関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうもお久しぶり、関ヶ原です。
ようやく完成しました。新作です。
久しぶりの、ハヤヒナです。
相変わらず拙い文章スイマセン(汗
本当に久しぶりで、なかなか上手く書けなかった作品ですorz
これからハヤヒナもっと書いて、リハビリしていこうと思います。
この小説はベディアン様のサイトhttp://id35.fm-p.jp/88/HAKUREN/?guid=onに寄贈させていただきました。
是非足を運んで見てください。
それでは、どうぞ~♪
秋もまだまだこれからという、10月の上旬。
染まりきっていない銀杏の木の下を、ハヤテとヒナギクは歩いていた。
「まだ紅葉は始まってないみたいですねー」
「そりゃそうよ。だってまだ秋の初めじゃない」
秋が深まる、という言葉が当て嵌るにはまだ早い時期。
色が変わっていない銀杏の葉を見ながら呟かれたハヤテの言葉に、ヒナギクが答える。
「これの色がはっきり変わるには、もう少しかかりそうね」
「そうですね……。お嬢様や瀬川さんたちの目の色は、すっかり変わっているんですけどね」
「上手いこと言ってるけど、巧くないから、それ……」
『目の色を変えてまで』
秋といえば食べ物が美味しくなるし、読書や勉学に励みたい気になる。
『○○の秋』とはよく言ったもので、最近ではナギも漫画賞へ向けてひたすらペンを握る毎日を送っているし、生徒会三人娘も、お世話になっている動画投稿サイトで秋の投稿祭が行われているらしく、動画製作に勤しんでいた。
普段何事も不真面目に行う者が、何かに向けて一生懸命になるというのは、中々に新鮮で、中々に不自然でもあるのだが。
「本当、どうして生徒会の仕事は目の色変えてやってくれないのかしらね……」
深いため息をつくヒナギクに、ハヤテは苦笑するしかない。
そう。生徒会のメンバーが私情に目の色を変えてしまっているために、本日の生徒会の仕事もハヤテとヒナギクの二人で行っていたのだ。
別にハヤテは生徒会役員ではないのだが、ヒナギクを見ていたら手伝わずにはいられなかった。
勿論ハヤテも屋敷の仕事があるが、マリアに事情を説明してあるので、ヒナギクの手伝いをしている間は、屋敷の仕事はマリアとクラウスにしてもらっている。
「まぁでも、当分は僕もヒナギクさんの手伝いが出来ますので、三人の分まで力にならせていただきます」
「………ハヤテ君は既に三人分以上の仕事してるわよ」
「そうですか?」
「そうなの。だからね、色々考えさせられるのよ」
ヒナギクはそう言うと、もう一度深くため息をついた。
ハヤテの方をちら、と見た後、遠い目をして夕焼けに染まった空を見上げ、呟く。
「三人いても仕事が進まないあの子たちは、なんなのかしらって」
「………」
ハヤテはそのことに何も言えなかった。
泉たちとヒナギクをあわせた四人より、ハヤテとヒナギクの二人で仕事に取り組んだ方が、仕事が倍近く進むという事実は、事実であり、証明でもある。
「………ねぇハヤテ君?生徒会入らない?」
「流石に瀬川さんたちが泣いてしまいますよ」
ハヤテは本当に、余計なことは言えなかった。
泉たちの話題を何とか逸らすことに成功したハヤテは、変哲もない話題を挙げながらヒナギクと帰り道を歩いていた。
今は途中で見かけた公園で、道草を食っている。
「そういえば、目の色変えるで思ったんですが」
冬が近づいてきたからだろうか、公園には人っ子一人存在せず、街灯が暗い園内を照らしている。
その公園のベンチに二人は腰を下ろすと、ハヤテが口を開いた。
「ヒナギクさんは今、一生懸命になっていることはありますか?」
「私?」
急にやってきた自身への質問に、ヒナギクは少しきょとんとしていた。
「目の色変えて……?」
