関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうも、関ヶ原です。
新作できました。
今回もハヤヒナではないという裏切り、早くハヤヒナを書きたいです。
さて、今回のタイトルは、バイト先でかかっていたラジオに投稿されたハガキのタイトルから頂きました。
聞いた瞬間これだ、と思いました。
ラジオも聞いてみるものですね。
それではどうぞ~♪
『私たち、結婚します』と、ガンプラまみれの俺の部屋に高校の同級生からそんな手紙が届いた。
手紙の内容は結婚式の案内状。
彼等に悪気は微塵もなかろうが、彼女がいない俺にとってはまさに悪意で塗り固められたかのような内容であった。
まぁもちろんそんな事は言えないし、ガンプラばかり作っていた俺にも手紙をくれたのは嬉しかったし、友人の門出を祝ってやろうと思い、俺ーー薫京之介は、友人の結婚式に参列していたのだった。
『残り福』
結婚式というものはなかなかに退屈なものだ。
高校時代の友人に久しぶりにあったりできたのは、高校時代に戻れたような気がして(俺の高校時代は灰色であったが)嬉しいのだが、馴れ初めなどの話を聞くのは正直言って億劫だった。
勿論そんな事は口にできない。
する気もない。
駄々をこねる小さいガキじゃないのだし、流す程度に話を聞いているのが一番無難だろう。
「……と、俺は思うんだけどな」
そんな事をため息とともに呟きながら、俺は傍らに座る奴を見た。
「酒を飲ませろぉぉぉ!!!」
「お前の態度は失礼過ぎるんだよ!!」
友人の結婚式というめでたいイベントにも関わらず祝いの『祝』の部首程度すら祝う気持ちを持たない奴。
新郎新婦のミスは、高校時代とは大きく変わってしまったこの女を招待してしまったことだ。
桂雪路。当時の俺のクラスの人気者。
変わり果てた雪路の姿を目の当たりにした時の旧友たちの顔は、しばらくは忘れられないだろう。
「お前はクラスメートを祝うこともできんのか…」
「ん?何言ってんのアンタ?ちゃんとお金は出したわよ?」
「そういう意味じゃなくて…ってかその金も俺が出したんじゃねーか!!」
結婚式当日になって金がないと堂々と言ってきたのはどこのどいつだったろうか。
「うっさいわねー。ちゃんとお礼はしたでしょー?」
「ワンカップ焼酎一本が果たしてお礼になるのかよ!?」
「何よ、あたしだって断腸の思いであげたんだからね!?」
数百円の酒にいちいち腸を断ってられるか!
そう言おうとして、俺はここが結婚式場だということを思いだし、口をつぐんだ。
そういえば先程から、周りの視線が痛い。
「雪路」
「あん?」
どうして喧嘩腰なんだ、お前は。
「来い」
「え?あ、ちょ、お酒ーーー!!」
取り敢えず色々と無視して、俺は雪路の手を取り会場を出た。
これ以上あの場所にいても(雪路が)迷惑をかけるだけだろうし、新郎新婦より目立ってしまっては彼等に申し訳なくてガンプラを壊してしまいそうだ。
十分挨拶もしたし、二人抜けたところで問題ないだろう。
寧ろ、抜けたほうがいい奴を連れ出したのだから問題がなくなったはずだ。
「ちょっとアンタ何すんのよ!?今抜けちゃったらお酒飲めないじゃない!!」
「あの空気で酒が飲めるか!主役よりも脇役が目立ってたじゃねーか!!」
「脇役で飲む酒よりも主役で飲む酒のほうが美味しいじゃん」
悪びれた様子もなく言う雪路に、俺は深い深いため息をつくしかない。
どうしてコイツは、こうなんだろうか。
高校時代のころも馬鹿だなぁと思うことはしばしばあったが、それが年齢を重ねるごとに悪化するとは誰も思うまい。
普通大人になれば少しは利口になるものなのだ。
「あのなぁ、仮にも俺達の級友の結婚式なんだぜ?華持たせることくらいするのが普通なんじゃねーの?」
「私を差し置いて幸せになろうなんざ、そうは問屋が卸さないっての」
「………」
駄目だコイツ、相当捻くれてやがる。
「あのなぁ、お前そんなことじゃ」
「私だって……出来ることなら幸せになりたいわよ」
「え……?」
普段の雪路からは考えられないような言葉を聞いて、俺は驚いて雪路を見た。
若干視線は下を向き、いつもの覇気が今は微塵も感じられない。
「雪路……?」
「ふん!どうせ私は婚期逃した女ですよ!!文句あるかーーー!!!」
俺がなんて声をかけたらいいか迷っているうちに、ぱっと雪路は顔を上げて叫んだ。
ああ、いつもの雪路だった。
「彼氏なんていないわよ!悪い!?」
「い、いやべつに……」
「てか、彼氏なんて呼べるもん居たことがあったかーー!?」
「しらねぇよ!!」
なんなんだ!?コイツは急に!
