関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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ハヤヒナで、ヒナ一人称です。
文学少女よんでたらふと思いついた話です。
それではどうぞ~♪
小説みたいな出逢い方
穏やかな午後の一時、図書室から適当に借りてきた短編集を手に取る。
知らない作家だった。
「………ん?」
たいした感慨もなくぺらぺらとページを捲っていくうち、一つの物語が目に留まる。
「――これ」
それは、一組の男女の物語。
貴族の少女と平民の少年という、身分が違う二人の、悪く言えば在り来たりなラブ・ストーリーだった。
そんな物語に目が留まったのは、この二人の出逢い方に見覚えがあったからだ。
というか、その…殆ど『私たち』と同じだったからというか…。
と、とにかく!そういった理由からだった。
…
お転婆なその貴族の娘は、両親から押し付けられた習い事をしばしば抜け出すことがあった。
町に出ては庶民の遊びを楽しみ、この日も屋敷を抜け出し、その時は偶々森へと赴いていた。
そんな少女は、入り込んだ森の中で、雛鳥が巣から落ちていたのを見つける。
娘はお転婆故、衣服が汚れるのも構わず木の上にある巣へと雛鳥を戻した。
戻した事に安心した少女は、そこで気付く。
自分が木から下りられなくなっていることに。
娘は戸惑った。
屋敷をこっそりと抜け出した挙句、ここは森の中。
いつも屋敷の者が捜索しているのが町中だけなこともあり、助けを呼ぶにも来てくれる可能性は絶望的だったからである。
日は傾き、不気味な闇が森の中を覆っていく感覚に少女は泣きそうになった。
不安ばかりが脳内を過ぎり、このまま自分は、誰にも見つかることなく死んでいくのではないか…、そんな事も思っていた。
そんな時だった。
――もしもしお嬢さん、そんな所で何をしているのですか?
そんな声が聞こえてきたのは。
…
「……本当、私たちの出逢い方にそっくりね…」
一通り読み終え、私はそう呟く。
結局、ラストはHappy End。身分の差を乗り越え、二人は幸せに暮らしました、という在り来たりな言葉で締めくくられていた。
「というか、本当にこの話は短編なのかしら…」
下手な中編小説並に長かったような気がするが、気にしないほうがいいと思った。
「……まぁ、嫌いじゃないからいいんだけどね」
Happy Endは嫌いじゃないし、長いとは感じたけれど、読むのが苦痛ではなかった。
寧ろ見入ってしまったくらいだ。でも、なんだか物足りなさを感じたのも事実。
もう少し色をつけてもいいと思った。
例えば…その少年が少女の執事になって、少女は通っている学校の生徒会長的な存在…みたいな。
(―――って何考えてるのよ、私ったら)
そんな事を思って、私は苦笑した。
何だ、そりゃ。それじゃ、殆ど私たちじゃないか…。
「………」
でも、と思う。
身分に違いは無いにせよ、出逢い方はこの物語と殆ど同じ、私たち。
どうしてもこの物語の主人公たちに私たちを当て嵌めてしまって、思わず頬の筋肉が緩んでしまう。
だって―――。
「………今日の仕事は、休みましょう」
携帯電話を取り出して、メールの送信画面を開く。
宛先はもちろん、愛しい彼へ。
「たまにはこういうのだって、悪くないわよね」
きっとだらしない顔をしたまま、送信ボタンを押した。
To綾崎ハヤテ
sub今日はお仕事休み!
今日は仕事を休みにして、かくれんぼしましょ!
鬼はハヤテ君で♪早く見つけないと…泣いちゃうんだから!!
美希たちが見たら間違いなく飲んでいたものを吹いてしまうこのメールを、ハヤテ君はどう受け取るのだろう。
戸惑って返信しないか、それとも苦笑しながらも、私のしょうもない遊びに付き合ってくれるのか。
そんな事を考えたけれど、少しの不安もなく私は移動を開始した。
私が言い出したのだから、隠れなきゃ。
隠れる所はもちろん、私とハヤテ君が出会ったあの木の下で。
物語のヒロインは、見つけられることを切に願っていた。
それは不安だったから。
出逢い方は同じでも、そこだけは私と少女は大きく異なっている。
私は見つけてくれるかなんて願っていない。『信じている』から。
ハヤテ君なら私を見つけてくれる。
理由はないけど、そんな確信があるから。
「―――さて、それじゃあ隠れようかしら!」
時計塔の外は快晴、まさにかくれんぼ日和。
あの物語を頭に浮かべながら、私は元気に駆け出した。
―――だって、あの物語の二人は、幸せに暮らしたのだから。
似たような出逢い方をした私たちも、期待しちゃうじゃない。
「――見つけましたよ、ヒナギクさん」
私たちの出逢い方を。
「ずいぶん早く見つけたわね」
「……なんとなく、というかここしか思いつきませんでしたからね」
「……やっぱり、私たちは」
「え?なんですか?」
「なんでもないわよ!それより飛び降りるから、今度はしっかり抱きしめてよね!!」
そんな、小説みたいな出逢い方の先に広がる、幸せな未来を。
End
ハヤヒナ小説第三弾ということで、これは新作にはいりますね。
旧サイトからの小説を再編集するのはかなり骨が折れますので、普通に新しいの書いた方が楽だったり…。
でも、俺的ハヤヒナはほのぼの~っとしたものが好きなので、これからもどんどん書いていけたらいいなと…。
それでは、とりあえずこの辺で!!
