関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうもお久しぶり、関ヶ原です。
皆様お待たせいたしました。新作です。
相変わらず文章にまとまりがありません。ハヤヒナ小説四年も書いてきてまったく進歩がないとは落ち込みます。
話は変わりますが、それにしてもバイトとは大変ですが面白いものですね。
色々な方と交流できるので、自身の人間的成長につながります。
あぁ……俺もオフ会とかしてみたい。
……ま、まぁ雑談もこの辺にしておいて、一応頑張って書いたので読んでみて下さい。
ちなみに私、タイトルである線香花火に関しての知識がうろ覚えでございます(おい)。
何分花火なんてもの、ここ六、七年やってないもので、忘れかけています(マジです)。
いやー、やりたい、花火。
それではどうぞ~♪
ぱちぱちぱち。
八月の夜の静寂の中に、そんな音が聞こえてくる。
広大な土地の中の一角から、静かに、ひっそりと、小さな火花の音が聞こえてくる。
『線香花火』
花火をしようか、とはハヤテの提案だった。
仕事から帰宅したかと思えばその手にはファミリー用の花火をぶら下げ、アイカがどうしたの、と聞けば、お嬢様から頂いたとハヤテは答えた。
なんでも、三千院家傘下の会社から送られてきたのだという。
「花火なんて久しぶりなんだけれど……綺麗ね」
「そうだね。なんだかこの花火を見てると、凄く落ち着くんだ」
アイカもヒナギクもハヤテの提案に断るはずもなく、早めの夕食を済ませた後に、三千院家の庭を借りて花火をすることにした。
三千院家の傘下というだけあって、花火の種類はかなり豊富であった。
飽きさせることのないように、をコンセプトに作ったというだけあって、確かに飽きることはなかったし、アイカのテンションも下がることはなかった(何をしでかすか心配ではあったのだが)。
しかし子一時間ほどもすると、流石の花火も少なくなっていく。
綾崎家が最後に残した花火は、線香花火だった。
定番といえば定番であるが、やはりこの花火を残しておくのが正解だと思うのは、何故だろうか。
細長い花火の先端に火をつけ、小さな火球が燃えるのをただ、見つめる。
ぱちぱちぱち。
静寂の中に響くその小さな音に、騒がしかったアイカもいつの間にか聞き入っている。
「この静かに燃えている音が、何だか切なくて、優しい感じがして、僕は好きだな」
「私も」
ハヤテの言葉に、ヒナギクも頷いた。
「それで火球が落ちそうになると、頑張れ、頑張れって思っちゃうのよね」
「はは。わかるわかる」
夫婦の会話の間も、小さな火球は燃え続けている。
小さな命を一生懸命燃やすかのように。
「あ……」
優しい気持ちでその火花を眺めていると、やや離れたところからアイカのそんな声が聞こえてきた。
そちらへ視線を向けると、アイカの火球は今にも落ちそうなくらいに膨らみ、比例して火花も激しくなっていた。
線香花火特有の現象である。
「もうすぐ終わるね、あの花火」
「ええ……」
返ってきた相槌に、ハヤテはヒナギクのほうをちら、と見た。
ヒナギクの視線は、アイカと、アイカの花火から離れない。
ぱちぱちぱち。
段々と光を失っていく火球。
やがてそれは小さくなり、音も立てずに地面へと落ちた。
「………」
光を失った自分の花火を見て、アイカは少しの沈黙の後、立ち上がった。
花火を水の溜まったバケツに放り、そしてハヤテとヒナギクの元へと歩いてくる。
「………」
ハヤテとヒナギクの間に挟まれるようにしてしゃがみこみ、まだ燃えている二人の線香花火をじっと見つめた。
「どうしたの?アイカ」
「花火ならまだあるけれど?」
「ううん、いい」
二人の提案に短くそう答え、特に何をする、というわけでもなく、二人の花火をただ見つめる。
そんな娘にハヤテは眼をやる。