いつも通りのこの女に安心しつつも戸惑う俺に構わず、雪路は叫びを続ける。
今更だが、コイツを連れ出したのは正解だった。
「何よ何よ!男が何だってのよ!そりゃあ私だって女だし!?恋愛ぐらい興味あるわよ!?だからって………それがナンボのもんじゃーーーい!!!」
あぁ、コイツのこの馬鹿でかい声は、中にいる主役たちに聞こえてないだろうか。
叫ぶ雪路をなんとか扉から遠ざけながら、俺は聞こえていない事を切に願う。
雪路の叫ぶ声を聞いて何事か、と寄ってくる式場の人に「飲み過ぎただけです」と言い、一先ず俺は雪路を外に出すことに成功したのだった。
…
「………ったく」
式場を出たところで、雪路はようやく興奮が冷めてくれたらしい。
今ではバツの悪そうな表情を浮かべながら、こちらをジト目で睨んでいる。理不尽な視線だなオイ。
『私悪くないもん』と言っているようなその視線には、ため息をつくことしか出来ない。
絶対的にコイツが悪いのだから。
「………何よ」
「別に」
何か文句ある?と視線で語る雪路。
文句なら有りまくりなのだが、ここで雪路の機嫌をこれ以上損ねさせても、俺の文句を増やすだけだろう。
そんな事もあってあんな返答。
エ○カ様とまではいかないが、少しばかり怒りの感情を込めて。
「何よその返事?文句ならありますーって顔に書いてるわよ」
「書いてるか。それに文句なんてねえって」
基本馬鹿だが、こういうところだけは目敏い奴だった。
「ふん。どうせアタシはうるさくて貰い手のいない寂しい女ですよー」
「痛ぇ!頬を抓るな馬鹿雪路!」
「うるせぇバーーカ!!」
雪路は俺の頬を弄びながら、叫ぶ。
「貰い手がないのはそっちだって一緒じゃん!」
「俺は貰う方だ。婿入りなんてするか!」
「アンタに貰ってもらう女なんて、果たしているのかしらね!」
「あんだとぅ!?」
「何よ?本当のことを言ったまででしょ!」
お互いに額をくっつけ、フーッフーッと猫のように威嚇する。
流石に温厚な俺も、ここまで(図星という)言われては堪忍袋の緒が切れるというもの。
「………」
「………」
しかし。
無言の睨み合いを続けているうちに、何だか虚しくなってきた。
皆から取り残された二人が言い合っても、ある意味傷の舐め合いでしかないと思ったからだ。
………舐め合う前に互いの傷口に塩を満遍なく塗ったくった後だが。
「……やめようぜ、こんなことしてても虚しくなるだけだ」
「……そうね」
舐め合った傷はしょっぱすぎた。
雪路もそう思ったのか、深い深いため息とともに、肩の力を抜いた。
と、そこで俺達は、キス出来そうなくらいに互いの顔が近くなっていたことを今頃気づいた。
さっきまで気がたっていて全く意識になかったが、本来コイツは俺の想い人なのだ。
さすが桂ヒナギク嬢の姉。
整った顔と薄ピンクの唇が、互いの吐息が分かる位の位置にある。
「――――っ」
頬がカァッと赤くなって、俺はガバッと雪路から顔を離した。
ありきたりすぎるラブコメ的展開に、心臓はバクバクだ。
「わ、わりぃ……熱くなりすぎた」
頭を下げて雪路を伺うと、雪路の顔も赤くなっていた。
「ふ、ふん。分かればいいのよ」
確実に怒ると思っていただけに、その様子に少し驚いた。
気のせいか、返ってくる言葉にも棘がない。
「………」
驚いた俺の顔をちら、と見て雪路は恥ずかしそうに言った。
「ねぇ、飲みにいかない?アンタの奢りで」
「は?」
その言葉に、今度こそ俺は愕然とする。
少なくとも、頬を染めながら言う言葉ではなかった。しかも奢りとか言ってるし。
今更だが、本当いい性格をしてると思う。
「なんで俺がお前に奢らなきゃなんねーんだよ」
「仕方ないじゃない。私の今の幸せは酒を飲むことなんだから」
嫌そうな顔を俺は浮かべたが、次の雪路の言葉によって、その顔も苦笑に変わった。
「それに」
いや、変わらざるをえなかった。
だってこの言葉は反則だろう?