文学少女よんでたらふと思いついた話です。
それではどうぞ~♪
小説みたいな出逢い方
穏やかな午後の一時、図書室から適当に借りてきた短編集を手に取る。
知らない作家だった。
「………ん?」
たいした感慨もなくぺらぺらとページを捲っていくうち、一つの物語が目に留まる。
「――これ」
それは、一組の男女の物語。
貴族の少女と平民の少年という、身分が違う二人の、悪く言えば在り来たりなラブ・ストーリーだった。
そんな物語に目が留まったのは、この二人の出逢い方に見覚えがあったからだ。
というか、その…殆ど『私たち』と同じだったからというか…。
と、とにかく!そういった理由からだった。
…
お転婆なその貴族の娘は、両親から押し付けられた習い事をしばしば抜け出すことがあった。
町に出ては庶民の遊びを楽しみ、この日も屋敷を抜け出し、その時は偶々森へと赴いていた。
そんな少女は、入り込んだ森の中で、雛鳥が巣から落ちていたのを見つける。
娘はお転婆故、衣服が汚れるのも構わず木の上にある巣へと雛鳥を戻した。
戻した事に安心した少女は、そこで気付く。
自分が木から下りられなくなっていることに。
娘は戸惑った。
屋敷をこっそりと抜け出した挙句、ここは森の中。
いつも屋敷の者が捜索しているのが町中だけなこともあり、助けを呼ぶにも来てくれる可能性は絶望的だったからである。
日は傾き、不気味な闇が森の中を覆っていく感覚に少女は泣きそうになった。
不安ばかりが脳内を過ぎり、このまま自分は、誰にも見つかることなく死んでいくのではないか…、そんな事も思っていた。
そんな時だった。
――もしもしお嬢さん、そんな所で何をしているのですか?
そんな声が聞こえてきたのは。
…
「……本当、私たちの出逢い方にそっくりね…」
一通り読み終え、私はそう呟く。
結局、ラストはHappy End。身分の差を乗り越え、二人は幸せに暮らしました、という在り来たりな言葉で締めくくられていた。
「というか、本当にこの話は短編なのかしら…」
下手な中編小説並に長かったような気がするが、気にしないほうがいいと思った。
「……まぁ、嫌いじゃないからいいんだけどね」
Happy Endは嫌いじゃないし、長いとは感じたけれど、読むのが苦痛ではなかった。
寧ろ見入ってしまったくらいだ。でも、なんだか物足りなさを感じたのも事実。
もう少し色をつけてもいいと思った。
例えば…その少年が少女の執事になって、少女は通っている学校の生徒会長的な存在…みたいな。
(―――って何考えてるのよ、私ったら)
そんな事を思って、私は苦笑した。
何だ、そりゃ。それじゃ、殆ど私たちじゃないか…。
「………」
でも、と思う。
身分に違いは無いにせよ、出逢い方はこの物語と殆ど同じ、私たち。
どうしてもこの物語の主人公たちに私たちを当て嵌めてしまって、思わず頬の筋肉が緩んでしまう。
だって―――。
「………今日の仕事は、休みましょう」
携帯電話を取り出して、メールの送信画面を開く。
宛先はもちろん、愛しい彼へ。
「たまにはこういうのだって、悪くないわよね」
きっとだらしない顔をしたまま、送信ボタンを押した。
To綾崎ハヤテ
sub今日はお仕事休み!
今日は仕事を休みにして、かくれんぼしましょ!
鬼はハヤテ君で♪早く見つけないと…泣いちゃうんだから!!
美希たちが見たら間違いなく飲んでいたものを吹いてしまうこのメールを、ハヤテ君はどう受け取るのだろう。
戸惑って返信しないか、それとも苦笑しながらも、私のしょうもない遊びに付き合ってくれるのか。
そんな事を考えたけれど、少しの不安もなく私は移動を開始した。
私が言い出したのだから、隠れなきゃ。
隠れる所はもちろん、私とハヤテ君が出会ったあの木の下で。
物語のヒロインは、見つけられることを切に願っていた。
それは不安だったから。
出逢い方は同じでも、そこだけは私と少女は大きく異なっている。
私は見つけてくれるかなんて願っていない。『信じている』から。
ハヤテ君なら私を見つけてくれる。
理由はないけど、そんな確信があるから。
「―――さて、それじゃあ隠れようかしら!」
時計塔の外は快晴、まさにかくれんぼ日和。
あの物語を頭に浮かべながら、私は元気に駆け出した。
―――だって、あの物語の二人は、幸せに暮らしたのだから。
似たような出逢い方をした私たちも、期待しちゃうじゃない。
「――見つけましたよ、ヒナギクさん」
私たちの出逢い方を。
「ずいぶん早く見つけたわね」
「……なんとなく、というかここしか思いつきませんでしたからね」
「……やっぱり、私たちは」
「え?なんですか?」
「なんでもないわよ!それより飛び降りるから、今度はしっかり抱きしめてよね!!」
そんな、小説みたいな出逢い方の先に広がる、幸せな未来を。
End
ハヤヒナ小説第三弾ということで、これは新作にはいりますね。
旧サイトからの小説を再編集するのはかなり骨が折れますので、普通に新しいの書いた方が楽だったり…。
でも、俺的ハヤヒナはほのぼの~っとしたものが好きなので、これからもどんどん書いていけたらいいなと…。
それでは、とりあえずこの辺で!!
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