関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうも関ヶ原です。
新作ちゃんとできましたー^^
今回は時期が遅くなりましたがバレンタインの話。
前回、何故か野郎のバレンタイン話を書いてしまったので、今回はちゃんとハヤヒナです。
まぁ相変わらず拙文ですが……。
文章的にこれは甘甘になるのでしょうか?
途中から趣旨が変わってきているような、そうでないような……。
こういう小説を書くのは久しぶりなので、感覚がマヒしているようです。
どうやったら文章がうまくなるのでしょう?
書くしかないんですよね、わかってます!
これからも俺の拙文にお付き合いしていただけると嬉しく思います。
では~☆
二月十四日といえば、世間ではバレンタインデーと呼ばれる日である。
想い人にチョコレートを渡す、という女の子にとって大切なイベントであるが、実際、二月十四日が示す元々の意味はそのようなものではなく、269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌスに由来する記念日であるとされている。
まぁしかし今更そんなことを説いたところで、チョコレートを渡すというイベントがなくなるはずもなく。
白皇学院の時計塔では、そんな屁理屈に見せ付けるかのごとく、チョコレートのように甘い時間を過ごしている者たちがいたのだった。
『チョコレート・デイ』
白皇学院の時計塔の最上階に位置するのは、学院の生徒なら誰でも知っている生徒会室。
その生徒会室の扉は内側から鍵が掛けられ、誰も入ることが出来なくなっていた。
その室内から。
「はい、ハヤテ君。あ~ん♪」
「あ~ん」
甘ったるい声が、これまた甘ったるい空気に乗って、耳に入ってきた。
「……どう、かな?」
「………凄く、美味しいです」
「良かった♪」
中を覗けば、空色と桜色が寄り添って何やら行っている。
桜色の髪の少女が、空色の髪の少年の口に何かを運んでいるようだ。
口に入れたものを味わいながら胃に収め、少年は少女に微笑んだ。
少年の笑顔に、少女も笑顔で答えた。
満開の桜のように、美しく華やかな笑顔だった。
「毎年、本当に緊張するんだから」
「緊張することなんてありませんって毎年僕言ってますよね? ヒナギクさんのくれるチョコレートが美味しくないわけないんですって」
「ハヤテ君……」
まぁ、随分と遠まわしな表現というか言い方をしてしまったが、この二人は綾崎ハヤテと桂ヒナギク。
毎度お馴染み、白皇学院No.1と称される、バカップルであった。
バレンタインである今日は生徒会の仕事を早めに終え、普段は仕事をしている時間を二人の時間へすることに決めていた。
だから美希たちが来ることはないし、愛歌や千桜が入ってくることはない。
こういう言い方は何だが、邪魔するものはいない、恋人同士の二人きりの時間だった。
「でも毎年申し訳ないです。僕ばかりがチョコレートを貰ってしまって……」
ヒナギクからチョコレートを口に運んでもらいながら、ハヤテが申し訳なさそうに目を伏せる。
「僕もチョコレートを作ってくるべきでしたね」
そんなハヤテに、ヒナギクは「そんな!」とハヤテの頬に両手を添えながら、言う。
「ハヤテ君が作るチョコって私が作るものよりずっと美味しいんだもの。私の立つ瀬がなくなるわ!」
「そんなことないですよ。ヒナギクさんが作ったチョコのほうがずっと、高級なチョコレートよりも遥かにずっと美味しいです!」
「そんな……。それにハヤテ君、ホワイトデーにちゃんとお返ししてくれるじゃない」
「それは、そうですけど」
「私はそれだけで充分幸せな気分になれるんだもん。せめてバレンタインくらいは、私からハヤテ君へあげたいのよ」
だからいいの、とヒナギクはハヤテの腕に自分の腕を絡めた。
「それにこうしてハヤテ君にチョコレートを食べさせられるし」
「……はは。甘えんぼさんですねヒナギクさんは」
「誰のせいだと思ってるのよ?」
「……僕のせいなんですか?」
身体をくっつけてくるヒナギクを、ハヤテはぎゅっと抱きしめる。
腕の中に感じる彼女からは、甘いチョコレートの香りがした。
「ヒナギクさん、チョコレートの匂いがします」
「え? 本当?」
「はい。凄く甘くて……ヒナギクさんらしいなぁと思いますよ」
笑いながらハヤテが言うと、ヒナギクの表情が微かに曇った。
「……なんかそれだと、私が甘いものばかり食べてる風に聞こえるわ」
「あはは。別に、そんな風には言ってないですよ」
「それは分かるんだけど……」
むー、と頬を膨らませるヒナギクを可愛いなぁ、と思いながら、「それに」と言ってハヤテは言葉を付け足す。
「甘いものばかり食べているのは、僕の方ですから」
「え―――」
それってどういう意味、と続くはずのヒナギクの言葉は、遮られた。
言葉を紡ぐ前に、ヒナギクの唇にはハヤテの唇が重ねられていたから。
優しく、甘く、暖かく。
柔らかなヒナギクの唇を堪能しながら、ハヤテは静かに目を閉じる。
「………」
「………」
放課後といえど、生徒会室に―――時計塔の最上階には、誰の声も届かない。
二人の吐息だけが部屋の中を満たす。
「―――はぁ」
「………いきなりなんて、反則」
どれだけの時間が経ったかなど、そんな無粋なことは二人は考えない。
ゆっくりと名残惜しげに唇を離し、ヒナギクがジト目でハヤテを睨む。
その視線を笑顔で受け流しながら、ハヤテは答えた。
「だってヒナギクさんがあまりにも可愛かったものでしたから、つい……」
「……………もぅ、バカ」
その笑顔を前に、ヒナギクは何も言えなくなる。
顔を真っ赤にして、恥ずかしさで顔を俯けるだけだ。
「本当、ヒナギクさんは可愛いですね」
「……知らないんだから」
そんなヒナギクを愛しく思いながら、ハヤテは。
「ところでヒナギクさん、さっきの言葉の意味なんですけど」
「……何よ」
「僕はヒナギクさんっていう、物凄く甘くて美味しいものを頂いてます故、ということです」
「………本当に、バカ……」
ハヤテはにこりと笑って、もう一度、愛しい彼女の顎を軽く持ち上げる。
「ヒナギクさん、ハッピーバレンタイン」
「――――ん」
二度目の彼女の唇は、自分が食べたチョコレートの味がして、とても甘かった。
End
新作ちゃんとできましたー^^
今回は時期が遅くなりましたがバレンタインの話。
前回、何故か野郎のバレンタイン話を書いてしまったので、今回はちゃんとハヤヒナです。
まぁ相変わらず拙文ですが……。
文章的にこれは甘甘になるのでしょうか?
途中から趣旨が変わってきているような、そうでないような……。
こういう小説を書くのは久しぶりなので、感覚がマヒしているようです。
どうやったら文章がうまくなるのでしょう?
書くしかないんですよね、わかってます!
