関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
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自由人さんのHP新設のお祝いに書いた小説です。
俺なんかの小説でよければいくらでも寄贈しますので、皆さんもどうぞ♪
ただし製作期限は無期限で(笑)
長いこと待ってくれた自由人さん、本当にありがとう…(T-T)
それではどうぞ~♪
六月に入り、梅雨の時期になった。
日本列島には梅雨前線がやってきて、全国どこも雨の予報が続いていた。
「最近雨が多いわねぇ……」
生徒会室の窓から覗ける雨空に、桂ヒナギクはため息をついた。
今日も今日とてヒナギクは仕事だが、梅雨だからとはいえ、雨続きの日々では流石にうんざりして仕事に身が入らない。
「あーあ、仕事に手がつかないわ……」
机にぐだー、とヒナギクは机に伏したが、湿度からくるべた付きを頬に感じ、顔を顰(しか)めて起き上がる。
「ああぁぁぁもう!何なのよ―――!!」
そこで漸く、彼女はキレた。
『梅雨の日とフェイスペーパー』
「何なのって…、梅雨なんですから仕方ないじゃないですか」
うがーっと吼えたヒナギクに声が掛けられる。
今日も今日とて、ヒナギクの仕事の手伝いに来ていた綾崎ハヤテだった。
ハヤテは苦笑を浮かべながらヒナギクに近寄ると、彼女の机に束の書類を置いて、言う。
「ほら、仕事をしないと帰れませんよ?」
「……どうせ今仕事を終わらせたって、外は雨だし」
ハヤテの言葉にヒナギクは頬を膨らませながら答えた。
「髪も肌も机も何もかもベタベタだし!!」
「僕に言われましても……」
恐らく美希たちも知らぬであろうヒナギクの姿に、ハヤテはため息をつくしかない。
ヒナギクの気持ちはわかる。
ヒナギクだって女の子なのだし、身嗜みに気を使うのは当然といっても良い。
本当にべた付きが気になるらしく、肌に触れては顔を顰めて手放し、また触れてを繰り返している。
「僕は神様でも何でもないですから、雨なんて止められないですよ?」
だが一端の執事(兼とある生徒会長の彼氏)でしかないハヤテには、雨を止めろなんてお願いは、どうしようもない要望なのだった。
ただこうして、ヒナギクの理不尽な不満を聞くことしかできない。
でも、とハヤテは内心思う。
「(まぁ、そんなところが可愛いんだけど)」
自分の前のヒナギクは、子供っぽい印象を受けさせる。
それが可愛らしく、ため息をつくことしか出来ない内容の理不尽な愚痴も、何とかしてやりたくなってくる。
「う~~。肌気持ち悪い~~」
「そうですねぇ……。雨を止ませる事以外だったらきっと……」
僕でも何かは出来るはず、とポケットに手を入れてみると、
「あ」
ハヤテの願いに答えるかのように、ハヤテはポケットの中に『あるもの』の存在を見つけた。これならヒナギクの不満も、少しは解消できるはずだ。
ハヤテはそう思い、目の前でぐー垂れているヒナギクに『それ』を差し出した。
「ヒナギクさん」
「ん…?何よぉ……」
「これを」
今だしかめっ面をしていたヒナギクだったが、ハヤテの差し出したものを目にした途端、琥珀の瞳を輝かせた。
「こ、これって…!!」
「はい、『アレ』ですよ」
「も、もらっていいの?」
「はい。是非お使いください」
ハヤテがヒナギクに微笑み、そう答えると、ヒナギクはぱぁっと表情を輝かせ、それの袋を開いた。
そして数十秒後―――。
「あ~…、すっきりする……」
ハヤテの目の前には、満面に笑みを浮かべたご機嫌なヒナギクがいた。
「良かったです。フェイスペーパーでそこまで喜んで頂けるなんて」
嬉しそうなヒナギクを見て、ハヤテも嬉しくなって言う。
「買っておいて正解でした」
