関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
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久々の更新、書いたのはやっぱりハヤヒナでした(笑)
ひな祭りである昨日、本当はUPしたかったんですが、事情により本日に。
一応ヒナギクの誕生日記念というわけで。
それから、コメントを下さっている方々、いつもありがとうございます。
拙い私の文章ですが、これからもよろしくおねがいします!
それでは、どうぞ~♪
『ひな祭りの誕生日』
【ひま祭り祭り】
一見、ただのひな祭りに聞こえるが、学院の生徒の話では『学力査定での結果が悪くて学校を去らなければならない者の最後の楽しい思い出作り』と、なかなかシビアなものである。
しかし実際に体験してみると、それもあながち間違いではないように思える。
ひな祭り祭りでは、私たちが元来知っているひな祭りのお雛様などは一切見られない。
見られるのは、数多い出店だ。
そこへ一歩足を踏み入れたとき、初詣と夏祭りが合わさったような光景が目の前に広がる。
時折、出店の者を泣きながら食べている者が見られて、思わず目を背けたくなってしまう。
さて、そんなひな祭り祭りではあったが、去年は出店を楽しむだけではなかった。
昨年度入学した生徒の誕生日が、三月三日であったのを機に、その生徒の誕生日会を兼ねて開いたのである。
しかし白皇学院が何故、一端の生徒の誕生日を開いたのか?
誰もが抱く疑問は、該当する生徒の名前を口にするだけで納得に変わる。
その名を聞けば誰もが言った、『彼女なら当然か』と。
何故なら『彼女』は、入学早々に学院全体からの絶大な支持を受ける、生徒会長だったのだから。
そんな彼女の名は―――
…
遠くから、皆の賑やかな声が聞こえる。
ひな祭り祭りの会場から少し遠くにある時計塔の最上階、生徒会室。
その生徒会室のソファに、祭りの喧騒をBGMに仲良く寄り添って座る男女が一組あった。
「賑やかねー」
「そうですねー」
月明かりがテラスから差込み、その男女を照らす。
その光が照らし、映したのは、美しい『空』と『桜』だ。
「でも良かったんですか?」
青空のような髪の少年が、気遣うように少女に言葉をかける。
「? 何が?」
少年の言葉に、肩まで流れる桜色の美しい髪を靡かせて、少女が聞き返した。
少年は続ける。
「誕生会、今年も花菱さんたちが企画してくれていたんですよね?」
どうやら少女は今日が誕生日らしい。『今年も』という辺り、去年も行われたのだろう。
少女は少年の意図を汲み取ったらしく、「ああ」と短く言葉を発し、
「誕生会なんて名前だけよ、あれは。どうせ私が恥ずかしい衣装で歌わされた後で、何事もなかったかのようにカラオケ大会が始まるだけよ」
昨年のそれを思い出してか、恥ずかしさに頬を染めながらため息とともに呟かれた言葉に、少年は苦笑を返すしかない。
昨年、とある事情から少年はその誕生会に参加できなかった。
彼女の表情を見る限り、余程恥ずかしい格好をさせられたのだろう。
誕生会の主役を弄ぶ、あの悪戯好きの三人娘の様子が目に浮かんでくる。
「あー…成るほど。でも見てみたかったなぁ…」
残念そうに呟く少年に、少女が顔をさらに赤く染めて、
「ダメッ!あんな恥ずかしい姿、ハヤテ君には見せられないんだからっ!」
「でも、その……。か、彼氏としては彼女の可愛い姿は見ておきたいなと…」
ハヤテと呼ばれた少年はそう言ったが、彼女が泣きそうな顔でそう訴えてくるものだから、渋々諦めた。