花火を見つめる横顔は、先ほど見たヒナギクによく似ていた。
「この花火ってさ」
この子は何を思っているのだろうか、そんなことをハヤテが考えていると、アイカが口を開いた。
「見てると、凄く切ない気持ちになったんだ。燃えているときは凄く綺麗だなって思ってたんだけど、火の玉が落ちちゃった後は凄く寂しい気持ちになったの」
「うん。それで?」
「寂しくなっちゃった」
ハヤテの問いに、アイカが苦笑を浮かべながら答えた。
「だからパパとママのところに来たの」
「そっか」
「うん、そうなんだ」
「ふーん。アイカって結構、寂しがりやなのねぇ……」
「な、何よママ?何か言いたいことでもあるの?」
「別に~~」
自分とハヤテの間でもじもじするアイカ。
気恥ずかしいのだろう、その顔は少し赤い。
そんなアイカに、ヒナギクは、
「寂しいならもっと近くに来なさいと言いたかっただけよ」
アイカを抱き寄せながら、言う。
「ほら。一緒に花火やりましょ?線香花火を見てるだけなんて、楽しくないわよ」
「………いらないって言ったのに」
「あら?じゃあやっぱりいらないのかしら?」
「…………いる」
「ん。素直でよろしい♪」
再びアイカの手には、線香花火が握られた。
ヒナギクが火を点し、細身の柄の先から光が発せられ始める。
小さな火の花が、三つになった。
寄り添うように輝く光。
「ねぇパパ、ママ」
その光を見つめながら、アイカが呟くように言った。
「花火って、いいものなんだね」
その言葉に答える声はない。
けれど、アイカを抱き寄せる腕に力が込められたのは、きっと両親の賛同の証だった。
静寂な夜。星空の下で。
家族三人寄り添って、線香花火を見つめながら。
ぱちぱちぱち、と燃える三つの火の玉。
綾崎家の今年の夏の終わりは、線香花火の光に照らされながら、静かに、ゆっくりと過ぎていくのであった。
End
皆様お待たせいたしました。新作です。
相変わらず文章にまとまりがありません。ハヤヒナ小説四年も書いてきてまったく進歩がないとは落ち込みます。
話は変わりますが、それにしてもバイトとは大変ですが面白いものですね。
色々な方と交流できるので、自身の人間的成長につながります。
あぁ……俺もオフ会とかしてみたい。
……ま、まぁ雑談もこの辺にしておいて、一応頑張って書いたので読んでみて下さい。
ちなみに私、タイトルである線香花火に関しての知識がうろ覚えでございます(おい)。
何分花火なんてもの、ここ六、七年やってないもので、忘れかけています(マジです)。
いやー、やりたい、花火。
それではどうぞ~♪
ぱちぱちぱち。
八月の夜の静寂の中に、そんな音が聞こえてくる。
広大な土地の中の一角から、静かに、ひっそりと、小さな火花の音が聞こえてくる。
『線香花火』
花火をしようか、とはハヤテの提案だった。
仕事から帰宅したかと思えばその手にはファミリー用の花火をぶら下げ、アイカがどうしたの、と聞けば、お嬢様から頂いたとハヤテは答えた。
なんでも、三千院家傘下の会社から送られてきたのだという。
「花火なんて久しぶりなんだけれど……綺麗ね」
「そうだね。なんだかこの花火を見てると、凄く落ち着くんだ」
アイカもヒナギクもハヤテの提案に断るはずもなく、早めの夕食を済ませた後に、三千院家の庭を借りて花火をすることにした。
三千院家の傘下というだけあって、花火の種類はかなり豊富であった。
飽きさせることのないように、をコンセプトに作ったというだけあって、確かに飽きることはなかったし、アイカのテンションも下がることはなかった(何をしでかすか心配ではあったのだが)。
しかし子一時間ほどもすると、流石の花火も少なくなっていく。
綾崎家が最後に残した花火は、線香花火だった。
定番といえば定番であるが、やはりこの花火を残しておくのが正解だと思うのは、何故だろうか。
