関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうも皆様関ヶ原です。
記念小説を書く傍ら、ちょいちょいと書いていた短文をアップしますね。
つい先日、俺の通う大学で入学式がありました。
スーツを身にまとう新入生の姿に、一年前の自分を重ねていたりしました。
同時に、一年の流れの速さを実感。
来年からは就活も始まり、小説に費やす時間が一時的に少なくなると思うので、限られた時間でいろいろ書いていきたいなと思います。
まぁあくまで短文というスタンスを崩さずに(笑
それではどうぞ~☆
「ねーねーパパ!」
「ん? 何だい、アイカ」
全国各地では桜の花が開き始め、春の季節がやってきた。
白皇学院へ続く桜並木の中をゆっくりと歩きながら、綾崎ハヤテは愛娘のやや興奮したような声に耳を傾ける。
「なんだか嬉しそうだね」
「うん!」
ハヤテの言葉に、愛娘―――綾崎アイカは笑顔で答えた。
「今日ね、一年生が来たんだよ!」
『早すぎる時の流れの中で』
「そうなんだ。そういえば今日は入学式だったね」
「そうなの! 一年生ね、皆ちっちゃくて可愛いの!」
「そうかそうか」
矢継ぎ早に紡がれるアイカの言葉を、ハヤテは一字一句零さずに聞く。
今日はアイカの通う白皇学院初等部の入学式だった。
白皇学院は現在春休みの真っ只中ではあるが、入学式ということでアイカも登校したのだ。
入学式にアイカ達新三年生が出席する必要があるかどうかは別として、だ。
「私もあんなにちっちゃかったのかなぁ…」
「はは。そうだね、あの頃のアイカも小さくて可愛かったよ」
入学当時のことを思い出そうとしているアイカを見て、ハヤテは小さく笑った。
アイカだって十分小さくて可愛らしい。
現にハヤテの言葉に「そ、そっか…」と照れくさそうに笑うその姿は、十分に愛らしいと言えた。
「しかしそっか…アイカももう三年生なんだよなぁ…」
「うん? そうだけど…それがどうかしたの?」
「いや……時が流れるのはあっという間なんだなぁと思ってね」
「?」
意味が良く分からない、といった表情を浮かべるアイカに今度は苦笑を浮かべつつ、ハヤテは視線を桜へ向ける。
「ママと出会って、アイカが生まれたと思ったのがついこの間のことのように思えるんだよ」
白皇学院の大きな桜の木の下で最愛の人と初めて出会ってから、もう十年が経とうとしている。
その間に結婚し、子供が産まれ、小学校に入学したと思ったらもうその入学から三年目を迎えようとしている。
爺臭い、と思うかも知れないが、ハヤテは時の流れの速さをその身で感じている。
「なんだか良く分からないけど、まぁいいや。それでね、一番前に座ってた女の子がね――――」
自分の傍らで新たに出会う後輩の事を嬉しそうに、楽しそうに話すアイカだって、この間まで着慣れない白皇の制服を着るのに四苦八苦していた。
それが今では見事に着こなしている。
そのことがさらに、ハヤテに年月の経過を感じさせた。
「(……本当にあっという間だなぁ)」
小さな頃は一日一日が長く感じられたというのに。
「―――でね……て、聞いてる? パパ?」
「――っと、ごめんごめんアイカ。ちょっとぼぉっとしてた」
「もうっ。ちゃんと聞いててよね!」
「はは……」
少しばかり感傷的になっていたハヤテを、アイカが可愛らしい叱責をする。
その姿が学生時代のヒナギクのようで、思わずハヤテは笑ってしまった。
「あ、あはは……っ」
「? 何笑ってるのよ、パパ」
「いや、ごめんごめん。本当に何でもないんだ」
「……? なら、いいんだけどさ」
訝し気なアイカの視線を受けながら、ハヤテは「そうだよな」と呟いた。
「(こんな可愛い娘が一緒にいるんだ。時が早く流れないわけないじゃないか)」
楽しい時間ほど過ぎるのが早い、とは俗によく言われている。
ならば、楽しい、愛する家族と過ごす日々が、時間が早く過ぎないわけがないではないか。
愛妻のような愛娘に、愛娘のような愛妻。
幼い頃、自分にはなかった者たちだからこそ、経験したことがないからこそ人一倍時の流れを早く感じているのかもしれない。
「こりゃあ一年もあっという間だなぁ……」
「? だからどういうことなのパパぁ……」
「大人になればきっと分かるよ」
早く流れる時の中で、来年も再来年も、こうして家族と一緒に楽しい時間を過ごせたらいい。
そんなことを胸の中で願いながら、ハヤテは小さなアイカの手を握る。
「さぁ帰ろう。遅くなるとヒナギクに怒られるよ」
「まだ明るいけど……あのママなら、ありえる……っ」
「あはは。ヒナギクの前で言っちゃ駄目だぞー」
小鳥の囀りのような娘の話を耳に入れながら、変わらない桜並木をハヤテは歩く。
その足取りは早い時の流れに逆らうかのように、ゆっくりと優しいものだった。