去年の彼女の姿を目に納めた男子生徒のリストを挙げなければ、と思ったのは秘密である。
「それに」
ハヤテが不穏な事を思っていると、傍らの少女が口を開いた。
「それに…、今年の誕生日は…、大好きな人と一緒にいたかったから」
ゆっくりと、放たれた告白に少年の顔は真っ赤になった。
「そ、それは…その…」
「それとも、誕生会に出たほうが良かった?」
「い、いやっ!」
彼にとって正に不意打ちだった。恥ずかしさと嬉しさで、上手く言葉が出てこない。
そんな彼を、少女が赤い顔のまま楽しそうに眺めていた。
「そりゃ、もちろん嬉しいですよ」
数分あたふたしたハヤテが発した第一声が、これだった。
「その、『大好き』って直球で言われて恥ずかしかったですけれど、僕も……大好き、ですから」
「ハヤテ君…」
「だから、僕も本当は誕生会に行って欲しくなくて、二人きりで過ごせたらいいな…、って思ってたんです」
「―――!」
「わっ」
鼻の頭を掻きながら照れくさそうに言った少年に、少女は思わず抱きついていた。
小さく驚いたハヤテだったが、すぐにその愛しい存在を優しく抱きしめる。
「……両想いね」
「そうですね」
付き合っているのだから元々両想いだ、とは思ったが、当然口にする事はしない。
ただ、愛情を込めて、少女の頭をハヤテは撫でる。
そこで、ハヤテは思い出した。
「そういえば」
「え?」
ハヤテの声に、少女が顔を上げてハヤテを見る。
「どうしたの? ハヤテ君」
「いえ、そういえばまだ言ってなかったな、と思いまして」
その少女に微笑みながら、ハヤテは、言葉を続けた。
「誕生日おめでとうございます、ヒナギクさん」
そう言って、ハヤテは再び少女を抱きしめる。
少女の顔はハヤテの胸に埋まる形になったが、その顔は、
「………ありがとう、ハヤテ君」
その顔は見えないけれども、少女の顔は間違いなく、幸せそうに笑っていただろう。
…
白皇学院が何故、一端の生徒の誕生日を開いたのか?
誰もが抱く疑問は、該当する生徒の名前を口にするだけで納得に変わる。
その名を聞けば誰もが言った、『彼女なら当然か』と。
何故なら『彼女』は、入学早々に学院全体からの絶大な支持を受ける、生徒会長だったのだから。
そんな彼女の名は、桂ヒナギク、十七歳。
彼女の誕生日は、
遠くからひな祭り祭りの喧騒が聞える中、
二人きりの生徒会室で、
愛する人と、
幸せとともに過ぎていく。
End
ひな祭りである昨日、本当はUPしたかったんですが、事情により本日に。
一応ヒナギクの誕生日記念というわけで。
それから、コメントを下さっている方々、いつもありがとうございます。
拙い私の文章ですが、これからもよろしくおねがいします!
それでは、どうぞ~♪
『ひな祭りの誕生日』
【ひま祭り祭り】
一見、ただのひな祭りに聞こえるが、学院の生徒の話では『学力査定での結果が悪くて学校を去らなければならない者の最後の楽しい思い出作り』と、なかなかシビアなものである。
しかし実際に体験してみると、それもあながち間違いではないように思える。
ひな祭り祭りでは、私たちが元来知っているひな祭りのお雛様などは一切見られない。
見られるのは、数多い出店だ。
そこへ一歩足を踏み入れたとき、初詣と夏祭りが合わさったような光景が目の前に広がる。
時折、出店の者を泣きながら食べている者が見られて、思わず目を背けたくなってしまう。
さて、そんなひな祭り祭りではあったが、去年は出店を楽しむだけではなかった。
昨年度入学した生徒の誕生日が、三月三日であったのを機に、その生徒の誕生日会を兼ねて開いたのである。
しかし白皇学院が何故、一端の生徒の誕生日を開いたのか?