細長い花火の先端に火をつけ、小さな火球が燃えるのをただ、見つめる。
ぱちぱちぱち。
静寂の中に響くその小さな音に、騒がしかったアイカもいつの間にか聞き入っている。
「この静かに燃えている音が、何だか切なくて、優しい感じがして、僕は好きだな」
「私も」
ハヤテの言葉に、ヒナギクも頷いた。
「それで火球が落ちそうになると、頑張れ、頑張れって思っちゃうのよね」
「はは。わかるわかる」
夫婦の会話の間も、小さな火球は燃え続けている。
小さな命を一生懸命燃やすかのように。
「あ……」
優しい気持ちでその火花を眺めていると、やや離れたところからアイカのそんな声が聞こえてきた。
そちらへ視線を向けると、アイカの火球は今にも落ちそうなくらいに膨らみ、比例して火花も激しくなっていた。
線香花火特有の現象である。
「もうすぐ終わるね、あの花火」
「ええ……」
返ってきた相槌に、ハヤテはヒナギクのほうをちら、と見た。
ヒナギクの視線は、アイカと、アイカの花火から離れない。
ぱちぱちぱち。
段々と光を失っていく火球。
やがてそれは小さくなり、音も立てずに地面へと落ちた。
「………」
光を失った自分の花火を見て、アイカは少しの沈黙の後、立ち上がった。
花火を水の溜まったバケツに放り、そしてハヤテとヒナギクの元へと歩いてくる。
「………」
ハヤテとヒナギクの間に挟まれるようにしてしゃがみこみ、まだ燃えている二人の線香花火をじっと見つめた。
「どうしたの?アイカ」
「花火ならまだあるけれど?」
「ううん、いい」
二人の提案に短くそう答え、特に何をする、というわけでもなく、二人の花火をただ見つめる。
そんな娘にハヤテは眼をやる。
花火を見つめる横顔は、先ほど見たヒナギクによく似ていた。
「この花火ってさ」
この子は何を思っているのだろうか、そんなことをハヤテが考えていると、アイカが口を開いた。
「見てると、凄く切ない気持ちになったんだ。燃えているときは凄く綺麗だなって思ってたんだけど、火の玉が落ちちゃった後は凄く寂しい気持ちになったの」
「うん。それで?」
「寂しくなっちゃった」
ハヤテの問いに、アイカが苦笑を浮かべながら答えた。
「だからパパとママのところに来たの」
「そっか」
「うん、そうなんだ」
「ふーん。アイカって結構、寂しがりやなのねぇ……」
「な、何よママ?何か言いたいことでもあるの?」
「別に~~」
自分とハヤテの間でもじもじするアイカ。
気恥ずかしいのだろう、その顔は少し赤い。
そんなアイカに、ヒナギクは、
「寂しいならもっと近くに来なさいと言いたかっただけよ」
アイカを抱き寄せながら、言う。
「ほら。一緒に花火やりましょ?線香花火を見てるだけなんて、楽しくないわよ」
「………いらないって言ったのに」
「あら?じゃあやっぱりいらないのかしら?」
「…………いる」
「ん。素直でよろしい♪」
再びアイカの手には、線香花火が握られた。
ヒナギクが火を点し、細身の柄の先から光が発せられ始める。
小さな火の花が、三つになった。
寄り添うように輝く光。
「ねぇパパ、ママ」
その光を見つめながら、アイカが呟くように言った。
「花火って、いいものなんだね」
その言葉に答える声はない。
けれど、アイカを抱き寄せる腕に力が込められたのは、きっと両親の賛同の証だった。
静寂な夜。星空の下で。
家族三人寄り添って、線香花火を見つめながら。
ぱちぱちぱち、と燃える三つの火の玉。
綾崎家の今年の夏の終わりは、線香花火の光に照らされながら、静かに、ゆっくりと過ぎていくのであった。
End
PR
どうもご無沙汰、関ヶ原です。
なかなか新作が完成しないことに歯痒さを覚えます。
だって…、バイト疲れで九時には寝ちゃってるんだもん(理由になってない)!