End
記念小説を書く傍ら、ちょいちょいと書いていた短文をアップしますね。
つい先日、俺の通う大学で入学式がありました。
スーツを身にまとう新入生の姿に、一年前の自分を重ねていたりしました。
同時に、一年の流れの速さを実感。
来年からは就活も始まり、小説に費やす時間が一時的に少なくなると思うので、限られた時間でいろいろ書いていきたいなと思います。
まぁあくまで短文というスタンスを崩さずに(笑
それではどうぞ~☆
「ねーねーパパ!」
「ん? 何だい、アイカ」
全国各地では桜の花が開き始め、春の季節がやってきた。
白皇学院へ続く桜並木の中をゆっくりと歩きながら、綾崎ハヤテは愛娘のやや興奮したような声に耳を傾ける。
「なんだか嬉しそうだね」
「うん!」
ハヤテの言葉に、愛娘―――綾崎アイカは笑顔で答えた。
「今日ね、一年生が来たんだよ!」
『早すぎる時の流れの中で』
「そうなんだ。そういえば今日は入学式だったね」
「そうなの! 一年生ね、皆ちっちゃくて可愛いの!」
「そうかそうか」
矢継ぎ早に紡がれるアイカの言葉を、ハヤテは一字一句零さずに聞く。
今日はアイカの通う白皇学院初等部の入学式だった。
白皇学院は現在春休みの真っ只中ではあるが、入学式ということでアイカも登校したのだ。
入学式にアイカ達新三年生が出席する必要があるかどうかは別として、だ。
「私もあんなにちっちゃかったのかなぁ…」
「はは。そうだね、あの頃のアイカも小さくて可愛かったよ」
入学当時のことを思い出そうとしているアイカを見て、ハヤテは小さく笑った。
アイカだって十分小さくて可愛らしい。
現にハヤテの言葉に「そ、そっか…」と照れくさそうに笑うその姿は、十分に愛らしいと言えた。
「しかしそっか…アイカももう三年生なんだよなぁ…」
「うん? そうだけど…それがどうかしたの?」
「いや……時が流れるのはあっという間なんだなぁと思ってね」
「?」
意味が良く分からない、といった表情を浮かべるアイカに今度は苦笑を浮かべつつ、ハヤテは視線を桜へ向ける。
「ママと出会って、アイカが生まれたと思ったのがついこの間のことのように思えるんだよ」
白皇学院の大きな桜の木の下で最愛の人と初めて出会ってから、もう十年が経とうとしている。
その間に結婚し、子供が産まれ、小学校に入学したと思ったらもうその入学から三年目を迎えようとしている。
爺臭い、と思うかも知れないが、ハヤテは時の流れの速さをその身で感じている。
「なんだか良く分からないけど、まぁいいや。それでね、一番前に座ってた女の子がね――――」
自分の傍らで新たに出会う後輩の事を嬉しそうに、楽しそうに話すアイカだって、この間まで着慣れない白皇の制服を着るのに四苦八苦していた。
それが今では見事に着こなしている。
そのことがさらに、ハヤテに年月の経過を感じさせた。
「(……本当にあっという間だなぁ)」
小さな頃は一日一日が長く感じられたというのに。
「―――でね……て、聞いてる? パパ?」
「――っと、ごめんごめんアイカ。ちょっとぼぉっとしてた」
「もうっ。ちゃんと聞いててよね!」
「はは……」
少しばかり感傷的になっていたハヤテを、アイカが可愛らしい叱責をする。
その姿が学生時代のヒナギクのようで、思わずハヤテは笑ってしまった。
「あ、あはは……っ」
「? 何笑ってるのよ、パパ」
「いや、ごめんごめん。本当に何でもないんだ」
「……? なら、いいんだけどさ」
訝し気なアイカの視線を受けながら、ハヤテは「そうだよな」と呟いた。
「(こんな可愛い娘が一緒にいるんだ。時が早く流れないわけないじゃないか)」
楽しい時間ほど過ぎるのが早い、とは俗によく言われている。
ならば、楽しい、愛する家族と過ごす日々が、時間が早く過ぎないわけがないではないか。
愛妻のような愛娘に、愛娘のような愛妻。
幼い頃、自分にはなかった者たちだからこそ、経験したことがないからこそ人一倍時の流れを早く感じているのかもしれない。
「こりゃあ一年もあっという間だなぁ……」
「? だからどういうことなのパパぁ……」
「大人になればきっと分かるよ」
早く流れる時の中で、来年も再来年も、こうして家族と一緒に楽しい時間を過ごせたらいい。
そんなことを胸の中で願いながら、ハヤテは小さなアイカの手を握る。
「さぁ帰ろう。遅くなるとヒナギクに怒られるよ」
「まだ明るいけど……あのママなら、ありえる……っ」
「あはは。ヒナギクの前で言っちゃ駄目だぞー」
小鳥の囀りのような娘の話を耳に入れながら、変わらない桜並木をハヤテは歩く。
その足取りは早い時の流れに逆らうかのように、ゆっくりと優しいものだった。
End
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