これからも俺の拙文にお付き合いしていただけると嬉しく思います。
では~☆
二月十四日といえば、世間ではバレンタインデーと呼ばれる日である。
想い人にチョコレートを渡す、という女の子にとって大切なイベントであるが、実際、二月十四日が示す元々の意味はそのようなものではなく、269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌスに由来する記念日であるとされている。
まぁしかし今更そんなことを説いたところで、チョコレートを渡すというイベントがなくなるはずもなく。
白皇学院の時計塔では、そんな屁理屈に見せ付けるかのごとく、チョコレートのように甘い時間を過ごしている者たちがいたのだった。
『チョコレート・デイ』
白皇学院の時計塔の最上階に位置するのは、学院の生徒なら誰でも知っている生徒会室。
その生徒会室の扉は内側から鍵が掛けられ、誰も入ることが出来なくなっていた。
その室内から。
「はい、ハヤテ君。あ~ん♪」
「あ~ん」
甘ったるい声が、これまた甘ったるい空気に乗って、耳に入ってきた。
「……どう、かな?」
「………凄く、美味しいです」
「良かった♪」
中を覗けば、空色と桜色が寄り添って何やら行っている。
桜色の髪の少女が、空色の髪の少年の口に何かを運んでいるようだ。
口に入れたものを味わいながら胃に収め、少年は少女に微笑んだ。
少年の笑顔に、少女も笑顔で答えた。
満開の桜のように、美しく華やかな笑顔だった。
「毎年、本当に緊張するんだから」
「緊張することなんてありませんって毎年僕言ってますよね? ヒナギクさんのくれるチョコレートが美味しくないわけないんですって」
「ハヤテ君……」
まぁ、随分と遠まわしな表現というか言い方をしてしまったが、この二人は綾崎ハヤテと桂ヒナギク。
毎度お馴染み、白皇学院No.1と称される、バカップルであった。
バレンタインである今日は生徒会の仕事を早めに終え、普段は仕事をしている時間を二人の時間へすることに決めていた。
だから美希たちが来ることはないし、愛歌や千桜が入ってくることはない。
こういう言い方は何だが、邪魔するものはいない、恋人同士の二人きりの時間だった。
「でも毎年申し訳ないです。僕ばかりがチョコレートを貰ってしまって……」
ヒナギクからチョコレートを口に運んでもらいながら、ハヤテが申し訳なさそうに目を伏せる。
「僕もチョコレートを作ってくるべきでしたね」
そんなハヤテに、ヒナギクは「そんな!」とハヤテの頬に両手を添えながら、言う。
「ハヤテ君が作るチョコって私が作るものよりずっと美味しいんだもの。私の立つ瀬がなくなるわ!」
「そんなことないですよ。ヒナギクさんが作ったチョコのほうがずっと、高級なチョコレートよりも遥かにずっと美味しいです!」
「そんな……。それにハヤテ君、ホワイトデーにちゃんとお返ししてくれるじゃない」
「それは、そうですけど」
「私はそれだけで充分幸せな気分になれるんだもん。せめてバレンタインくらいは、私からハヤテ君へあげたいのよ」
だからいいの、とヒナギクはハヤテの腕に自分の腕を絡めた。
「それにこうしてハヤテ君にチョコレートを食べさせられるし」
「……はは。甘えんぼさんですねヒナギクさんは」
「誰のせいだと思ってるのよ?」
「……僕のせいなんですか?」
身体をくっつけてくるヒナギクを、ハヤテはぎゅっと抱きしめる。
腕の中に感じる彼女からは、甘いチョコレートの香りがした。
「ヒナギクさん、チョコレートの匂いがします」
「え? 本当?」
「はい。凄く甘くて……ヒナギクさんらしいなぁと思いますよ」
笑いながらハヤテが言うと、ヒナギクの表情が微かに曇った。
「……なんかそれだと、私が甘いものばかり食べてる風に聞こえるわ」
「あはは。別に、そんな風には言ってないですよ」
「それは分かるんだけど……」
むー、と頬を膨らませるヒナギクを可愛いなぁ、と思いながら、「それに」と言ってハヤテは言葉を付け足す。
「甘いものばかり食べているのは、僕の方ですから」
「え―――」
それってどういう意味、と続くはずのヒナギクの言葉は、遮られた。
言葉を紡ぐ前に、ヒナギクの唇にはハヤテの唇が重ねられていたから。
優しく、甘く、暖かく。
柔らかなヒナギクの唇を堪能しながら、ハヤテは静かに目を閉じる。
「………」
「………」
放課後といえど、生徒会室に―――時計塔の最上階には、誰の声も届かない。
二人の吐息だけが部屋の中を満たす。
「―――はぁ」
「………いきなりなんて、反則」
どれだけの時間が経ったかなど、そんな無粋なことは二人は考えない。
ゆっくりと名残惜しげに唇を離し、ヒナギクがジト目でハヤテを睨む。
その視線を笑顔で受け流しながら、ハヤテは答えた。
「だってヒナギクさんがあまりにも可愛かったものでしたから、つい……」
「……………もぅ、バカ」
その笑顔を前に、ヒナギクは何も言えなくなる。
顔を真っ赤にして、恥ずかしさで顔を俯けるだけだ。
「本当、ヒナギクさんは可愛いですね」
「……知らないんだから」
そんなヒナギクを愛しく思いながら、ハヤテは。
「ところでヒナギクさん、さっきの言葉の意味なんですけど」
「……何よ」
「僕はヒナギクさんっていう、物凄く甘くて美味しいものを頂いてます故、ということです」
「………本当に、バカ……」
ハヤテはにこりと笑って、もう一度、愛しい彼女の顎を軽く持ち上げる。
「ヒナギクさん、ハッピーバレンタイン」
「――――ん」
二度目の彼女の唇は、自分が食べたチョコレートの味がして、とても甘かった。
End
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いつものごとくヒナギクスレでROMっていたところ、来週のハヤテの内容は凄いことになっているらしい。
残念ながら俺は内容をまだ知らないのだけれど、ヒナファンの俺にもかなりのダメージがくるとか何とか。
これはいけません。
いや、どんな結果になろうと俺はハヤヒナ厨辞めるつもりないですし、ハヤテと畑先生をこれからも応援しまくる所存ですよ!
俺の書くハヤヒナって、いわば俺の妄想ですからね。
そりゃあこうなって欲しいなぁ、という気持ちは少なからずありますけれど、ヒナギクがメインヒロインではないことは初めからわかっていたことですし。
だからこそ、このサイトではヒナギクをメインヒロインにしているのですよ。
俺が何を言いたいかっていうと、来るべく(と予想される)ショックに耐えれるよう、ハヤヒナ小説の、しかも甘い甘い小説を書いちゃる!ということです。
構想も何も考えていない状態で、果たして水曜日までに書くことが出来るのか。
使っていない脳みそをフル活用するときが来たようです。
ですので皆様、水曜日のハヤテを見ても決してヒナとハヤテから離れようとしないで~~~!!!
本当、今週のハヤテ、どんな内容になってるのかな………?
小説できたら速攻UPしますね^^
早めに出来たら連投も考えてますので、良かったら楽しみにお待ちください♪
残念ながら俺は内容をまだ知らないのだけれど、ヒナファンの俺にもかなりのダメージがくるとか何とか。
これはいけません。
いや、どんな結果になろうと俺はハヤヒナ厨辞めるつもりないですし、ハヤテと畑先生をこれからも応援しまくる所存ですよ!
