関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうも、関ヶ原でございます。
昨日スランプだと書きましたが、どうやらマジでスランプのようです。
まず文章にまとまりがなく、矛盾が生じてしまうのです。
それでも一応書きました。
当然ハヤヒナです。
しかし内容がわけ分かりません。本当すいません(泣
でも、頑張って書きましたので、読んでほしいと思います。
今回の話はちょっと時期が早いネタでございます。
それではどうぞ~♪
近所で夏祭りがあることをヒナギクが知ったのは、祭り当日だった。
公園を通る際、何かしら準備をしていたことは知っていたのだが、帰り道に公園の方に寄ってみると人で溢れていたのだ。
それを見て、「今日…夏祭りなんだ」とヒナギクは呟く。
そして思う。
愛しの彼を誘ってみよう、と。
「忙しくなければいいのだけれど……」
携帯を覗き、目当ての名前をプッシュ。
少しのコール音の後。
「あ、ハヤテ君?実は―――」
『ガラス細工と夏祭り』
その夏祭りは、公園で行う祭りにしてはなかなか賑わっていた。
溢れる人ごみの中を、ハヤテとヒナギクは手を繋ぎながら歩く。
「いやー、賑わってますねー」
「本当ねー」
ハヤテから二つ返事でokをもらったヒナギクは、浴衣姿である。
ハヤテは執事服を脱ぎ、私服姿。
外見は中の良い恋人同士。しかし中身はラブラブ熱々カップルであるこの二人。
とりあえず回ってみよう、というハヤテの提案により、一通り祭りを回っているところだった。
「あ、綿菓子!」
気になるものがあったら足を止める。
綿菓子を見たヒナギクは、ハヤテの手を引いて店主のほうへと向かっていく。
「いらっしゃい!」威勢の良い店主に負けじと、ヒナギクも元気な声で答えた。
「おじさん!綿菓子一つください!!」
「はいよ、ありがとね!」
店主から綿菓子を受け取り、表情を輝かせているヒナギクを見て、ハヤテは笑みを浮かべる。
「(クス……。こうして見ると本当に子供っぽいな)」
白皇学院の生徒たちは、ヒナギクの生徒会長の顔しか知らない。ヒナギクにこんな一面があったことを知れば驚くにちがいない。
そんな表情を自分だけに見せてくれていると思うと、ハヤテは嬉しく、誇らしかった。
「ん?どうしたの、ハヤテ君?」
ハヤテの視線に気づいたヒナギクが不思議そうにハヤテを見ていた。
こんな表情も、愛おしい。
「いいえ、なんでも。綿菓子おいしいですか?」
「うん!」
子供っぽく、はにかみながら笑うヒナギクに、ハヤテは再び笑みを零した。
…
その後も二人は祭りを回っていった。焼きそばやたこ焼きを食べたり、射的をしたり、と祭りならではの出店を楽しんでいた。
「あ」
祭りも大半を回り終えたかという時、ヒナギクの隣を歩いていたハヤテが小さく言葉を発した。
「どうしたの?」
「あれ……」
ハヤテがとある場所を指差す。
ヒナギクもハヤテが指差した方向に目を向けて、「あ……」と呟いた。
ハヤテの指先がしめした方向にあったものは、ガラス細工の小さな出店だった。
様々な動物がガラスで象(かたど)られ、光に反射して美しく輝いている。
「綺麗…」
「ええ。ヒナギクさん、ちょっと寄ってみませんか?」
ハヤテの言葉に異論などあるはずなく、ヒナギクは大きく頷いた。
「いらっしゃい。いろいろあるからゆっくり見ていってくれ」
店主に軽く返事を返し、ハヤテとヒナギクは美しく輝くガラス細工たちを眺める。
本当に様々な動物たちがあり、どれを選ぶかなど難しいくらいだ。
「本当色々あるんですね……」
「多くて選べないわね……」
「はっは。数がなくちゃ売れないからね。これでも苦労してるんだぜ」