「私に幸せを提供出来るのは、アンタしかいないのよ」
「!」
本当にいい性格をしていると思った。
「……安いところだからな」
「うわ、マジ!?ありがと!!」
瞳を輝かせて俺を見る雪路。
そんな雪路を見て、俺はこう考えることにした。
「まぁ……好きな奴と酒飲めると考えりゃあ」
「は?何か言った?」
「何でもねーよ。ほら行くぞ。案内任せたからな」
好きな人と一緒に何か出来ること。
「任せなさい!じゃあさっさと行くわよ、京之介!!」
そして最後の雪路の言葉は、神様が俺にくれた、残り福なのではないかと。
「ほら、なにやってんの!置いてくわよ!?」
「分かった分かった」
そんな事を考えながら、俺はアイツの隣へと歩いていった。
もし仮にそうだとするなら、アイツにも残り福を与えなければならないのだから。
End
新作できました。
今回もハヤヒナではないという裏切り、早くハヤヒナを書きたいです。
さて、今回のタイトルは、バイト先でかかっていたラジオに投稿されたハガキのタイトルから頂きました。
聞いた瞬間これだ、と思いました。
ラジオも聞いてみるものですね。
それではどうぞ~♪
『私たち、結婚します』と、ガンプラまみれの俺の部屋に高校の同級生からそんな手紙が届いた。
手紙の内容は結婚式の案内状。
彼等に悪気は微塵もなかろうが、彼女がいない俺にとってはまさに悪意で塗り固められたかのような内容であった。
まぁもちろんそんな事は言えないし、ガンプラばかり作っていた俺にも手紙をくれたのは嬉しかったし、友人の門出を祝ってやろうと思い、俺ーー薫京之介は、友人の結婚式に参列していたのだった。
『残り福』
結婚式というものはなかなかに退屈なものだ。
高校時代の友人に久しぶりにあったりできたのは、高校時代に戻れたような気がして(俺の高校時代は灰色であったが)嬉しいのだが、馴れ初めなどの話を聞くのは正直言って億劫だった。
勿論そんな事は口にできない。
する気もない。
駄々をこねる小さいガキじゃないのだし、流す程度に話を聞いているのが一番無難だろう。
「……と、俺は思うんだけどな」
そんな事をため息とともに呟きながら、俺は傍らに座る奴を見た。
「酒を飲ませろぉぉぉ!!!」
「お前の態度は失礼過ぎるんだよ!!」
友人の結婚式というめでたいイベントにも関わらず祝いの『祝』の部首程度すら祝う気持ちを持たない奴。
新郎新婦のミスは、高校時代とは大きく変わってしまったこの女を招待してしまったことだ。
桂雪路。当時の俺のクラスの人気者。
変わり果てた雪路の姿を目の当たりにした時の旧友たちの顔は、しばらくは忘れられないだろう。
「お前はクラスメートを祝うこともできんのか…」
「ん?何言ってんのアンタ?ちゃんとお金は出したわよ?」
「そういう意味じゃなくて…ってかその金も俺が出したんじゃねーか!!」
結婚式当日になって金がないと堂々と言ってきたのはどこのどいつだったろうか。
「うっさいわねー。ちゃんとお礼はしたでしょー?」
「ワンカップ焼酎一本が果たしてお礼になるのかよ!?」
「何よ、あたしだって断腸の思いであげたんだからね!?」
数百円の酒にいちいち腸を断ってられるか!