俺の書くハヤヒナって、いわば俺の妄想ですからね。
そりゃあこうなって欲しいなぁ、という気持ちは少なからずありますけれど、ヒナギクがメインヒロインではないことは初めからわかっていたことですし。
だからこそ、このサイトではヒナギクをメインヒロインにしているのですよ。
俺が何を言いたいかっていうと、来るべく(と予想される)ショックに耐えれるよう、ハヤヒナ小説の、しかも甘い甘い小説を書いちゃる!ということです。
構想も何も考えていない状態で、果たして水曜日までに書くことが出来るのか。
使っていない脳みそをフル活用するときが来たようです。
ですので皆様、水曜日のハヤテを見ても決してヒナとハヤテから離れようとしないで~~~!!!
本当、今週のハヤテ、どんな内容になってるのかな………?
小説できたら速攻UPしますね^^
早めに出来たら連投も考えてますので、良かったら楽しみにお待ちください♪
どうも皆様、関ヶ原です。
新作です。あやさきけです。
話はバレンタイン話(ただし前日メイン)。
これはリクエストされてかかせていただいたんですが、バレンタインの話なのにいつの間にかメインが前日の話に……。
しかも皆ダイスキヒナギクさんとアイカちゃんの出番はなく、野郎の会話しかないという悲劇の話に……。
これを書き上げた今、リクしてくれた方には申し訳なさで一杯です。
なんだかこの頃文章が上手く書けませんし……。
スランプ?この拙文書きにもスランプがあるのか!?
で、でも一生懸命書いたんだからね!?
次、次こそは甘甘を……。
原作のほうではヒナギクの夫が他の女性を抱きしめていましたので、その制裁も込めて甘い小説を書きたいなと思います。
それでは話が長くなりましたのでこの辺で。
どうぞ~☆
2月14日。
この日は世に言うバレンタインというイベントであり、恋する少女達に少しば
かりの勇気を与えてくれる日でもある。
好きな男の子にチョコをあげたいという想いが交差する日。
そんな大切なイベントであるバレンタインデーだが、ここ最近では色々な形が
出来てきた。
例えば。
とある一軒家のキッチンで、愛する女性の為にチョコを作る彼等のように。
『男たちのバレンタイン』
広大な土地、三千院家の敷地内にある不相応な一軒家。
言わずともお馴染み、綾崎家の台所では、包装が解かれたチョコレートの
包みが散乱していた。
2月13日。バレンタインの前日。
東宮康太郎が綾崎ハヤテのところへ訪れたのは、その日の朝のことだった。
『僕にチョコレートの作り方を教えてくれ!』
『はい?』
朝の挨拶よりも先にでた言葉に、ハヤテの目が点となった。
『えーと……』
『泉にチョコレートをあげたいんだ!!』
『泉さんに?』
『最近じゃあ男がチョコを渡すのが主流になりつつあるってテレビで言ってた!
』
『それはつまり、逆チョコってこと?』
『そうそれ!』
息つぐ暇なく言葉をまくし立てられていたハヤテだったが、漸く康太郎の言わ
んとすることを理解する。
逆チョコとは言葉の通り、男性が女性に対しチョコのこと。
そういえば最近良く耳にするなぁ、とハヤテは思う。
要するに康太郎は、
『俺は泉に逆チョコを渡したいんだよ!』
とのこと。
『ふむ……』
『頼めるのは綾崎しかいないんだよ!』
期待を寄せた目で康太郎はハヤテを見る。
その視線を受け止めながらハヤテは少し考えるそぶりをし、
『……実は僕もヒナギクとアイカにチョコを作ろうとしてたんだ』
『―――っ! じゃあ、』
『力になれるかどうかわからないけど、僕で良ければ』
優しい笑みを康太郎に向けた。
…
「な、なぁ綾崎。本当にこれで上手くいってるのか?」
「うん、大丈夫だよ。そのままそのまま」
そんなことがあって、今綾崎家のキッチンは男たちの戦場と化していた。
ヒナギクとアイカは出掛けているので、使い放題だ。
現在彼等はチョコレートを溶かし、再び別の型で固める作業の真っ只中。
溶けたチョコをへらでゆっくりと掻き混ぜながら、不安そうな声で康太郎はハヤテに尋ねる。
「ほ、本当か? 本当に大丈夫か?」
「大丈夫だって」
チョコを作るのは初めてだというので緊張するのはわかるが、少し落ち着いて欲しい、とハヤテは苦笑しながら思う。
鍋の中のチョコは良い感じに溶けている。
もう少しで型へ流し込めるはずだ。
「そ、そうか……ははっ」
ハヤテの言葉を聞いて、嬉しそうに康太郎は笑った。
「上手く出来るといいなぁ」
「……そうだね」
その笑顔につられて、ハヤテの顔も綻ぶ。
好きな人を想いながら作るものは、きっと何よりも美味しいだろう。
それを知っているから、ハヤテもチョコの完成を楽しみに待つ。
「本当に出来上がりが楽しみだ」
家族が喜ぶ顔を想像し、ハヤテはそう呟いた。
「お、おおお……」
冷凍庫から取り出したチョコレートを見て、康太郎が唸る。
「こ、これ本当に僕が作ったんだよな……?」
「そうだよ。言ったろ? 心配するなって」
ハヤテの言葉に頷く康太郎のチョコレートは、ちょっと歪なハート型だ。
しかし初めてにしては上出来、合格点と言えるだろう。
「……うん、僕のも固まってる」
ハヤテのチョコレートもハートだった。
康太郎と比べ滑らかな曲線を描く、市販されていてもおかしくない程の出来栄え。
自分と遥かに違う曲線美を描くチョコレートを見て、康太郎は「凄い……」と感嘆した。
「さすが綾崎だな……」
「そんなことはないよ。むしろ初めてだって言う康太郎の方が流石だと思うけど」
「え?」
「だって僕、初めてチョコ作ったときはそこまで綺麗に出来なかったから」
「そ、そうなのか?」
「そうだよ。 だから康太郎の方が凄いんだって」
もっと自信もちなよ、とチョコレートのデコレートをしながらハヤテは言う。
「康太郎はチョコレートに文字、なんて入れるの?」
「え?」