「うーむ……お?」
店主の言葉に相槌をうちつつ、品物たちをじっくりと眺めていると、あるモノがハヤテの目に止まった。
「これ……」
それを手にとりヒナギクに見せると、
「可愛い!!」
と、ヒナギクの目がガラス細工に負けじと輝く。
それは、猫のガラスだった。
青とピンクの二色あり、ハヤテが持っているのはピンク色である。
「お、目の付け所がいいね」
「え?」
「それはカップル用に用意したもんなんだよ」
店主が言うには、この猫は二匹で一つ、という設定らしく、青色を女性に、ピンク色を男性に持たせることで、その二人は決して離れない強い愛情で結ばれるという。
「へぇ……」
ハヤテはそう言葉を漏らす。見れば値段も手ごろ。携帯用として作られたからか、それほど大きくなく、コンパクトである。
「どうだい?」
ハヤテはヒナギクに目をやる。ヒナギクはそれが気に入ったらしく、その猫のガラスをじーっと見つめていた。
「これにします」
そうなれば買わない理由などなかった。
お代を払い、商品を受け取ったハヤテは、ヒナギクを連れて店を後にする。
今もまだ賑わう祭の会場から少し離れた場所で、ハヤテは先ほど買ったガラス細工をヒナギクに渡した。
「はい、ヒナギクさん」
「ありがと、ハヤテ君」
ヒナギクに青の猫を、そしてハヤテはピンクの猫を。
青色に輝く猫を受け取ったヒナギクは、嬉しそうに微笑んだ。
「大事にするから」
「はい。大事にしてくださいね」
ヒナギクが喜んでいるのを見て、ハヤテの顔にも笑みが浮かぶ。
買ったものは、彼女に渡すにしては安すぎるガラス細工。
そんなものでも、ヒナギクは本当に嬉しそうに笑っている。
「(普通のカップルなら、もう少し高いものをプレゼントすると思うんだけど……)」
もっと気持ちのこもった高価なものを与えられない自分の甲斐性が恨めしく、ハヤテは思わず口を開いていた。
「ヒナギクさん」
「ん?何、ハヤテ君?」
ガラスに向けていた視線をハヤテに移し、ヒナギクは尋ねる。
その琥珀の瞳を見つめて、ハヤテは言った。
「――――指輪は、もっと高価なものにしますから」
「………え?」
ハヤテの言葉の意味が良く理解出来ていないのか、ヒナギクの表情には少しの戸惑いが見られた。
「え?あの……ハヤテ君?今の言葉って……」
「言葉の通りですよ」
そんなヒナギクに、ハヤテはくす、と小さく笑いを零すと、ヒナギクの手を握って言った。
「婚約指輪が安物では、あまりに失礼ですからね♪」
今はこんな身分で高価なものは何一つあげられないけれど、せめて人生の晴れ舞台だけは、と誓いをたてて。
言葉の意味を漸く理解し、かぁ…っと赤面したヒナギクをハヤテは抱きしめる。
「なのでもう少しだけ……待っていてもらえますか?」
「……………うん、待ってる。いつまでも、ずっと……」
二人は見つめあい、そして唇を重ねた。
来たるべき未来を誓い合うかのように。
「ねぇハヤテ君?」
「はい、何でしょう?」
「なんだか御利益ありそうじゃない」
「え?」
「猫の作り物」
月に照らされる、二つの影。
青とピンクのガラス細工の猫たちが、二人の未来を示しているかのように、それぞれの色を放って輝く。
「確かに、決して離れないわね、私たちは」
「別に買わなくても離れることはありえないですけれどね」
「何よ?買ったのはハヤテ君じゃない」
「ええ、その通りです。これは婚約指輪の代わり、ということで……」
「っ――――バ、バカ。期待してるんだからね!?高い指輪じゃないと許さないんだから!!」
ガラス細工が運んだ小さな幸せ。
そんな幸せをヒナギクたちが感じている夏祭りの夜は、まだしばらく賑やかな空気が続きそうであった。