誰もが抱く疑問は、該当する生徒の名前を口にするだけで納得に変わる。
その名を聞けば誰もが言った、『彼女なら当然か』と。
何故なら『彼女』は、入学早々に学院全体からの絶大な支持を受ける、生徒会長だったのだから。
そんな彼女の名は―――
…
遠くから、皆の賑やかな声が聞こえる。
ひな祭り祭りの会場から少し遠くにある時計塔の最上階、生徒会室。
その生徒会室のソファに、祭りの喧騒をBGMに仲良く寄り添って座る男女が一組あった。
「賑やかねー」
「そうですねー」
月明かりがテラスから差込み、その男女を照らす。
その光が照らし、映したのは、美しい『空』と『桜』だ。
「でも良かったんですか?」
青空のような髪の少年が、気遣うように少女に言葉をかける。
「? 何が?」
少年の言葉に、肩まで流れる桜色の美しい髪を靡かせて、少女が聞き返した。
少年は続ける。
「誕生会、今年も花菱さんたちが企画してくれていたんですよね?」
どうやら少女は今日が誕生日らしい。『今年も』という辺り、去年も行われたのだろう。
少女は少年の意図を汲み取ったらしく、「ああ」と短く言葉を発し、
「誕生会なんて名前だけよ、あれは。どうせ私が恥ずかしい衣装で歌わされた後で、何事もなかったかのようにカラオケ大会が始まるだけよ」
昨年のそれを思い出してか、恥ずかしさに頬を染めながらため息とともに呟かれた言葉に、少年は苦笑を返すしかない。
昨年、とある事情から少年はその誕生会に参加できなかった。
彼女の表情を見る限り、余程恥ずかしい格好をさせられたのだろう。
誕生会の主役を弄ぶ、あの悪戯好きの三人娘の様子が目に浮かんでくる。
「あー…成るほど。でも見てみたかったなぁ…」
残念そうに呟く少年に、少女が顔をさらに赤く染めて、
「ダメッ!あんな恥ずかしい姿、ハヤテ君には見せられないんだからっ!」
「でも、その……。か、彼氏としては彼女の可愛い姿は見ておきたいなと…」
ハヤテと呼ばれた少年はそう言ったが、彼女が泣きそうな顔でそう訴えてくるものだから、渋々諦めた。
去年の彼女の姿を目に納めた男子生徒のリストを挙げなければ、と思ったのは秘密である。
「それに」
ハヤテが不穏な事を思っていると、傍らの少女が口を開いた。
「それに…、今年の誕生日は…、大好きな人と一緒にいたかったから」
ゆっくりと、放たれた告白に少年の顔は真っ赤になった。
「そ、それは…その…」
「それとも、誕生会に出たほうが良かった?」
「い、いやっ!」
彼にとって正に不意打ちだった。恥ずかしさと嬉しさで、上手く言葉が出てこない。
そんな彼を、少女が赤い顔のまま楽しそうに眺めていた。
「そりゃ、もちろん嬉しいですよ」
数分あたふたしたハヤテが発した第一声が、これだった。
「その、『大好き』って直球で言われて恥ずかしかったですけれど、僕も……大好き、ですから」
「ハヤテ君…」
「だから、僕も本当は誕生会に行って欲しくなくて、二人きりで過ごせたらいいな…、って思ってたんです」
「―――!」
「わっ」
鼻の頭を掻きながら照れくさそうに言った少年に、少女は思わず抱きついていた。
小さく驚いたハヤテだったが、すぐにその愛しい存在を優しく抱きしめる。
「……両想いね」
「そうですね」
付き合っているのだから元々両想いだ、とは思ったが、当然口にする事はしない。
ただ、愛情を込めて、少女の頭をハヤテは撫でる。
そこで、ハヤテは思い出した。
「そういえば」
「え?」
ハヤテの声に、少女が顔を上げてハヤテを見る。
「どうしたの? ハヤテ君」
「いえ、そういえばまだ言ってなかったな、と思いまして」
その少女に微笑みながら、ハヤテは、言葉を続けた。
「誕生日おめでとうございます、ヒナギクさん」
そう言って、ハヤテは再び少女を抱きしめる。
少女の顔はハヤテの胸に埋まる形になったが、その顔は、
「………ありがとう、ハヤテ君」
その顔は見えないけれども、少女の顔は間違いなく、幸せそうに笑っていただろう。
…
白皇学院が何故、一端の生徒の誕生日を開いたのか?
誰もが抱く疑問は、該当する生徒の名前を口にするだけで納得に変わる。
その名を聞けば誰もが言った、『彼女なら当然か』と。
何故なら『彼女』は、入学早々に学院全体からの絶大な支持を受ける、生徒会長だったのだから。
そんな彼女の名は、桂ヒナギク、十七歳。
彼女の誕生日は、
遠くからひな祭り祭りの喧騒が聞える中、
二人きりの生徒会室で、
愛する人と、
幸せとともに過ぎていく。
End
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