「文字だよ、文字。 デコレーション」
「あ、ああ。そうだな、文字も書いたほうがいいか」
「ここにデコレーションの道具あるから、好きなの使って」
「おう!」
元気良く康太郎は頷いた。
デコレーションようのペンを手に取り、歪だけれども、想いが詰まったチョコレートに文字を書き始める。
「………」
息を止め、極力丁寧に文字を書こうとする康太郎の姿を見て、ハヤテも「自分も頑張らないと」と呟いた。
文字を書く作業を再開する。
ヒナギクとアイカの二人分。 日頃の感謝と一杯の愛情を込めて、文字を書いていく。
そして。
「―――出来た」
「出来ました」
達成感溢れる声が、綾崎家の台所に響いた。
男たちの前には、綺麗に包まれたチョコレートが丁寧に置かれている。
「後はこれを明日渡すだけだな」
「そうだね。 見つからないように冷やさなくちゃ」
気づけば、もうそろそろヒナギクたちが帰ってくる時間だった。
「うわ、もうこんな時間なのか」
「集中してたからなぁ。時間の感覚なかったよ」
好きなことをするほど時の流れは早く感じるとは言うが、好きな人を考えていると時間の感覚がマヒするらしい。
ハヤテの言葉に「そうだな、同感」と康太郎は笑いながら頷いたのだった。
…
「じゃあ明日、しっかり渡すんだよ」
康太郎を玄関先まで見送る頃には、辺りはすっかり闇に包まれていた。
チョコレートが溶けないようにと保冷剤を入れた袋を手に提げながら、康太郎は再びハヤテに頭を下げた。
「今日は本当にありがとう。おかげで泉にチョコを渡せるよ」
康太郎の感情を代弁するかのように、手提げの袋が揺れる。
その様子をまるで猫の尻尾のようだ、と内心可笑しく思いながらも、ハヤテも「こちらこそ」と頭を下げた。
「僕も一緒にチョコを作れて嬉しかったよ。いつもは一人で作ってたから」
「はは、そっか。じゃあ僕、そろそろ行くな」
「あ、うん。泉さんによろしく言っておいて」
「了解。そっちもヒナギクさんとアイカちゃんによろしくな」
そう言って康太郎はハヤテに別れを告げた。
初めて作った、想い人へのチョコレートを持って。
康太郎は明日、ちゃんとチョコレートを渡すことが出来るだろう。
照れくさそうに、でもしっかりとその包みを差し出しながら。
そんな光景が容易に想像出来てしまう東宮夫妻は、本当にお似合いの夫婦だと思う。
勿論、自分たちとて負けていないと思うが。
「……さて、と。僕も夕飯の支度でもしようかな」
そんなことを思いながら、ハヤテは今しがた戦場だったキッチンへと再び足を向けた。
もうじき帰ってくる、愛する家族のために夕食を作らなくては。
「今日は……何にしようか」
チョコレートを作るときとはまた違った作る楽しみを感じて、ハヤテの顔は自然と笑顔になる。
好きな人を想いながら作るものは何よりも美味しい。
それはきっと間違いない。
「喜んでくれるといいなぁ」
愛する娘と妻の嬉しそうな顔を想像しながら、ハヤテは冷蔵庫の扉を開いたのだった。
…
「はい、アイカ、ヒナギク」
「うわ! ありがとうパパ!」
「毎年こんなに立派なチョコをありがとう。……もう、私の立つ瀬がないじゃない」
して、来るべきバレンタインはやってきた。
嬉しそうに、もしくは悔しそうに、自分のチョコを受け取ってくれる娘と妻。
その二人の様子を満足そうに見つめながら、ハヤテは今頃チョコを渡しているであろう友人のことを考える。
「……ま、大丈夫だと思うけど」
好きな人のためにあれほど一生懸命になっていたのだ。
最後の最後で渡せなかったなんてヘマは、自分の友人はしないだろう。
「……頑張れ、康太郎」
2月14日。
女の子の勇気と想いが交差する、バレンタイン。
その女の子のために勇気と想いを込めたチョコレートを作った友人の成功と健闘を祈りながら、ハヤテは娘と妻から貰ったチョコレートの包みを開けたのだった。
彼らのバレンタインは、鍋の中の溶けたチョコレートのように、ゆっくり、甘い香りを漂わせながら過ぎていく。
End
新作です。あやさきけです。
話はバレンタイン話(ただし前日メイン)。
これはリクエストされてかかせていただいたんですが、バレンタインの話なのにいつの間にかメインが前日の話に……。
しかも皆ダイスキヒナギクさんとアイカちゃんの出番はなく、野郎の会話しかないという悲劇の話に……。
これを書き上げた今、リクしてくれた方には申し訳なさで一杯です。
なんだかこの頃文章が上手く書けませんし……。
スランプ?この拙文書きにもスランプがあるのか!?
で、でも一生懸命書いたんだからね!?
次、次こそは甘甘を……。
原作のほうではヒナギクの夫が他の女性を抱きしめていましたので、その制裁も込めて甘い小説を書きたいなと思います。
それでは話が長くなりましたのでこの辺で。
どうぞ~☆
2月14日。
この日は世に言うバレンタインというイベントであり、恋する少女達に少しば
かりの勇気を与えてくれる日でもある。
好きな男の子にチョコをあげたいという想いが交差する日。
そんな大切なイベントであるバレンタインデーだが、ここ最近では色々な形が
出来てきた。
例えば。
とある一軒家のキッチンで、愛する女性の為にチョコを作る彼等のように。
『男たちのバレンタイン』
広大な土地、三千院家の敷地内にある不相応な一軒家。
言わずともお馴染み、綾崎家の台所では、包装が解かれたチョコレートの
包みが散乱していた。
2月13日。バレンタインの前日。
東宮康太郎が綾崎ハヤテのところへ訪れたのは、その日の朝のことだった。
『僕にチョコレートの作り方を教えてくれ!』
『はい?』
朝の挨拶よりも先にでた言葉に、ハヤテの目が点となった。
『えーと……』
『泉にチョコレートをあげたいんだ!!』
『泉さんに?』
『最近じゃあ男がチョコを渡すのが主流になりつつあるってテレビで言ってた!