End
昨日スランプだと書きましたが、どうやらマジでスランプのようです。
まず文章にまとまりがなく、矛盾が生じてしまうのです。
それでも一応書きました。
当然ハヤヒナです。
しかし内容がわけ分かりません。本当すいません(泣
でも、頑張って書きましたので、読んでほしいと思います。
今回の話はちょっと時期が早いネタでございます。
それではどうぞ~♪
近所で夏祭りがあることをヒナギクが知ったのは、祭り当日だった。
公園を通る際、何かしら準備をしていたことは知っていたのだが、帰り道に公園の方に寄ってみると人で溢れていたのだ。
それを見て、「今日…夏祭りなんだ」とヒナギクは呟く。
そして思う。
愛しの彼を誘ってみよう、と。
「忙しくなければいいのだけれど……」
携帯を覗き、目当ての名前をプッシュ。
少しのコール音の後。
「あ、ハヤテ君?実は―――」
『ガラス細工と夏祭り』
その夏祭りは、公園で行う祭りにしてはなかなか賑わっていた。
溢れる人ごみの中を、ハヤテとヒナギクは手を繋ぎながら歩く。
「いやー、賑わってますねー」
「本当ねー」
ハヤテから二つ返事でokをもらったヒナギクは、浴衣姿である。
ハヤテは執事服を脱ぎ、私服姿。
外見は中の良い恋人同士。しかし中身はラブラブ熱々カップルであるこの二人。
とりあえず回ってみよう、というハヤテの提案により、一通り祭りを回っているところだった。
「あ、綿菓子!」
気になるものがあったら足を止める。
綿菓子を見たヒナギクは、ハヤテの手を引いて店主のほうへと向かっていく。
「いらっしゃい!」威勢の良い店主に負けじと、ヒナギクも元気な声で答えた。
「おじさん!綿菓子一つください!!」
「はいよ、ありがとね!」
店主から綿菓子を受け取り、表情を輝かせているヒナギクを見て、ハヤテは笑みを浮かべる。
「(クス……。こうして見ると本当に子供っぽいな)」
白皇学院の生徒たちは、ヒナギクの生徒会長の顔しか知らない。ヒナギクにこんな一面があったことを知れば驚くにちがいない。
そんな表情を自分だけに見せてくれていると思うと、ハヤテは嬉しく、誇らしかった。
「ん?どうしたの、ハヤテ君?」
ハヤテの視線に気づいたヒナギクが不思議そうにハヤテを見ていた。
こんな表情も、愛おしい。
「いいえ、なんでも。綿菓子おいしいですか?」
「うん!」
子供っぽく、はにかみながら笑うヒナギクに、ハヤテは再び笑みを零した。
…
その後も二人は祭りを回っていった。焼きそばやたこ焼きを食べたり、射的をしたり、と祭りならではの出店を楽しんでいた。
「あ」
祭りも大半を回り終えたかという時、ヒナギクの隣を歩いていたハヤテが小さく言葉を発した。
「どうしたの?」
「あれ……」
ハヤテがとある場所を指差す。
ヒナギクもハヤテが指差した方向に目を向けて、「あ……」と呟いた。
ハヤテの指先がしめした方向にあったものは、ガラス細工の小さな出店だった。
様々な動物がガラスで象(かたど)られ、光に反射して美しく輝いている。
「綺麗…」
「ええ。ヒナギクさん、ちょっと寄ってみませんか?」
ハヤテの言葉に異論などあるはずなく、ヒナギクは大きく頷いた。
「いらっしゃい。いろいろあるからゆっくり見ていってくれ」
店主に軽く返事を返し、ハヤテとヒナギクは美しく輝くガラス細工たちを眺める。
本当に様々な動物たちがあり、どれを選ぶかなど難しいくらいだ。
「本当色々あるんですね……」
「多くて選べないわね……」
「はっは。数がなくちゃ売れないからね。これでも苦労してるんだぜ」
「うーむ……お?」
店主の言葉に相槌をうちつつ、品物たちをじっくりと眺めていると、あるモノがハヤテの目に止まった。