そう言おうとして、俺はここが結婚式場だということを思いだし、口をつぐんだ。
そういえば先程から、周りの視線が痛い。
「雪路」
「あん?」
どうして喧嘩腰なんだ、お前は。
「来い」
「え?あ、ちょ、お酒ーーー!!」
取り敢えず色々と無視して、俺は雪路の手を取り会場を出た。
これ以上あの場所にいても(雪路が)迷惑をかけるだけだろうし、新郎新婦より目立ってしまっては彼等に申し訳なくてガンプラを壊してしまいそうだ。
十分挨拶もしたし、二人抜けたところで問題ないだろう。
寧ろ、抜けたほうがいい奴を連れ出したのだから問題がなくなったはずだ。
「ちょっとアンタ何すんのよ!?今抜けちゃったらお酒飲めないじゃない!!」
「あの空気で酒が飲めるか!主役よりも脇役が目立ってたじゃねーか!!」
「脇役で飲む酒よりも主役で飲む酒のほうが美味しいじゃん」
悪びれた様子もなく言う雪路に、俺は深い深いため息をつくしかない。
どうしてコイツは、こうなんだろうか。
高校時代のころも馬鹿だなぁと思うことはしばしばあったが、それが年齢を重ねるごとに悪化するとは誰も思うまい。
普通大人になれば少しは利口になるものなのだ。
「あのなぁ、仮にも俺達の級友の結婚式なんだぜ?華持たせることくらいするのが普通なんじゃねーの?」
「私を差し置いて幸せになろうなんざ、そうは問屋が卸さないっての」
「………」
駄目だコイツ、相当捻くれてやがる。
「あのなぁ、お前そんなことじゃ」
「私だって……出来ることなら幸せになりたいわよ」
「え……?」
普段の雪路からは考えられないような言葉を聞いて、俺は驚いて雪路を見た。
若干視線は下を向き、いつもの覇気が今は微塵も感じられない。
「雪路……?」
「ふん!どうせ私は婚期逃した女ですよ!!文句あるかーーー!!!」
俺がなんて声をかけたらいいか迷っているうちに、ぱっと雪路は顔を上げて叫んだ。
ああ、いつもの雪路だった。
「彼氏なんていないわよ!悪い!?」
「い、いやべつに……」
「てか、彼氏なんて呼べるもん居たことがあったかーー!?」
「しらねぇよ!!」
なんなんだ!?コイツは急に!