』
『それはつまり、逆チョコってこと?』
『そうそれ!』
息つぐ暇なく言葉をまくし立てられていたハヤテだったが、漸く康太郎の言わ
んとすることを理解する。
逆チョコとは言葉の通り、男性が女性に対しチョコのこと。
そういえば最近良く耳にするなぁ、とハヤテは思う。
要するに康太郎は、
『俺は泉に逆チョコを渡したいんだよ!』
とのこと。
『ふむ……』
『頼めるのは綾崎しかいないんだよ!』
期待を寄せた目で康太郎はハヤテを見る。
その視線を受け止めながらハヤテは少し考えるそぶりをし、
『……実は僕もヒナギクとアイカにチョコを作ろうとしてたんだ』
『―――っ! じゃあ、』
『力になれるかどうかわからないけど、僕で良ければ』
優しい笑みを康太郎に向けた。
…
「な、なぁ綾崎。本当にこれで上手くいってるのか?」
「うん、大丈夫だよ。そのままそのまま」
そんなことがあって、今綾崎家のキッチンは男たちの戦場と化していた。
ヒナギクとアイカは出掛けているので、使い放題だ。
現在彼等はチョコレートを溶かし、再び別の型で固める作業の真っ只中。
溶けたチョコをへらでゆっくりと掻き混ぜながら、不安そうな声で康太郎はハヤテに尋ねる。
「ほ、本当か? 本当に大丈夫か?」
「大丈夫だって」
チョコを作るのは初めてだというので緊張するのはわかるが、少し落ち着いて欲しい、とハヤテは苦笑しながら思う。
鍋の中のチョコは良い感じに溶けている。
もう少しで型へ流し込めるはずだ。
「そ、そうか……ははっ」
ハヤテの言葉を聞いて、嬉しそうに康太郎は笑った。
「上手く出来るといいなぁ」
「……そうだね」
その笑顔につられて、ハヤテの顔も綻ぶ。
好きな人を想いながら作るものは、きっと何よりも美味しいだろう。
それを知っているから、ハヤテもチョコの完成を楽しみに待つ。
「本当に出来上がりが楽しみだ」
家族が喜ぶ顔を想像し、ハヤテはそう呟いた。
「お、おおお……」
冷凍庫から取り出したチョコレートを見て、康太郎が唸る。
「こ、これ本当に僕が作ったんだよな……?」
「そうだよ。言ったろ? 心配するなって」
ハヤテの言葉に頷く康太郎のチョコレートは、ちょっと歪なハート型だ。
しかし初めてにしては上出来、合格点と言えるだろう。
「……うん、僕のも固まってる」
ハヤテのチョコレートもハートだった。
康太郎と比べ滑らかな曲線を描く、市販されていてもおかしくない程の出来栄え。
自分と遥かに違う曲線美を描くチョコレートを見て、康太郎は「凄い……」と感嘆した。
「さすが綾崎だな……」
「そんなことはないよ。むしろ初めてだって言う康太郎の方が流石だと思うけど」
「え?」
「だって僕、初めてチョコ作ったときはそこまで綺麗に出来なかったから」
「そ、そうなのか?」
「そうだよ。 だから康太郎の方が凄いんだって」
もっと自信もちなよ、とチョコレートのデコレートをしながらハヤテは言う。
「康太郎はチョコレートに文字、なんて入れるの?」
「え?」
「文字だよ、文字。 デコレーション」
「あ、ああ。そうだな、文字も書いたほうがいいか」
「ここにデコレーションの道具あるから、好きなの使って」
「おう!」
元気良く康太郎は頷いた。
デコレーションようのペンを手に取り、歪だけれども、想いが詰まったチョコレートに文字を書き始める。
「………」
息を止め、極力丁寧に文字を書こうとする康太郎の姿を見て、ハヤテも「自分も頑張らないと」と呟いた。
文字を書く作業を再開する。
ヒナギクとアイカの二人分。 日頃の感謝と一杯の愛情を込めて、文字を書いていく。
そして。
「―――出来た」
「出来ました」
達成感溢れる声が、綾崎家の台所に響いた。
男たちの前には、綺麗に包まれたチョコレートが丁寧に置かれている。
「後はこれを明日渡すだけだな」
「そうだね。 見つからないように冷やさなくちゃ」
気づけば、もうそろそろヒナギクたちが帰ってくる時間だった。
「うわ、もうこんな時間なのか」
「集中してたからなぁ。時間の感覚なかったよ」
好きなことをするほど時の流れは早く感じるとは言うが、好きな人を考えていると時間の感覚がマヒするらしい。
ハヤテの言葉に「そうだな、同感」と康太郎は笑いながら頷いたのだった。
…
「じゃあ明日、しっかり渡すんだよ」
康太郎を玄関先まで見送る頃には、辺りはすっかり闇に包まれていた。
チョコレートが溶けないようにと保冷剤を入れた袋を手に提げながら、康太郎は再びハヤテに頭を下げた。
「今日は本当にありがとう。おかげで泉にチョコを渡せるよ」
康太郎の感情を代弁するかのように、手提げの袋が揺れる。
その様子をまるで猫の尻尾のようだ、と内心可笑しく思いながらも、ハヤテも「こちらこそ」と頭を下げた。
「僕も一緒にチョコを作れて嬉しかったよ。いつもは一人で作ってたから」
「はは、そっか。じゃあ僕、そろそろ行くな」
「あ、うん。泉さんによろしく言っておいて」
「了解。そっちもヒナギクさんとアイカちゃんによろしくな」
そう言って康太郎はハヤテに別れを告げた。
初めて作った、想い人へのチョコレートを持って。
康太郎は明日、ちゃんとチョコレートを渡すことが出来るだろう。
照れくさそうに、でもしっかりとその包みを差し出しながら。
そんな光景が容易に想像出来てしまう東宮夫妻は、本当にお似合いの夫婦だと思う。
勿論、自分たちとて負けていないと思うが。
「……さて、と。僕も夕飯の支度でもしようかな」
そんなことを思いながら、ハヤテは今しがた戦場だったキッチンへと再び足を向けた。
もうじき帰ってくる、愛する家族のために夕食を作らなくては。
「今日は……何にしようか」
チョコレートを作るときとはまた違った作る楽しみを感じて、ハヤテの顔は自然と笑顔になる。
好きな人を想いながら作るものは何よりも美味しい。
それはきっと間違いない。
「喜んでくれるといいなぁ」
愛する娘と妻の嬉しそうな顔を想像しながら、ハヤテは冷蔵庫の扉を開いたのだった。
…
「はい、アイカ、ヒナギク」
「うわ! ありがとうパパ!」
「毎年こんなに立派なチョコをありがとう。……もう、私の立つ瀬がないじゃない」
して、来るべきバレンタインはやってきた。
嬉しそうに、もしくは悔しそうに、自分のチョコを受け取ってくれる娘と妻。
その二人の様子を満足そうに見つめながら、ハヤテは今頃チョコを渡しているであろう友人のことを考える。
「……ま、大丈夫だと思うけど」
好きな人のためにあれほど一生懸命になっていたのだ。
最後の最後で渡せなかったなんてヘマは、自分の友人はしないだろう。
「……頑張れ、康太郎」
2月14日。
女の子の勇気と想いが交差する、バレンタイン。
その女の子のために勇気と想いを込めたチョコレートを作った友人の成功と健闘を祈りながら、ハヤテは娘と妻から貰ったチョコレートの包みを開けたのだった。
彼らのバレンタインは、鍋の中の溶けたチョコレートのように、ゆっくり、甘い香りを漂わせながら過ぎていく。
End
日本から離れた地で、美しい夜景が眼前に広がる。
貴方と美しい景色を見るのは二度目で、初めて見た時と、この胸の高鳴りは変わることはない。