「これ……」
それを手にとりヒナギクに見せると、
「可愛い!!」
と、ヒナギクの目がガラス細工に負けじと輝く。
それは、猫のガラスだった。
青とピンクの二色あり、ハヤテが持っているのはピンク色である。
「お、目の付け所がいいね」
「え?」
「それはカップル用に用意したもんなんだよ」
店主が言うには、この猫は二匹で一つ、という設定らしく、青色を女性に、ピンク色を男性に持たせることで、その二人は決して離れない強い愛情で結ばれるという。
「へぇ……」
ハヤテはそう言葉を漏らす。見れば値段も手ごろ。携帯用として作られたからか、それほど大きくなく、コンパクトである。
「どうだい?」
ハヤテはヒナギクに目をやる。ヒナギクはそれが気に入ったらしく、その猫のガラスをじーっと見つめていた。
「これにします」
そうなれば買わない理由などなかった。
お代を払い、商品を受け取ったハヤテは、ヒナギクを連れて店を後にする。
今もまだ賑わう祭の会場から少し離れた場所で、ハヤテは先ほど買ったガラス細工をヒナギクに渡した。
「はい、ヒナギクさん」
「ありがと、ハヤテ君」
ヒナギクに青の猫を、そしてハヤテはピンクの猫を。
青色に輝く猫を受け取ったヒナギクは、嬉しそうに微笑んだ。
「大事にするから」
「はい。大事にしてくださいね」
ヒナギクが喜んでいるのを見て、ハヤテの顔にも笑みが浮かぶ。
買ったものは、彼女に渡すにしては安すぎるガラス細工。
そんなものでも、ヒナギクは本当に嬉しそうに笑っている。
「(普通のカップルなら、もう少し高いものをプレゼントすると思うんだけど……)」
もっと気持ちのこもった高価なものを与えられない自分の甲斐性が恨めしく、ハヤテは思わず口を開いていた。
「ヒナギクさん」
「ん?何、ハヤテ君?」
ガラスに向けていた視線をハヤテに移し、ヒナギクは尋ねる。
その琥珀の瞳を見つめて、ハヤテは言った。
「――――指輪は、もっと高価なものにしますから」
「………え?」
ハヤテの言葉の意味が良く理解出来ていないのか、ヒナギクの表情には少しの戸惑いが見られた。
「え?あの……ハヤテ君?今の言葉って……」
「言葉の通りですよ」
そんなヒナギクに、ハヤテはくす、と小さく笑いを零すと、ヒナギクの手を握って言った。
「婚約指輪が安物では、あまりに失礼ですからね♪」
今はこんな身分で高価なものは何一つあげられないけれど、せめて人生の晴れ舞台だけは、と誓いをたてて。
言葉の意味を漸く理解し、かぁ…っと赤面したヒナギクをハヤテは抱きしめる。
「なのでもう少しだけ……待っていてもらえますか?」
「……………うん、待ってる。いつまでも、ずっと……」
二人は見つめあい、そして唇を重ねた。
来たるべき未来を誓い合うかのように。
「ねぇハヤテ君?」
「はい、何でしょう?」
「なんだか御利益ありそうじゃない」
「え?」
「猫の作り物」
月に照らされる、二つの影。
青とピンクのガラス細工の猫たちが、二人の未来を示しているかのように、それぞれの色を放って輝く。
「確かに、決して離れないわね、私たちは」
「別に買わなくても離れることはありえないですけれどね」
「何よ?買ったのはハヤテ君じゃない」
「ええ、その通りです。これは婚約指輪の代わり、ということで……」
「っ――――バ、バカ。期待してるんだからね!?高い指輪じゃないと許さないんだから!!」
ガラス細工が運んだ小さな幸せ。
そんな幸せをヒナギクたちが感じている夏祭りの夜は、まだしばらく賑やかな空気が続きそうであった。
End
PR
自由人さんのHP新設のお祝いに書いた小説です。
俺なんかの小説でよければいくらでも寄贈しますので、皆さんもどうぞ♪