そう、ハヤテのポケットにあったもの。それは『フェイスペーパー』だった。
顔のべた付きを拭いとり、さらに人によってはそのままボディにも流用出来るという優れものだ。
夏場に備えて一応買っていたのが吉と出た。
「うん、本当嬉しい!ありがとう、ハヤテ君」
「いえいえ。不快感は拭えましたか?」
「うん!」
小さな子供のようにヒナギクは頷いた。
「だから、お礼ね♪」
そして笑顔のまま、ハヤテの頬に口付けを一つ。
「―――っ」
ヒナギクの思わぬ不意打ちに、ハヤテの頬が真っ赤になった。
「ヒ、ヒナギクさん!?」
「ふふ…。ハヤテ君もほっぺがベタベタよ?」
まだ感触が残る頬を押さえ、わたわたと慌てるハヤテをくすくすと笑いながら、ヒナギクは言う。
「そんなに暑いのかしら?」
「……暑いから頬がべた付いてるんですよ」
「あら、そうなんだ♪」
「……ヒナギクさん」
恨めしそうにハヤテはヒナギクを見るが、ふふふ、とヒナギクは笑うだけ。
つい先ほどのヒナギクはなんだったのか、というくらい、今のヒナギクはイキイキとしていた。
そんなヒナギクを見てハヤテはため息をついた。
「もう……本当に敵わないなぁ……」
言動でも、行動でも、自分ではヒナギクに敵わない。
それを再確認させられてしまったから、ハヤテは苦笑するしかない。
「べた付いてるなら、ハヤテ君のほっぺ、私が拭いてあげよっか?」
「……お好きなように」
「ええ、好きにさせていただくわ♪」
それでも、梅雨空の様な表情をしていたヒナギクが笑ってくれているのだから、それで良いとハヤテは思った。
「じゃあ拭くわよー」
「はいはい。仕事もあるんですから、早めにお願いしますね」
「無理よ。だって私の唇で拭くんだから」
「え―――」
フェイスペーパーじゃないの?
というハヤテの言葉がヒナギクの唇で遮られた、とある梅雨の日のこと。
ヒナギクの、もしくは二人の惚気に中てられたのか、うんざりするほど続いていた雨が、その時ばかりはすっかり止んだのだった。
End
俺なんかの小説でよければいくらでも寄贈しますので、皆さんもどうぞ♪
ただし製作期限は無期限で(笑)
長いこと待ってくれた自由人さん、本当にありがとう…(T-T)
それではどうぞ~♪
六月に入り、梅雨の時期になった。
日本列島には梅雨前線がやってきて、全国どこも雨の予報が続いていた。
「最近雨が多いわねぇ……」
生徒会室の窓から覗ける雨空に、桂ヒナギクはため息をついた。
今日も今日とてヒナギクは仕事だが、梅雨だからとはいえ、雨続きの日々では流石にうんざりして仕事に身が入らない。
「あーあ、仕事に手がつかないわ……」
机にぐだー、とヒナギクは机に伏したが、湿度からくるべた付きを頬に感じ、顔を顰(しか)めて起き上がる。
「ああぁぁぁもう!何なのよ―――!!」
そこで漸く、彼女はキレた。
『梅雨の日とフェイスペーパー』
「何なのって…、梅雨なんですから仕方ないじゃないですか」
うがーっと吼えたヒナギクに声が掛けられる。
今日も今日とて、ヒナギクの仕事の手伝いに来ていた綾崎ハヤテだった。
ハヤテは苦笑を浮かべながらヒナギクに近寄ると、彼女の机に束の書類を置いて、言う。
「ほら、仕事をしないと帰れませんよ?」
「……どうせ今仕事を終わらせたって、外は雨だし」
ハヤテの言葉にヒナギクは頬を膨らませながら答えた。
「髪も肌も机も何もかもベタベタだし!!」
「僕に言われましても……」
恐らく美希たちも知らぬであろうヒナギクの姿に、ハヤテはため息をつくしかない。
ヒナギクの気持ちはわかる。
ヒナギクだって女の子なのだし、身嗜みに気を使うのは当然といっても良い。
本当にべた付きが気になるらしく、肌に触れては顔を顰めて手放し、また触れてを繰り返している。
「僕は神様でも何でもないですから、雨なんて止められないですよ?」