「………」
胸の高鳴りは変わることはないけれど、隣の貴方はどこか遠くを見ている。
遠い誰かを、私以外の誰かを見ている。
―――そんな気がして、胸に小さな痛みが走った。
『A little pain』
ハヤテ君との夕食会は楽しい一時だった。
本当に、楽しい一時だった。
「好きな人……か」
そんな楽しかった夕食会の帰り道に聞いた彼の言葉が、今だ私の頭から離れない。
『彼女は僕の好きな人です』
思えば、昨晩から……ハヤテ君が天王州さんの話を聞いたときから、彼の様子がおかしかった。
どこへいっても上の空で、常に何かを考えていた。
それが好きな人のことだったとは、私にも、マリアさんにも、歩にも分からなかったけれど。
「十年も想っていればそりゃああなるわよね……」
十年、言葉では二文字だけれど、その時間は遥かに永い。
私がハヤテ君に恋をして早二ヶ月になるが、彼はその何十、何百倍もの時間、彼女に恋をしていたのだから。
一体彼は十年の中で、どれくらい胸の痛みを堪え続けたのだろう。
どれだけ悩んだのだろう。
どれだけ辛い日々を送ったのだろう。
彼の永い苦しみを、私は理解出来ない。
理解するには私はまだ小娘だった。
「………ハヤテ君」
理解出来なかったから、小娘だったから、一人の女性を想う彼の背中を押すことしか出来なかった。
今頃彼は天王州さんに会いに行っているだろう。
十年ぶりに再会した彼らは、どんな話をしているのだろうか。
「……わからないなぁ」
それすらも分からなくて、深夜の部屋で一人自嘲気味に笑う。
ホテルのプールは私一人が使うには大きすぎた。
「あぁもう、寂しいな」
あの時彼の背中を押さなかったら、ハヤテ君は私と一緒にいてくれただろうか。
この広いプールに二人きりでいてくれただろうか。
今更考えたところで後の祭りだというのは分かっているけれども、どうしてもそんなことを考えてしまう。
天井の窓から差し込む月の光が、揺れる水面に反射している。
それが一層、私を孤独にさせた。
「―――あぁそうか、分かった」
そこで、ようやく分かった。
彼の気持ちとか、彼女の気持ちとか、彼、彼女の苦しみだとか、そんなことはどうでも良かったのだ、私は。
―――私はただ。
「ハヤテ君に傍に居てもらいたかったんだ」
想いを伝えずとも、彼の傍で、彼を感じられればそれだけで。
ようやく一つのことが理解出来て、心が少し軽くなったような気がした。
―――それでも胸の小さな痛みは、消えることはなかったけれども。
End
貴方と美しい景色を見るのは二度目で、初めて見た時と、この胸の高鳴りは変わることはない。
「………」
胸の高鳴りは変わることはないけれど、隣の貴方はどこか遠くを見ている。
遠い誰かを、私以外の誰かを見ている。
―――そんな気がして、胸に小さな痛みが走った。
『A little pain』
ハヤテ君との夕食会は楽しい一時だった。
本当に、楽しい一時だった。
「好きな人……か」
そんな楽しかった夕食会の帰り道に聞いた彼の言葉が、今だ私の頭から離れない。
『彼女は僕の好きな人です』
思えば、昨晩から……ハヤテ君が天王州さんの話を聞いたときから、彼の様子がおかしかった。
どこへいっても上の空で、常に何かを考えていた。
それが好きな人のことだったとは、私にも、マリアさんにも、歩にも分からなかったけれど。
「十年も想っていればそりゃああなるわよね……」
十年、言葉では二文字だけれど、その時間は遥かに永い。
私がハヤテ君に恋をして早二ヶ月になるが、彼はその何十、何百倍もの時間、彼女に恋をしていたのだから。
一体彼は十年の中で、どれくらい胸の痛みを堪え続けたのだろう。
どれだけ悩んだのだろう。
どれだけ辛い日々を送ったのだろう。
彼の永い苦しみを、私は理解出来ない。
理解するには私はまだ小娘だった。
「………ハヤテ君」
理解出来なかったから、小娘だったから、一人の女性を想う彼の背中を押すことしか出来なかった。
今頃彼は天王州さんに会いに行っているだろう。
十年ぶりに再会した彼らは、どんな話をしているのだろうか。
「……わからないなぁ」
それすらも分からなくて、深夜の部屋で一人自嘲気味に笑う。
ホテルのプールは私一人が使うには大きすぎた。
「あぁもう、寂しいな」
あの時彼の背中を押さなかったら、ハヤテ君は私と一緒にいてくれただろうか。
この広いプールに二人きりでいてくれただろうか。
今更考えたところで後の祭りだというのは分かっているけれども、どうしてもそんなことを考えてしまう。
天井の窓から差し込む月の光が、揺れる水面に反射している。
それが一層、私を孤独にさせた。
「―――あぁそうか、分かった」
そこで、ようやく分かった。
彼の気持ちとか、彼女の気持ちとか、彼、彼女の苦しみだとか、そんなことはどうでも良かったのだ、私は。
―――私はただ。
「ハヤテ君に傍に居てもらいたかったんだ」
想いを伝えずとも、彼の傍で、彼を感じられればそれだけで。
ようやく一つのことが理解出来て、心が少し軽くなったような気がした。
―――それでも胸の小さな痛みは、消えることはなかったけれども。
End
どうも関ヶ原です。
テストも無事終わり、春休み突入です。
バイトや遊びに恐らく明け暮れる毎日だと思いますが、その中でも執筆は頑張っていきたいところ。
そんでもって、新作です。
今回もタイトルからして分かりますが、ツンデレな彼女シリーズ第三弾。
第三弾にしてもはやネタ付きそうな危うさが見られます。
これはいけません。
ぶっちゃけ、このシリーズ凄く書きやすいんですよね。
なのでもっとネタ探しておかないと……。
それではどうぞ~☆
ツンデレ、という言葉を皆さんは知っているだろうか。
普段はツンツンしているが、二人きりの時などには急にしおらしくなってデレる。
大雑把に言えば、そういうものをツンデレと呼ぶ。
もっと分かりやすく言えば、好きな子には素直になれない可愛い生物のことである。
つまり―――
「な、何よ?」
「いや……」
「べ、別にハヤテ君のためにこんな格好してるわけじゃないんだから!」
僕の目の前で、何故か猫耳姿のヒナギクさん。
そんな彼女のことを、世間一般にはツンデレと呼ぶのだ。
『ツンデレな彼女~気高くなくもない猫ヒナギクver.~』
「……今日は猫耳なんですね」
前回と全く同じ出だしにも気にしないで、僕の口からはそんな言葉が飛び出していた。
生徒会室の扉を開けた僕のすぐ眼前に立っていた猫さんに、僕はとりあえず聞いてみる。
今度は一体何を吹き込まれたのか、と。
三度目になるが、ヒナギクさんは誰から見ても常識人。
しかしここ最近、彼女も結構常識はずれなところもあるかも知れないと思ってきた。
だってナースに巫女さんときて、今度は猫だもの。
人の枠を越えてしまった。
友人に唆され、コスプレさせられてしまったのは分かる。
しかし過去二度の失敗(いや成功か?)があったにも拘わらず、なぜ今回もこんな格好をされているのだろうか。
ヒナギクさんの頭に猫の耳なんて元々ないし、小さめのお尻からもあんなもふもふした尻尾も生えていない。