ただし製作期限は無期限で(笑)
長いこと待ってくれた自由人さん、本当にありがとう…(T-T)
それではどうぞ~♪
六月に入り、梅雨の時期になった。
日本列島には梅雨前線がやってきて、全国どこも雨の予報が続いていた。
「最近雨が多いわねぇ……」
生徒会室の窓から覗ける雨空に、桂ヒナギクはため息をついた。
今日も今日とてヒナギクは仕事だが、梅雨だからとはいえ、雨続きの日々では流石にうんざりして仕事に身が入らない。
「あーあ、仕事に手がつかないわ……」
机にぐだー、とヒナギクは机に伏したが、湿度からくるべた付きを頬に感じ、顔を顰(しか)めて起き上がる。
「ああぁぁぁもう!何なのよ―――!!」
そこで漸く、彼女はキレた。
『梅雨の日とフェイスペーパー』
「何なのって…、梅雨なんですから仕方ないじゃないですか」
うがーっと吼えたヒナギクに声が掛けられる。
今日も今日とて、ヒナギクの仕事の手伝いに来ていた綾崎ハヤテだった。
ハヤテは苦笑を浮かべながらヒナギクに近寄ると、彼女の机に束の書類を置いて、言う。
「ほら、仕事をしないと帰れませんよ?」
「……どうせ今仕事を終わらせたって、外は雨だし」
ハヤテの言葉にヒナギクは頬を膨らませながら答えた。
「髪も肌も机も何もかもベタベタだし!!」
「僕に言われましても……」
恐らく美希たちも知らぬであろうヒナギクの姿に、ハヤテはため息をつくしかない。
ヒナギクの気持ちはわかる。
ヒナギクだって女の子なのだし、身嗜みに気を使うのは当然といっても良い。
本当にべた付きが気になるらしく、肌に触れては顔を顰めて手放し、また触れてを繰り返している。
「僕は神様でも何でもないですから、雨なんて止められないですよ?」
だが一端の執事(兼とある生徒会長の彼氏)でしかないハヤテには、雨を止めろなんてお願いは、どうしようもない要望なのだった。
ただこうして、ヒナギクの理不尽な不満を聞くことしかできない。
でも、とハヤテは内心思う。
「(まぁ、そんなところが可愛いんだけど)」
自分の前のヒナギクは、子供っぽい印象を受けさせる。
それが可愛らしく、ため息をつくことしか出来ない内容の理不尽な愚痴も、何とかしてやりたくなってくる。
「う~~。肌気持ち悪い~~」
「そうですねぇ……。雨を止ませる事以外だったらきっと……」
僕でも何かは出来るはず、とポケットに手を入れてみると、
「あ」
ハヤテの願いに答えるかのように、ハヤテはポケットの中に『あるもの』の存在を見つけた。これならヒナギクの不満も、少しは解消できるはずだ。
ハヤテはそう思い、目の前でぐー垂れているヒナギクに『それ』を差し出した。
「ヒナギクさん」
「ん…?何よぉ……」
「これを」
今だしかめっ面をしていたヒナギクだったが、ハヤテの差し出したものを目にした途端、琥珀の瞳を輝かせた。
「こ、これって…!!」
「はい、『アレ』ですよ」
「も、もらっていいの?」
「はい。是非お使いください」
ハヤテがヒナギクに微笑み、そう答えると、ヒナギクはぱぁっと表情を輝かせ、それの袋を開いた。
そして数十秒後―――。
「あ~…、すっきりする……」
ハヤテの目の前には、満面に笑みを浮かべたご機嫌なヒナギクがいた。
「良かったです。フェイスペーパーでそこまで喜んで頂けるなんて」
嬉しそうなヒナギクを見て、ハヤテも嬉しくなって言う。
「買っておいて正解でした」
そう、ハヤテのポケットにあったもの。それは『フェイスペーパー』だった。
顔のべた付きを拭いとり、さらに人によってはそのままボディにも流用出来るという優れものだ。
夏場に備えて一応買っていたのが吉と出た。