ですから余りにも申し訳ないので、過去作だけでもうpしようと思います。
本当に待たせてしまって申し訳ないですorz
それではどうぞ~♪
『幸朝』
「ハヤテ君」
朝。
綺麗な声に起こされて眼を開けば、そこには僕の愛しい人がいた。
「…ヒナギクさん」
「ふふ…。ぐっすり寝てたわよ」
カーテンからもれる光に照らされる彼女の笑顔に、寝ぼけ眼の僕は眼を細める。
「……そうでしたか?」
「そうでしたよ」
くすくすと笑う彼女。
それを眺める僕。
二人用ベットの上で僕たちはしばし見つめ合い、笑った。
なんと穏やかで、平和なのだろうか。
「ねぇハヤテ君」
「はい?なんですか」
平穏たる時間を噛み締めていると、ヒナギクさんがずい、と顔を突き出して来た。
「いつものー」
そして、上目で僕を見上げ、どこか猫のような甘えた声を出す。
「…はいはい」
それが本当に可愛くて。
僕は桜色の唇に、ゆっくり唇を重ねるのだ。
「ん……」
「………」
唇を離して僕たちは再び見つめ合い、
「おはよう、ハヤテ君」
「おはようございます、ヒナギクさん」
そして、今日も大好きな人が傍にいてくれる幸せを感じれる。
「ね?もう一回」
「……はい。喜んで」
そんなことを思いながら、僕たちはもう一度唇を重ねた。
それは、この先ずっと過ごしていく、幸せな日々の一コマ。
end
なかなか新作が完成しないことに歯痒さを覚えます。
だって…、バイト疲れで九時には寝ちゃってるんだもん(理由になってない)!
ですから余りにも申し訳ないので、過去作だけでもうpしようと思います。
本当に待たせてしまって申し訳ないですorz
それではどうぞ~♪
『幸朝』
「ハヤテ君」
朝。
綺麗な声に起こされて眼を開けば、そこには僕の愛しい人がいた。
「…ヒナギクさん」
「ふふ…。ぐっすり寝てたわよ」
カーテンからもれる光に照らされる彼女の笑顔に、寝ぼけ眼の僕は眼を細める。
「……そうでしたか?」
「そうでしたよ」
くすくすと笑う彼女。
それを眺める僕。
二人用ベットの上で僕たちはしばし見つめ合い、笑った。
なんと穏やかで、平和なのだろうか。
「ねぇハヤテ君」
「はい?なんですか」
平穏たる時間を噛み締めていると、ヒナギクさんがずい、と顔を突き出して来た。
「いつものー」
そして、上目で僕を見上げ、どこか猫のような甘えた声を出す。
「…はいはい」
それが本当に可愛くて。
僕は桜色の唇に、ゆっくり唇を重ねるのだ。
「ん……」
「………」
唇を離して僕たちは再び見つめ合い、
「おはよう、ハヤテ君」
「おはようございます、ヒナギクさん」
そして、今日も大好きな人が傍にいてくれる幸せを感じれる。
「ね?もう一回」
「……はい。喜んで」
そんなことを思いながら、僕たちはもう一度唇を重ねた。
それは、この先ずっと過ごしていく、幸せな日々の一コマ。
end
どうも、最近”化物語”にはまってる関ヶ原です。
いやぁ、西尾維新さんの小説は以前から読みたいと思っていたのですが、まさかこれほど面白いものだとは……。
八九寺のような妹が欲しかった…。いや、実際の妹も可愛いんですが、最近思春期のようでして……。
皆さん、妹に甘い幻想を抱くことはいけませんよ(笑)
さて、今回の話ですが、宣言通り七夕の話です。
といっても、相変わらず文章がおかしいところがありますがorz
そうそう、今回は少し、西尾維新さんの作風表現を真似してみたところがあるんですよ。
本当、俺みたいな若輩者なんかが使っていいのか分かりませんが、というか本当に真似すら出来ているか分かりませんが!!