というより、何度も言うけれども生徒会室でするような姿ではない。
ここは某ハルヒさんが属する団の部室ではないし、ヒナギクさんも某未来人のようなキャラではないのだ。身体的にも。
「(もしかして……目覚めてしまった、とか)」
前回と違って、考えられる答えが増えた。
この間は朝風さんから僕が巫女さん萌えだと言われての巫女服だったのだが、今回はどうだろう。
コスプレして僕の反応を見るの、少し楽しくなっていませんか?ヒナギクさん。
「………いや、まだ大丈夫なはずだ……」
そうなっている可能性も否めないが、その考えは出来るだけ捨てたい。
目覚めたヒナギクさんも非常に興味があるのだが、今はまだ、凛々しく、美しくカッコイイヒナギクさんを好きでいたい。
僕だけでなく、たぶん学校側も。
「(それより何で猫耳?)」
取り敢えず、猫耳ぴこぴこ、尻尾ふりふりなヒナギクさんに僕は視線を移す。
しかしなんともまぁ、良く似合っている。
猫耳、尻尾、こちらの反応を窺う少し恥ずかしそうな表情。
正直いって今回も理性の崩壊が危うい。
これで語尾に『にゃ』なんてつけられたら、僕はバレたら退学レベルのことをしてしまうかもしれない。
「(何思ってるんだ僕は……)」
年相応な青臭い妄想だといわせてもらいたい。
そんなことを僕が考えていると、ヒナギクさんがやはり今回も慌てた様子で弁解をしてきた。
「こ、これはお義母さんが勝手に買ってきて……! これ着たらハヤテ君喜ぶかなって思っただけで……!」
「………」
「べ、別に折角買ってくれたのに着ないのは申し訳ないって思ったからじゃないんだから!」
「落ち着いてヒナギクさん! たぶん本音と建前が逆になってる!」
もう彼女は駄目かもしれない。
三回の中で、一番酷い言い訳だった。
というかお義母様も何買ってきてるんですか……。
それを着るヒナギクさんもヒナギクさんだとは思うけれど。
「でも大体事情は分かりました」
今回はヒナギクさんのお義母様らしい(ということにして欲しい)。
一体どんな理由があるのかと思っていたのだけれど、今回ほど説得力に欠ける言い訳もなかった。
さて。
三回目となる今回なのだが、いよいよヒナギクさんにレイヤー化の兆候が見られ始めてしまったわけなのだが、この事態はどうすべきなのだろうか。
言って諭したほうが良いのか、静観しているのが良いのか。
「まぁ似合ってるからこのままでも良いとは思う、けれどね……」
そう呟いて、眼前の猫さんに視線を移す。
猫耳……いや、別に嫌いというわけじゃないのだけれども。
冒頭で言った通り、それでも心のどこかでは、カッコ良くて凛々しく美しいヒナギクさんを好きでいたいと思っている。
「うーむ……」
猫耳をピコピコ動かして、頬を赤らめもじもじするヒナギクさんを見て僕は唸った。
ヒナギクさんは流されやすい人、それはこの間の一件で確信した。しかし今回、ヒナギクさんに着るように強要した人はいない。
買ってきたお義母様が理由に一枚噛んでいるが、着る着ないの選択はヒナギクさんに全てあったはず。
鏡の前で猫耳をつけ、顔を赤らめるヒナギクさんが頭に浮かんできてしまった。
激しく萌えた。
「いや、本っ当に可愛いですね、ヒナギクさん」
「にゃ!?」
いや、やはりどんなに言い訳が言い訳として成り立っていなかろうが、可愛いものは可愛いのだ。
可愛いは正義。
例えヒナギクさんが過去の勇姿からその姿を遠ざけようとも、そのおかげで彼女のこんなに可愛い姿を目に出来るのだから。
顔を茹蛸のように真っ赤にしたヒナギクさんに、僕は言葉を続ける。
「だって、僕が喜ぶかもしれないからと思って、猫耳姿でこうしていてくれるわけでしょう?」
「だ、だから違うって言ってるじゃない! お義母さんが勝手に買ってきただけで……」
「買ってきたとしても、着なければいい話ですよね」
僕の言葉に、ヒナギクさんは言葉に詰まった。
「ふ、服だってお金なのよ! お金を粗末にできないの!」
「それにヒナギクさん、お義母様が買ってきた服で着ていないの山ほどあったじゃないですか」
「―――! そ、それは……」
前にヒナギクさん宅にお邪魔したとき、山ほどのフリフリのスカートを目撃したのを覚えている。
あれ?というかその中に猫耳もあったと思うのだけど、ヒナギクさんが今回身につけているものはそれとは違うようだった。
「(まぁ)」
そんなことは心底どうでもいい。
理由はなんであれ、ヒナギクさんが猫耳を着用したことに意義がある。
ヒナギクさんが言葉に詰まっている間に、僕はヒナギクさんを抱きしめた。
「にゃうっ!?」
「なんというか、本当にヒナギクさんが愛しくて発狂しそうなんですけど」
「い、いきなりは反則よ! というか発狂って何!?」
「気にしないでください」
猫の姿で、僕の腕の中でわたわたと慌てるヒナギクさん。なんという眼福。
その姿に外れかけの理性に勝つために、ヒナギクさんを抱きしめる腕に力を込めた。
「ヒナギクさん」
「う……な、何よ」
「理由がどうであれ……猫耳を着けてくれてありがとうございます。凄く嬉しいです」
ヒナギクさんは大人しくなって、抵抗しなかった。
それこそ借りてきた猫のように、しかし顔はそっぽに向けて小さく呟く。
「喜んでくれた」と。
「………別に、ハヤテ君のために着けたわけじゃないんだから」
「それでも、ですよ」
頬を染め、そう言ったヒナギクさんに、僕は思わず苦笑してしまった。
彼女の嘘を証明する言葉を、僕はたった今彼女の口から聞いたというのに。
本当、素直じゃない人である。
「本当に……可愛い人ですね」
僕の言葉には答えず、ヒナギクさんはつーんとそっぽを向いたまま。
目を合わせてくれない。
その姿はまさに猫のようで、本当に可愛いなぁと思いつつ、僕は彼女に言った。
「大好きすぎて困りますので、責任とってくださいね」
「………バカ。それって私の台詞よ、バカハヤテ君」
可愛い憎まれ言を言いながらも、僕の口付けにしっかりと答えてくれるヒナギクさんは、本当に愛らしい、僕のツンデレな彼女。
「………本当に可愛かった……かにゃ?」
「………………」
理性崩壊しました。
End
テストも無事終わり、春休み突入です。
バイトや遊びに恐らく明け暮れる毎日だと思いますが、その中でも執筆は頑張っていきたいところ。
そんでもって、新作です。
今回もタイトルからして分かりますが、ツンデレな彼女シリーズ第三弾。
第三弾にしてもはやネタ付きそうな危うさが見られます。
これはいけません。
ぶっちゃけ、このシリーズ凄く書きやすいんですよね。
なのでもっとネタ探しておかないと……。
それではどうぞ~☆
ツンデレ、という言葉を皆さんは知っているだろうか。
普段はツンツンしているが、二人きりの時などには急にしおらしくなってデレる。
大雑把に言えば、そういうものをツンデレと呼ぶ。
もっと分かりやすく言えば、好きな子には素直になれない可愛い生物のことである。
つまり―――
「な、何よ?」
「いや……」
「べ、別にハヤテ君のためにこんな格好してるわけじゃないんだから!」
僕の目の前で、何故か猫耳姿のヒナギクさん。
そんな彼女のことを、世間一般にはツンデレと呼ぶのだ。
