうか。
どちらにせよ、アイカがやったことに変わりはない。
「アイカは本当、何でも出来るんだなぁ」
流石自慢の娘。父親が僕で本当申し訳ない。
冗談まじりでそう言うと、
「パパの娘だから出来るんだよ!」
と力強く言われた。
迷うことなくそう言ってくれる辺り、本当にヒナギクに似ていると思う。
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「うん!」
アイカの笑顔に僕もつられて笑いながら、僕はアイカにボールを返す。
…
「ところでさ」
「ん?」
しばらく山なりのキャッチボールを続けて、僕はアイカに尋ねた。
「どうして急にキャッチボールがしたいって言い出したの?」
「それは……」
アイカへボールを返しながら、言葉の続きを待つ。
「昨日、学校でね」
アイカがボールを投げる。
「うん」
僕がボールを捕る。
投げる。
「友達が」
捕る。
「うん」
投げる。
「その子のパパとね」
捕る。
「うん」
投げる。
「キャッチボールしたんだって」
捕る。
「それで、アイカもやりたくなったのかな?」
投げる。
そのボールをアイカが捕ったところで、一度アイカは両手を下げた。
キャッチボールが中断される。
「うん」
中断されるが、会話のキャッチボールはまだ続いている。
「というかね、そういえば私、パパとキャッチボールしたことないなぁって思ったの」
「そう、だね。思えば僕、アイカとそういうことしたことなかったかも」
買い物などは頻繁に行くが、キャッチボールなどはやったことがない。
「うん。ママとは剣道やったことあったけど、パパとはやったことなかったから。だからやりたいって思ったの」
「そっか……」
「私はもっと、パパとキャッチボールとかしたい」
ひょっとしたら、アイカは僕が気づかない時でもそういうサインを出していたのかもしれない。
ただ言葉にしないだけで、僕が気づかないだけで。
父親として、それは娘のことをよく見ていないということになるのではないだろうか。
「そう……か」
自分がもし周りから、いい父親に見られていなかったとしても、娘の前では――――アイカにとっては最高の父親でいたい。
「子供は親の宝、って言うしね」
ならば今までのようなことではいけない。
もっと、今以上にアイカに目を向けよう。
アイカがそれを望むのであれば、答えてあげるのが父親というものなのだから、きっと。
よし、と小さく呟いて、僕はアイカに言葉を掛けた。
「じゃあやろうか、続き。今日は疲れるまで、思いっきりやっちゃおう」
どうせ明日も休みだ。クタクタになるまで娘と遊んだって罰は当たらない。
そうときたら。
僕はグローブをパン、と叩いた。
「さぁこいアイカ。次はここだよ」
「よーし、わかったー!」
構えたグローブを見据えて、アイカが大きく振りかぶる。
「私の完璧なコントロールを見よ!」
「はは、もう何度も見てるけどね」
娘の元気すぎる声に苦笑しながら僕は思う。
「(これは……今日の帰りは遅くなるだろうなぁ)」
それなりの時間キャッチボールをしたというのにこの元気。
夕方になるのは間違いない。
「……ま、いいか」
帰りが遅くなればヒナギクが何か言いそうだけれど、それはその時に考えればいい話だ。
それよりも、僕は。
「なんか言ったー!?」
「なんでもないよ」
振りかぶったままの状態で静止しているこの娘とキャッチボールをすることが、楽しくて仕方がないのだから。
End
新作です。
結構更新に間が空いてしまいました……頑張ろう。
現在はヒナ魔のほうも順調に製作進んでおります。
並行作業でこちらのほうも頑張りたいです。
今回の作品ですが、山場もなければ落ちもない。
本当に平凡で面白みのない作品になってしまいました。
しかしまぁ、そういう平凡な日常こそがあやさきけなのではないかな、と思うわけでして……。べ、べつに言い訳をしてるわけじゃないんだから!
あやさきけらしいといえばあやさきけらしい文章が書けたのではと思います。
これからもこういう短文を書いていければな、と思ったり、もっと文章上手くなりたい、とかなり思ったり。
全てが中途半端なレベルなので、なにか一つでも極めたいところです。
私の話が長くなってしまうのもアレなので、今回はこの辺で。
それでは拙文短文シャカブンブンですけども、良かったら最後まで見て頂けると嬉しいです。
ではどうぞ~☆
「ねぇパパ」
「ん?」
とある休日。
執事としての仕事を一樹に一任して以来、その言葉通りの一日を過ごせるようになった僕がリビングで本を読んでいると、アイカが話しかけてきた。
「どうしたの?」
「これ」
本を一旦閉じてアイカの方を向くと、アイカが何かを差し出してきた。
「これ」
グローブとボールだった。
これは確か、衝動買いしたお嬢様が使わないからといってアイカにあげた物だったはず。
それを手に取り、尋ねる。
「グローブ? これがどうしたの?」
まぁこれを渡してきたということは、そういうことなのだろうけど。
僕の問いにアイカは笑顔で、そして予想通りの返答をしてきた。
「キャッチボール、しよ?」
こうして、娘の一言によって。
僕の休日の時間の使い道は、決定したようだった。
『キャッチボール』
折角なので、近所の公園にやって来た僕たち。
人のいない場所を選んで、そこでキャッチボールをすることにする。
「ここらへんでいいかな」
「うんっ!」
「じゃあアイカ、グローブ嵌めてー」
アイカにそう言いながら、僕も左手にグローブを嵌める。
新しい……というか全く使っていないから、グローブが堅い。
「うわ……取れるかな、これ」
野球経験がある人ならわかるだろうけど、新しいグローブというのは、買ったばかりのころは満足にボールが捕れる状態ではなかったりする。