とにかく、更新でございます。
本当は私の自称・愛弟子(笑)である自由人さんに贈ろうかとも考えたんですが、それはまた今度で…。
スイマセン、自由人さん(汗)
まぁそんな感じですので♪
それではどうぞ~☆
昔の僕は、願いが叶うような話を一切信じてはいなかった。
理由は簡単だ。
願ったところで、叶わないことを知っていたから。
願い過ぎて、裏切られて、諦めてしまっていたから。
だからサンタクロースの話も信じなかったし、どんなことでも、願いが叶うわけなんてない、と。
所詮は夢物語なのだと。
ナギお嬢様に出会い、そして彼女に逢うまでは、ずっとそう思っていた―――。
『七夕の日』
七月七日という日は、彦星と織姫が年に一度出会うことが出来るという、まぁ一般的に言えば七夕である。
道を少し歩けば、それぞれの家庭のベランダから、短冊が吊るされた笹がちらほらと見られる。
そんな日の夜、傍らで短冊を吊るす彼女を見ながら、僕はふと思う。
人生とはわからないな、と。
ほんの数年、いや、数ヶ月前の僕が今の僕を見たら驚くに違いない。
七夕の日に、笑顔で短冊を吊るす僕を見たら。
そう思うと、思わず苦笑してしまう。
「ん?どうしたの、ハヤテ君?」
そんな僕に気づいてか、隣のヒナギクさんが話しかけてきた。
「いえ、人生とはわからないものだなぁ、と思ってただけですよ」
「どうしたの、急に?」
不思議そうな表情を浮かべるヒナギクさん。まぁ、意味はわからないだろう。
しかし僕の過去の話なんて聞いてもいい気持ちになるはずがないので、取り合えず曖昧に誤魔化そう。
「なんとなく、そう思っただけですよ」
「ふうん……」
「まぁ言うなら、可愛げもない男の子に呆れていた、みたいな?」
小さく微笑んで僕がそう答えると、ヒナギクさんは「何よそれ」と言って、笑う。
「言いたいことがあるならはっきり言いなさい、ハヤテ君」
それでも気になるのか、端整な顔をずい、と僕に近づけるヒナギクさん。
そりゃ、彼女の性格からすればこうなることも考えられたのだけれど。
「言いたいこと、ですか」
「そうよ」
僕の言いたいこと、か。
今思えば昔の――少し前の僕は本当に半分人生捨てた風に生きていて、こんな風に好きな人と仲良く七夕を過ごせる日々が来るなんて、頭の片隅にも思い浮かんでこなかった。
願いごとをしても無駄だ、と諦めていた僕に、再び願いごとをする楽しみを教えてくれる人がいるなんて、思わなかった。
「そうですね―――」
だから、そのお礼(なのかどうかはわからないけれど)に、僕が伝えたいこと、願いたいことは。
「―――言いたいことなら、短冊に書きましたから。それを見てください……っと」
彼女に真似て、笹に短冊を吊るす。
七月の夜風に笹が揺らされ、ヒナギクさんの眼前に僕の短冊が晒される。
「どれどれ………え?」
それを手に取り、ヒナギクさんが僕の願いに目を通す。
「これがハヤテ君のお願いごと?」
「はい♪心からのお願いごとですよ」
まじまじとそれを見つめ、僕の言葉を聞いて、やがて―――笑顔になった。
僕の短冊に書かれていたのは“ヒナギクさんとずっと一緒にいられますように”という、まぁありきたりといえばありきたりなものだった。
それでも、僕にとってはこれ以上願い事にふさわしいものはない。
彦星と織姫に願う価値のあるものだと思っている。
億万長者?世界征服?そんなもの、どうだっていいのだ。
ヒナギクさんと一緒にいられれば。
そんな僕の心情を知ってか知らずか、ヒナギクさんは相変わらず笑顔で僕の方を見ている。
「ねぇハヤテ君」
ヒナギクさんは口を開き、そして。
「ハヤテ君の願い、叶うと良いわね♪」
今度はヒナギクさんの短冊を、僕に差し出してきた。
「え?」
「ね♪」
これは、見ろ、ということなのだろう。
ヒナギクさんの笑顔に推され、僕は裏返しにされたヒナギクさんの短冊をひっくり返す。
そこには。
“ハヤテ君との子供は、三人くらい欲しいです♪”
思わず噴出してしまうほどの内容だった!