「うん、本当嬉しい!ありがとう、ハヤテ君」
「いえいえ。不快感は拭えましたか?」
「うん!」
小さな子供のようにヒナギクは頷いた。
「だから、お礼ね♪」
そして笑顔のまま、ハヤテの頬に口付けを一つ。
「―――っ」
ヒナギクの思わぬ不意打ちに、ハヤテの頬が真っ赤になった。
「ヒ、ヒナギクさん!?」
「ふふ…。ハヤテ君もほっぺがベタベタよ?」
まだ感触が残る頬を押さえ、わたわたと慌てるハヤテをくすくすと笑いながら、ヒナギクは言う。
「そんなに暑いのかしら?」
「……暑いから頬がべた付いてるんですよ」
「あら、そうなんだ♪」
「……ヒナギクさん」
恨めしそうにハヤテはヒナギクを見るが、ふふふ、とヒナギクは笑うだけ。
つい先ほどのヒナギクはなんだったのか、というくらい、今のヒナギクはイキイキとしていた。
そんなヒナギクを見てハヤテはため息をついた。
「もう……本当に敵わないなぁ……」
言動でも、行動でも、自分ではヒナギクに敵わない。
それを再確認させられてしまったから、ハヤテは苦笑するしかない。
「べた付いてるなら、ハヤテ君のほっぺ、私が拭いてあげよっか?」
「……お好きなように」
「ええ、好きにさせていただくわ♪」
それでも、梅雨空の様な表情をしていたヒナギクが笑ってくれているのだから、それで良いとハヤテは思った。
「じゃあ拭くわよー」
「はいはい。仕事もあるんですから、早めにお願いしますね」
「無理よ。だって私の唇で拭くんだから」
「え―――」
フェイスペーパーじゃないの?
というハヤテの言葉がヒナギクの唇で遮られた、とある梅雨の日のこと。
ヒナギクの、もしくは二人の惚気に中てられたのか、うんざりするほど続いていた雨が、その時ばかりはすっかり止んだのだった。
End
俺なんかの小説でよければいくらでも寄贈しますので、皆さんもどうぞ♪
ただし製作期限は無期限で(笑)
長いこと待ってくれた自由人さん、本当にありがとう…(T-T)
それではどうぞ~♪
六月に入り、梅雨の時期になった。
日本列島には梅雨前線がやってきて、全国どこも雨の予報が続いていた。
「最近雨が多いわねぇ……」
生徒会室の窓から覗ける雨空に、桂ヒナギクはため息をついた。
今日も今日とてヒナギクは仕事だが、梅雨だからとはいえ、雨続きの日々では流石にうんざりして仕事に身が入らない。
「あーあ、仕事に手がつかないわ……」
机にぐだー、とヒナギクは机に伏したが、湿度からくるべた付きを頬に感じ、顔を顰(しか)めて起き上がる。
「ああぁぁぁもう!何なのよ―――!!」
そこで漸く、彼女はキレた。
『梅雨の日とフェイスペーパー』
「何なのって…、梅雨なんですから仕方ないじゃないですか」
うがーっと吼えたヒナギクに声が掛けられる。
今日も今日とて、ヒナギクの仕事の手伝いに来ていた綾崎ハヤテだった。
ハヤテは苦笑を浮かべながらヒナギクに近寄ると、彼女の机に束の書類を置いて、言う。
「ほら、仕事をしないと帰れませんよ?」
「……どうせ今仕事を終わらせたって、外は雨だし」
ハヤテの言葉にヒナギクは頬を膨らませながら答えた。
「髪も肌も机も何もかもベタベタだし!!」
「僕に言われましても……」
恐らく美希たちも知らぬであろうヒナギクの姿に、ハヤテはため息をつくしかない。
ヒナギクの気持ちはわかる。
ヒナギクだって女の子なのだし、身嗜みに気を使うのは当然といっても良い。
本当にべた付きが気になるらしく、肌に触れては顔を顰めて手放し、また触れてを繰り返している。
「僕は神様でも何でもないですから、雨なんて止められないですよ?」
だが一端の執事(兼とある生徒会長の彼氏)でしかないハヤテには、雨を止めろなんてお願いは、どうしようもない要望なのだった。