今ではスポーツ店等で直ぐに使えるよう多少は柔らかくなっているものの、自分好みの形を作りたい人などはそういったものは買わない。
全く手の加えられていないグローブを、自分の手で好みの形に整えていくものなのだ。
「パパ……このグローブ、固い……」
「はは……」
どうやらお嬢様が買ったグローブは、どちらも手の加えられていないものだったらしい。
野球経験のないアイカには使いづらいだろう。
「右手を使えば捕れると思うから、大丈夫だよ」
「本当?」
「本当」
まぁでも、ボールのほうは(何故か)子供が使うようなゴムボールだし、怪我することもない。
キャッチボールをすること自体には問題はないはずだ。
「さて、じゃあやりますか」
そういうわけで、キャッチボール開始。
柔らかすぎるゴムボールに若干の違和感を覚えながらも、アイカの構えるところへとボールを投げ込む。
「うわっ……と、と」
構えたところへ、山なりの軌道でボールは投げ込まれた。
それをアイカは、見事にキャッチする。
「お、上手いじゃないか、アイカ」
「え? ……えへへ、そうかな」
「うん」
捕り方が拙いのは当たり前だが、それでもボールはグローブから零れていない。
ゴムボールをグローブで捕球するのは、小さい子供からすれば結構難しいのだ。
「じゃあアイカ、僕のここに投げてみて」
照れくさそうに笑うアイカに、僕はグローブを向けた。
グローブを胸の位置で構え、ここに投げるよう催促する。
「よーし……えいっ」
可愛らしい掛け声とともに、アイカの手からボールが放たれる。
砲丸投げのようなフォームから山なりを描いてボールがグローブに届く。
見事なストライクだった。
「おぉー」
「どう?」
「いや……正直驚いたよ」
記憶によれば、アイカとキャッチボールをするのはこれが初めてのはず。
初めてでここまで投げれるのは驚きだった。
「アイカってキャッチボールとかしたことあったっけ?」
「え? ないよー」
流石はヒナギクの血を受け継いでいるだけある、とでもいうのだろうか。
それともアイカの身体能力自体を凄いと言うべきなのだろうか。
どちらにせよ、アイカがやったことに変わりはない。
「アイカは本当、何でも出来るんだなぁ」
流石自慢の娘。父親が僕で本当申し訳ない。
冗談まじりでそう言うと、
「パパの娘だから出来るんだよ!」
と力強く言われた。
迷うことなくそう言ってくれる辺り、本当にヒナギクに似ていると思う。
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「うん!」
アイカの笑顔に僕もつられて笑いながら、僕はアイカにボールを返す。
…
「ところでさ」
「ん?」
しばらく山なりのキャッチボールを続けて、僕はアイカに尋ねた。
「どうして急にキャッチボールがしたいって言い出したの?」
「それは……」
アイカへボールを返しながら、言葉の続きを待つ。
「昨日、学校でね」
アイカがボールを投げる。
「うん」
僕がボールを捕る。
投げる。
「友達が」
捕る。
「うん」
投げる。
「その子のパパとね」
捕る。
「うん」
投げる。
「キャッチボールしたんだって」
捕る。
「それで、アイカもやりたくなったのかな?」
投げる。
そのボールをアイカが捕ったところで、一度アイカは両手を下げた。
キャッチボールが中断される。
「うん」
中断されるが、会話のキャッチボールはまだ続いている。
「というかね、そういえば私、パパとキャッチボールしたことないなぁって思ったの」
「そう、だね。思えば僕、アイカとそういうことしたことなかったかも」
買い物などは頻繁に行くが、キャッチボールなどはやったことがない。
「うん。ママとは剣道やったことあったけど、パパとはやったことなかったから。だからやりたいって思ったの」
「そっか……」
「私はもっと、パパとキャッチボールとかしたい」
ひょっとしたら、アイカは僕が気づかない時でもそういうサインを出していたのかもしれない。
ただ言葉にしないだけで、僕が気づかないだけで。
父親として、それは娘のことをよく見ていないということになるのではないだろうか。
「そう……か」
自分がもし周りから、いい父親に見られていなかったとしても、娘の前では――――アイカにとっては最高の父親でいたい。
「子供は親の宝、って言うしね」
ならば今までのようなことではいけない。
もっと、今以上にアイカに目を向けよう。
アイカがそれを望むのであれば、答えてあげるのが父親というものなのだから、きっと。
よし、と小さく呟いて、僕はアイカに言葉を掛けた。
「じゃあやろうか、続き。今日は疲れるまで、思いっきりやっちゃおう」
どうせ明日も休みだ。クタクタになるまで娘と遊んだって罰は当たらない。
そうときたら。
僕はグローブをパン、と叩いた。
「さぁこいアイカ。次はここだよ」
「よーし、わかったー!」
構えたグローブを見据えて、アイカが大きく振りかぶる。
「私の完璧なコントロールを見よ!」
「はは、もう何度も見てるけどね」
娘の元気すぎる声に苦笑しながら僕は思う。
「(これは……今日の帰りは遅くなるだろうなぁ)」
それなりの時間キャッチボールをしたというのにこの元気。
夕方になるのは間違いない。
「……ま、いいか」
帰りが遅くなればヒナギクが何か言いそうだけれど、それはその時に考えればいい話だ。
それよりも、僕は。
「なんか言ったー!?」
「なんでもないよ」
振りかぶったままの状態で静止しているこの娘とキャッチボールをすることが、楽しくて仕方がないのだから。
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