『ツンデレな彼女~気高くなくもない猫ヒナギクver.~』
「……今日は猫耳なんですね」
前回と全く同じ出だしにも気にしないで、僕の口からはそんな言葉が飛び出していた。
生徒会室の扉を開けた僕のすぐ眼前に立っていた猫さんに、僕はとりあえず聞いてみる。
今度は一体何を吹き込まれたのか、と。
三度目になるが、ヒナギクさんは誰から見ても常識人。
しかしここ最近、彼女も結構常識はずれなところもあるかも知れないと思ってきた。
だってナースに巫女さんときて、今度は猫だもの。
人の枠を越えてしまった。
友人に唆され、コスプレさせられてしまったのは分かる。
しかし過去二度の失敗(いや成功か?)があったにも拘わらず、なぜ今回もこんな格好をされているのだろうか。
ヒナギクさんの頭に猫の耳なんて元々ないし、小さめのお尻からもあんなもふもふした尻尾も生えていない。
というより、何度も言うけれども生徒会室でするような姿ではない。
ここは某ハルヒさんが属する団の部室ではないし、ヒナギクさんも某未来人のようなキャラではないのだ。身体的にも。
「(もしかして……目覚めてしまった、とか)」
前回と違って、考えられる答えが増えた。
この間は朝風さんから僕が巫女さん萌えだと言われての巫女服だったのだが、今回はどうだろう。
コスプレして僕の反応を見るの、少し楽しくなっていませんか?ヒナギクさん。
「………いや、まだ大丈夫なはずだ……」
そうなっている可能性も否めないが、その考えは出来るだけ捨てたい。
目覚めたヒナギクさんも非常に興味があるのだが、今はまだ、凛々しく、美しくカッコイイヒナギクさんを好きでいたい。
僕だけでなく、たぶん学校側も。
「(それより何で猫耳?)」
取り敢えず、猫耳ぴこぴこ、尻尾ふりふりなヒナギクさんに僕は視線を移す。
しかしなんともまぁ、良く似合っている。
猫耳、尻尾、こちらの反応を窺う少し恥ずかしそうな表情。
正直いって今回も理性の崩壊が危うい。
これで語尾に『にゃ』なんてつけられたら、僕はバレたら退学レベルのことをしてしまうかもしれない。
「(何思ってるんだ僕は……)」
年相応な青臭い妄想だといわせてもらいたい。
そんなことを僕が考えていると、ヒナギクさんがやはり今回も慌てた様子で弁解をしてきた。
「こ、これはお義母さんが勝手に買ってきて……! これ着たらハヤテ君喜ぶかなって思っただけで……!」
「………」
「べ、別に折角買ってくれたのに着ないのは申し訳ないって思ったからじゃないんだから!」
「落ち着いてヒナギクさん! たぶん本音と建前が逆になってる!」
もう彼女は駄目かもしれない。
三回の中で、一番酷い言い訳だった。
というかお義母様も何買ってきてるんですか……。
それを着るヒナギクさんもヒナギクさんだとは思うけれど。
「でも大体事情は分かりました」
今回はヒナギクさんのお義母様らしい(ということにして欲しい)。
一体どんな理由があるのかと思っていたのだけれど、今回ほど説得力に欠ける言い訳もなかった。
さて。
三回目となる今回なのだが、いよいよヒナギクさんにレイヤー化の兆候が見られ始めてしまったわけなのだが、この事態はどうすべきなのだろうか。
言って諭したほうが良いのか、静観しているのが良いのか。
「まぁ似合ってるからこのままでも良いとは思う、けれどね……」
そう呟いて、眼前の猫さんに視線を移す。
猫耳……いや、別に嫌いというわけじゃないのだけれども。
冒頭で言った通り、それでも心のどこかでは、カッコ良くて凛々しく美しいヒナギクさんを好きでいたいと思っている。
「うーむ……」
猫耳をピコピコ動かして、頬を赤らめもじもじするヒナギクさんを見て僕は唸った。
ヒナギクさんは流されやすい人、それはこの間の一件で確信した。しかし今回、ヒナギクさんに着るように強要した人はいない。
買ってきたお義母様が理由に一枚噛んでいるが、着る着ないの選択はヒナギクさんに全てあったはず。
鏡の前で猫耳をつけ、顔を赤らめるヒナギクさんが頭に浮かんできてしまった。
激しく萌えた。
「いや、本っ当に可愛いですね、ヒナギクさん」
「にゃ!?」
いや、やはりどんなに言い訳が言い訳として成り立っていなかろうが、可愛いものは可愛いのだ。
可愛いは正義。
例えヒナギクさんが過去の勇姿からその姿を遠ざけようとも、そのおかげで彼女のこんなに可愛い姿を目に出来るのだから。
顔を茹蛸のように真っ赤にしたヒナギクさんに、僕は言葉を続ける。
「だって、僕が喜ぶかもしれないからと思って、猫耳姿でこうしていてくれるわけでしょう?」
「だ、だから違うって言ってるじゃない! お義母さんが勝手に買ってきただけで……」
「買ってきたとしても、着なければいい話ですよね」
僕の言葉に、ヒナギクさんは言葉に詰まった。
「ふ、服だってお金なのよ! お金を粗末にできないの!」
「それにヒナギクさん、お義母様が買ってきた服で着ていないの山ほどあったじゃないですか」
「―――! そ、それは……」
前にヒナギクさん宅にお邪魔したとき、山ほどのフリフリのスカートを目撃したのを覚えている。
あれ?というかその中に猫耳もあったと思うのだけど、ヒナギクさんが今回身につけているものはそれとは違うようだった。
「(まぁ)」
そんなことは心底どうでもいい。
理由はなんであれ、ヒナギクさんが猫耳を着用したことに意義がある。
ヒナギクさんが言葉に詰まっている間に、僕はヒナギクさんを抱きしめた。
「にゃうっ!?」
「なんというか、本当にヒナギクさんが愛しくて発狂しそうなんですけど」
「い、いきなりは反則よ! というか発狂って何!?」
「気にしないでください」
猫の姿で、僕の腕の中でわたわたと慌てるヒナギクさん。なんという眼福。
その姿に外れかけの理性に勝つために、ヒナギクさんを抱きしめる腕に力を込めた。
「ヒナギクさん」
「う……な、何よ」
「理由がどうであれ……猫耳を着けてくれてありがとうございます。凄く嬉しいです」
ヒナギクさんは大人しくなって、抵抗しなかった。
それこそ借りてきた猫のように、しかし顔はそっぽに向けて小さく呟く。
「喜んでくれた」と。
「………別に、ハヤテ君のために着けたわけじゃないんだから」
「それでも、ですよ」
頬を染め、そう言ったヒナギクさんに、僕は思わず苦笑してしまった。
彼女の嘘を証明する言葉を、僕はたった今彼女の口から聞いたというのに。
本当、素直じゃない人である。
「本当に……可愛い人ですね」
僕の言葉には答えず、ヒナギクさんはつーんとそっぽを向いたまま。
目を合わせてくれない。
その姿はまさに猫のようで、本当に可愛いなぁと思いつつ、僕は彼女に言った。
「大好きすぎて困りますので、責任とってくださいね」
「………バカ。それって私の台詞よ、バカハヤテ君」
可愛い憎まれ言を言いながらも、僕の口付けにしっかりと答えてくれるヒナギクさんは、本当に愛らしい、僕のツンデレな彼女。
「………本当に可愛かった……かにゃ?」
「………………」
理性崩壊しました。
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