ただこうして、ヒナギクの理不尽な不満を聞くことしかできない。
でも、とハヤテは内心思う。
「(まぁ、そんなところが可愛いんだけど)」
自分の前のヒナギクは、子供っぽい印象を受けさせる。
それが可愛らしく、ため息をつくことしか出来ない内容の理不尽な愚痴も、何とかしてやりたくなってくる。
「う~~。肌気持ち悪い~~」
「そうですねぇ……。雨を止ませる事以外だったらきっと……」
僕でも何かは出来るはず、とポケットに手を入れてみると、
「あ」
ハヤテの願いに答えるかのように、ハヤテはポケットの中に『あるもの』の存在を見つけた。これならヒナギクの不満も、少しは解消できるはずだ。
ハヤテはそう思い、目の前でぐー垂れているヒナギクに『それ』を差し出した。
「ヒナギクさん」
「ん…?何よぉ……」
「これを」
今だしかめっ面をしていたヒナギクだったが、ハヤテの差し出したものを目にした途端、琥珀の瞳を輝かせた。
「こ、これって…!!」
「はい、『アレ』ですよ」
「も、もらっていいの?」
「はい。是非お使いください」
ハヤテがヒナギクに微笑み、そう答えると、ヒナギクはぱぁっと表情を輝かせ、それの袋を開いた。
そして数十秒後―――。
「あ~…、すっきりする……」
ハヤテの目の前には、満面に笑みを浮かべたご機嫌なヒナギクがいた。
「良かったです。フェイスペーパーでそこまで喜んで頂けるなんて」
嬉しそうなヒナギクを見て、ハヤテも嬉しくなって言う。
「買っておいて正解でした」
そう、ハヤテのポケットにあったもの。それは『フェイスペーパー』だった。
顔のべた付きを拭いとり、さらに人によってはそのままボディにも流用出来るという優れものだ。
夏場に備えて一応買っていたのが吉と出た。
「うん、本当嬉しい!ありがとう、ハヤテ君」
「いえいえ。不快感は拭えましたか?」
「うん!」
小さな子供のようにヒナギクは頷いた。
「だから、お礼ね♪」
そして笑顔のまま、ハヤテの頬に口付けを一つ。
「―――っ」
ヒナギクの思わぬ不意打ちに、ハヤテの頬が真っ赤になった。
「ヒ、ヒナギクさん!?」
「ふふ…。ハヤテ君もほっぺがベタベタよ?」
まだ感触が残る頬を押さえ、わたわたと慌てるハヤテをくすくすと笑いながら、ヒナギクは言う。
「そんなに暑いのかしら?」
「……暑いから頬がべた付いてるんですよ」
「あら、そうなんだ♪」
「……ヒナギクさん」
恨めしそうにハヤテはヒナギクを見るが、ふふふ、とヒナギクは笑うだけ。
つい先ほどのヒナギクはなんだったのか、というくらい、今のヒナギクはイキイキとしていた。
そんなヒナギクを見てハヤテはため息をついた。
「もう……本当に敵わないなぁ……」
言動でも、行動でも、自分ではヒナギクに敵わない。
それを再確認させられてしまったから、ハヤテは苦笑するしかない。
「べた付いてるなら、ハヤテ君のほっぺ、私が拭いてあげよっか?」
「……お好きなように」
「ええ、好きにさせていただくわ♪」
それでも、梅雨空の様な表情をしていたヒナギクが笑ってくれているのだから、それで良いとハヤテは思った。
「じゃあ拭くわよー」
「はいはい。仕事もあるんですから、早めにお願いしますね」
「無理よ。だって私の唇で拭くんだから」
「え―――」
フェイスペーパーじゃないの?
というハヤテの言葉がヒナギクの唇で遮られた、とある梅雨の日のこと。
ヒナギクの、もしくは二人の惚気に中てられたのか、うんざりするほど続いていた雨が、その時ばかりはすっかり止んだのだった。
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