だが一端の執事(兼とある生徒会長の彼氏)でしかないハヤテには、雨を止めろなんてお願いは、どうしようもない要望なのだった。
ただこうして、ヒナギクの理不尽な不満を聞くことしかできない。
でも、とハヤテは内心思う。
「(まぁ、そんなところが可愛いんだけど)」
自分の前のヒナギクは、子供っぽい印象を受けさせる。
それが可愛らしく、ため息をつくことしか出来ない内容の理不尽な愚痴も、何とかしてやりたくなってくる。
「う~~。肌気持ち悪い~~」
「そうですねぇ……。雨を止ませる事以外だったらきっと……」
僕でも何かは出来るはず、とポケットに手を入れてみると、
「あ」
ハヤテの願いに答えるかのように、ハヤテはポケットの中に『あるもの』の存在を見つけた。これならヒナギクの不満も、少しは解消できるはずだ。
ハヤテはそう思い、目の前でぐー垂れているヒナギクに『それ』を差し出した。
「ヒナギクさん」
「ん…?何よぉ……」
「これを」
今だしかめっ面をしていたヒナギクだったが、ハヤテの差し出したものを目にした途端、琥珀の瞳を輝かせた。
「こ、これって…!!」
「はい、『アレ』ですよ」
「も、もらっていいの?」
「はい。是非お使いください」
ハヤテがヒナギクに微笑み、そう答えると、ヒナギクはぱぁっと表情を輝かせ、それの袋を開いた。
そして数十秒後―――。
「あ~…、すっきりする……」
ハヤテの目の前には、満面に笑みを浮かべたご機嫌なヒナギクがいた。
「良かったです。フェイスペーパーでそこまで喜んで頂けるなんて」
嬉しそうなヒナギクを見て、ハヤテも嬉しくなって言う。
「買っておいて正解でした」
そう、ハヤテのポケットにあったもの。それは『フェイスペーパー』だった。
顔のべた付きを拭いとり、さらに人によってはそのままボディにも流用出来るという優れものだ。
夏場に備えて一応買っていたのが吉と出た。
「うん、本当嬉しい!ありがとう、ハヤテ君」
「いえいえ。不快感は拭えましたか?」
「うん!」
小さな子供のようにヒナギクは頷いた。
「だから、お礼ね♪」
そして笑顔のまま、ハヤテの頬に口付けを一つ。
「―――っ」
ヒナギクの思わぬ不意打ちに、ハヤテの頬が真っ赤になった。
「ヒ、ヒナギクさん!?」
「ふふ…。ハヤテ君もほっぺがベタベタよ?」
まだ感触が残る頬を押さえ、わたわたと慌てるハヤテをくすくすと笑いながら、ヒナギクは言う。
「そんなに暑いのかしら?」
「……暑いから頬がべた付いてるんですよ」
「あら、そうなんだ♪」
「……ヒナギクさん」
恨めしそうにハヤテはヒナギクを見るが、ふふふ、とヒナギクは笑うだけ。
つい先ほどのヒナギクはなんだったのか、というくらい、今のヒナギクはイキイキとしていた。
そんなヒナギクを見てハヤテはため息をついた。
「もう……本当に敵わないなぁ……」
言動でも、行動でも、自分ではヒナギクに敵わない。
それを再確認させられてしまったから、ハヤテは苦笑するしかない。
「べた付いてるなら、ハヤテ君のほっぺ、私が拭いてあげよっか?」
「……お好きなように」
「ええ、好きにさせていただくわ♪」
それでも、梅雨空の様な表情をしていたヒナギクが笑ってくれているのだから、それで良いとハヤテは思った。
「じゃあ拭くわよー」
「はいはい。仕事もあるんですから、早めにお願いしますね」
「無理よ。だって私の唇で拭くんだから」
「え―――」
フェイスペーパーじゃないの?
というハヤテの言葉がヒナギクの唇で遮られた、とある梅雨の日のこと。
ヒナギクの、もしくは二人の惚気に中てられたのか、うんざりするほど続いていた雨が、その時ばかりはすっかり止んだのだった。
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