いつも通りのこの女に安心しつつも戸惑う俺に構わず、雪路は叫びを続ける。
今更だが、コイツを連れ出したのは正解だった。
「何よ何よ!男が何だってのよ!そりゃあ私だって女だし!?恋愛ぐらい興味あるわよ!?だからって………それがナンボのもんじゃーーーい!!!」
あぁ、コイツのこの馬鹿でかい声は、中にいる主役たちに聞こえてないだろうか。
叫ぶ雪路をなんとか扉から遠ざけながら、俺は聞こえていない事を切に願う。
雪路の叫ぶ声を聞いて何事か、と寄ってくる式場の人に「飲み過ぎただけです」と言い、一先ず俺は雪路を外に出すことに成功したのだった。
…
「………ったく」
式場を出たところで、雪路はようやく興奮が冷めてくれたらしい。
今ではバツの悪そうな表情を浮かべながら、こちらをジト目で睨んでいる。理不尽な視線だなオイ。
『私悪くないもん』と言っているようなその視線には、ため息をつくことしか出来ない。
絶対的にコイツが悪いのだから。
「………何よ」
「別に」
何か文句ある?と視線で語る雪路。
文句なら有りまくりなのだが、ここで雪路の機嫌をこれ以上損ねさせても、俺の文句を増やすだけだろう。
そんな事もあってあんな返答。
エ○カ様とまではいかないが、少しばかり怒りの感情を込めて。
「何よその返事?文句ならありますーって顔に書いてるわよ」
「書いてるか。それに文句なんてねえって」
基本馬鹿だが、こういうところだけは目敏い奴だった。
「ふん。どうせアタシはうるさくて貰い手のいない寂しい女ですよー」
「痛ぇ!頬を抓るな馬鹿雪路!」
「うるせぇバーーカ!!」
雪路は俺の頬を弄びながら、叫ぶ。
「貰い手がないのはそっちだって一緒じゃん!」
「俺は貰う方だ。婿入りなんてするか!」
「アンタに貰ってもらう女なんて、果たしているのかしらね!」
「あんだとぅ!?」
「何よ?本当のことを言ったまででしょ!」
お互いに額をくっつけ、フーッフーッと猫のように威嚇する。
流石に温厚な俺も、ここまで(図星という)言われては堪忍袋の緒が切れるというもの。
「………」
「………」
しかし。
無言の睨み合いを続けているうちに、何だか虚しくなってきた。
皆から取り残された二人が言い合っても、ある意味傷の舐め合いでしかないと思ったからだ。
………舐め合う前に互いの傷口に塩を満遍なく塗ったくった後だが。
「……やめようぜ、こんなことしてても虚しくなるだけだ」
「……そうね」
舐め合った傷はしょっぱすぎた。
雪路もそう思ったのか、深い深いため息とともに、肩の力を抜いた。
と、そこで俺達は、キス出来そうなくらいに互いの顔が近くなっていたことを今頃気づいた。
さっきまで気がたっていて全く意識になかったが、本来コイツは俺の想い人なのだ。
さすが桂ヒナギク嬢の姉。
整った顔と薄ピンクの唇が、互いの吐息が分かる位の位置にある。
「――――っ」
頬がカァッと赤くなって、俺はガバッと雪路から顔を離した。
ありきたりすぎるラブコメ的展開に、心臓はバクバクだ。
「わ、わりぃ……熱くなりすぎた」
頭を下げて雪路を伺うと、雪路の顔も赤くなっていた。
「ふ、ふん。分かればいいのよ」
確実に怒ると思っていただけに、その様子に少し驚いた。
気のせいか、返ってくる言葉にも棘がない。
「………」
驚いた俺の顔をちら、と見て雪路は恥ずかしそうに言った。
「ねぇ、飲みにいかない?アンタの奢りで」
「は?」
その言葉に、今度こそ俺は愕然とする。
少なくとも、頬を染めながら言う言葉ではなかった。しかも奢りとか言ってるし。
今更だが、本当いい性格をしてると思う。
「なんで俺がお前に奢らなきゃなんねーんだよ」
「仕方ないじゃない。私の今の幸せは酒を飲むことなんだから」
嫌そうな顔を俺は浮かべたが、次の雪路の言葉によって、その顔も苦笑に変わった。
「それに」
いや、変わらざるをえなかった。
だってこの言葉は反則だろう?
「私に幸せを提供出来るのは、アンタしかいないのよ」
「!」
本当にいい性格をしていると思った。
「……安いところだからな」
「うわ、マジ!?ありがと!!」
瞳を輝かせて俺を見る雪路。
そんな雪路を見て、俺はこう考えることにした。
「まぁ……好きな奴と酒飲めると考えりゃあ」
「は?何か言った?」
「何でもねーよ。ほら行くぞ。案内任せたからな」
好きな人と一緒に何か出来ること。
「任せなさい!じゃあさっさと行くわよ、京之介!!」
そして最後の雪路の言葉は、神様が俺にくれた、残り福なのではないかと。
「ほら、なにやってんの!置いてくわよ!?」
「分かった分かった」
そんな事を考えながら、俺はアイツの隣へと歩いていった。
もし仮にそうだとするなら、アイツにも残り福を与えなければならないのだから。
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