噴出した僕を見てヒナギクさんは満面の笑顔だし、ひょっとして、狙ってた……のか?
………まぁいい。ともあれ。
「叶うといいわね♪」
どうやら僕の願いは叶うことを約束されているらしいことがわかったから、僕もヒナギクさんに負けないくらいの笑顔で言ってやった。
「ええ。叶うといいですね♪」と。
…
昔の僕は、願いが叶うような話を一切信じてはいなかった。
理由は簡単だ。
願ったところで、叶わないことを知っていたから。
願い過ぎて、裏切られて、諦めてしまっていたから。
だからサンタクロースの話も信じなかったし、どんなことでも、願いが叶うわけなんてない、と。
所詮は夢物語なのだと、ずっと思っていた。
でも、大好きな人と七夕の夜空に願った願い事は、絶対に叶うことがわかったから、昔の僕に一言言ってやることにする。
―――願い事も悪くないぞ、と。
夜空を緩やかに流れている天の川で、彦星と織姫が「このお調子者め」と、苦笑を浮かべているような気がした、そんな七夕の日。
End
いやぁ、西尾維新さんの小説は以前から読みたいと思っていたのですが、まさかこれほど面白いものだとは……。
八九寺のような妹が欲しかった…。いや、実際の妹も可愛いんですが、最近思春期のようでして……。
皆さん、妹に甘い幻想を抱くことはいけませんよ(笑)
さて、今回の話ですが、宣言通り七夕の話です。
といっても、相変わらず文章がおかしいところがありますがorz
そうそう、今回は少し、西尾維新さんの作風表現を真似してみたところがあるんですよ。
本当、俺みたいな若輩者なんかが使っていいのか分かりませんが、というか本当に真似すら出来ているか分かりませんが!!
とにかく、更新でございます。
本当は私の自称・愛弟子(笑)である自由人さんに贈ろうかとも考えたんですが、それはまた今度で…。
スイマセン、自由人さん(汗)
まぁそんな感じですので♪
それではどうぞ~☆
昔の僕は、願いが叶うような話を一切信じてはいなかった。
理由は簡単だ。
願ったところで、叶わないことを知っていたから。
願い過ぎて、裏切られて、諦めてしまっていたから。
だからサンタクロースの話も信じなかったし、どんなことでも、願いが叶うわけなんてない、と。
所詮は夢物語なのだと。
ナギお嬢様に出会い、そして彼女に逢うまでは、ずっとそう思っていた―――。
『七夕の日』
七月七日という日は、彦星と織姫が年に一度出会うことが出来るという、まぁ一般的に言えば七夕である。
道を少し歩けば、それぞれの家庭のベランダから、短冊が吊るされた笹がちらほらと見られる。
そんな日の夜、傍らで短冊を吊るす彼女を見ながら、僕はふと思う。
人生とはわからないな、と。
ほんの数年、いや、数ヶ月前の僕が今の僕を見たら驚くに違いない。
七夕の日に、笑顔で短冊を吊るす僕を見たら。
そう思うと、思わず苦笑してしまう。
「ん?どうしたの、ハヤテ君?」
そんな僕に気づいてか、隣のヒナギクさんが話しかけてきた。
「いえ、人生とはわからないものだなぁ、と思ってただけですよ」
「どうしたの、急に?」
不思議そうな表情を浮かべるヒナギクさん。まぁ、意味はわからないだろう。
しかし僕の過去の話なんて聞いてもいい気持ちになるはずがないので、取り合えず曖昧に誤魔化そう。
「なんとなく、そう思っただけですよ」
「ふうん……」
「まぁ言うなら、可愛げもない男の子に呆れていた、みたいな?」
小さく微笑んで僕がそう答えると、ヒナギクさんは「何よそれ」と言って、笑う。
「言いたいことがあるならはっきり言いなさい、ハヤテ君」
それでも気になるのか、端整な顔をずい、と僕に近づけるヒナギクさん。
そりゃ、彼女の性格からすればこうなることも考えられたのだけれど。
「言いたいこと、ですか」
「そうよ」
僕の言いたいこと、か。
今思えば昔の――少し前の僕は本当に半分人生捨てた風に生きていて、こんな風に好きな人と仲良く七夕を過ごせる日々が来るなんて、頭の片隅にも思い浮かんでこなかった。
願いごとをしても無駄だ、と諦めていた僕に、再び願いごとをする楽しみを教えてくれる人がいるなんて、思わなかった。
「そうですね―――」
だから、そのお礼(なのかどうかはわからないけれど)に、僕が伝えたいこと、願いたいことは。
「―――言いたいことなら、短冊に書きましたから。それを見てください……っと」
彼女に真似て、笹に短冊を吊るす。
七月の夜風に笹が揺らされ、ヒナギクさんの眼前に僕の短冊が晒される。
「どれどれ………え?」
それを手に取り、ヒナギクさんが僕の願いに目を通す。
「これがハヤテ君のお願いごと?」
「はい♪心からのお願いごとですよ」
まじまじとそれを見つめ、僕の言葉を聞いて、やがて―――笑顔になった。
僕の短冊に書かれていたのは“ヒナギクさんとずっと一緒にいられますように”という、まぁありきたりといえばありきたりなものだった。
それでも、僕にとってはこれ以上願い事にふさわしいものはない。
彦星と織姫に願う価値のあるものだと思っている。
億万長者?世界征服?そんなもの、どうだっていいのだ。
ヒナギクさんと一緒にいられれば。
そんな僕の心情を知ってか知らずか、ヒナギクさんは相変わらず笑顔で僕の方を見ている。
「ねぇハヤテ君」
ヒナギクさんは口を開き、そして。
「ハヤテ君の願い、叶うと良いわね♪」
今度はヒナギクさんの短冊を、僕に差し出してきた。
「え?」
「ね♪」
これは、見ろ、ということなのだろう。
ヒナギクさんの笑顔に推され、僕は裏返しにされたヒナギクさんの短冊をひっくり返す。
そこには。
“ハヤテ君との子供は、三人くらい欲しいです♪”
思わず噴出してしまうほどの内容だった!
噴出した僕を見てヒナギクさんは満面の笑顔だし、ひょっとして、狙ってた……のか?
………まぁいい。ともあれ。
「叶うといいわね♪」
どうやら僕の願いは叶うことを約束されているらしいことがわかったから、僕もヒナギクさんに負けないくらいの笑顔で言ってやった。
「ええ。叶うといいですね♪」と。
…
昔の僕は、願いが叶うような話を一切信じてはいなかった。
理由は簡単だ。
願ったところで、叶わないことを知っていたから。
願い過ぎて、裏切られて、諦めてしまっていたから。
だからサンタクロースの話も信じなかったし、どんなことでも、願いが叶うわけなんてない、と。
所詮は夢物語なのだと、ずっと思っていた。
でも、大好きな人と七夕の夜空に願った願い事は、絶対に叶うことがわかったから、昔の僕に一言言ってやることにする。
―――願い事も悪くないぞ、と。
夜空を緩やかに流れている天の川で、彦星と織姫が「このお調子者め」と、苦笑を浮かべているような気がした、そんな七夕の日。
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