「はい。ヒナギクさんって何事にも一生懸命ですけれど、その中でも特に力を入れているものって、ありますか?」
「な、何よ……。褒めたって何も出ないんだから」
「事実ですから」
うんうん、と頷くハヤテに、ヒナギクはうーん、と首をひねる。
夢中になるもの。目の色を変えてまで、白皇生徒会長の自分が一生懸命になっているもの。
いきなり言われても、そう簡単には出てこない。
「(何か……あったかしら?)」
そもそも、何事にも一生懸命とハヤテは言ったが、ヒナギクの中では『それが当たり前』となってしまっているので、イマイチハヤテの言葉にも実感が湧かないのだ。
「(私が自身を持って、一生懸命やっていると言えるもの……)」
泉たちやナギは、自分の好きなものに一生懸命になっていた。
その姿を見て、どんなことがあっても生徒会に参加しろ、とは強く言えなかったのだ。
どんなに下らない理由だったとしても、本人たちからすれば何物にも変えがたい大事な事かもしれないから。
そんな彼女たちと同等のものが、自分にはあるのだろうか。
何かに夢中になれるものが、自分にはあるだろうか。
「………あ」
そこまで考えて、ヒナギクは思い至った。
ナギたちは何に一生懸命だったのか。
「ハヤテ君……」
「はい?何ですか?」
「正直言うとね、私って、何事も一生懸命に取り組んでいるわけじゃないのよ」
「え?」
「ただ、当たり前のように行っていることが他の人からはそういう風に見られているだけで、私自身はそんな、一生懸命って言葉が当て嵌るような事をしているつもりはないの」
「そう……なんですか」
「でもね」
残念な表情を浮かべたハヤテだったが、ヒナギクの答えはそれで終わりではなかった。
「私にも、目の色が変わってしまうくらい一生懸命になっているものが、一つだけあったわ」
そう、つまりそういうことだ。
漫画賞を獲るだとか、動画を撮るだとか、形あるものを得るためだけが、それに当てはまるわけではない。
『形ないもの』にだって、人は、ヒナギクは、目の色を変えるほど夢中になれるものがあるのだ。
「それはね」
ハッと息を小さく吸って、続く答えを、ヒナギクは言葉にした。
「……ハヤテ君に恋すること」
「…………え?」
言って、ヒナギクは頬を赤く染めた。
言ってて恥ずかしくなったらしい。
しかし言葉の意味を理解したハヤテは、もっと赤い顔をしていた。
「…………」
そんなハヤテを満足そうに見て、ヒナギクはニコリ、と微笑んだ。
「それが、私の答えよ」
「………それは…なんというか、その……光栄、です……」
「えへへ……」
ヒナギクはハヤテの右腕を抱きこむと、そのままハヤテに身を委ねる形になった。
「ヒナギクさん?」
「目の色変えるくらい夢中なんだから、このくらいいいわよね?」
「痛い、痛いですって」
絶対離すものか、とヒナギクは腕に力を加えた。
締められれば痛みは増し、比例してヒナギクの温もりもより感じれる。
まるで子供のようなヒナギクの姿にハヤテは苦笑を浮かべつつも、そんな彼女が愛しいと思う。
純粋すぎる好意を向けてくれるヒナギクが、愛しくてたまらない。
この温もりを、できればこれからもずっと、感じていたいと思った。思ったから。
思ったからこそ。
「ヒナギクさん」
「ん?」
自分を抱きしめる少女に、ハヤテは言った。
「どうやら僕も、目の色が変わってしまうくらいにヒナギクさんに恋しているようです」
顔はまだ赤いままだったが、その言葉はしっかりとヒナギクに届いたと思う。
なぜなら。
「……そう」
街灯と月明かりが照らした彼女の表情が、とても幸せそうだったのだから。
秋もまだまだこれからという、10月の上旬。
身を寄せ合う恋人たちの時間も、染まりきっていない銀杏の葉のように、これからもっと美しく色を変えていくことだろう。
End
ようやく完成しました。新作です。
久しぶりの、ハヤヒナです。
相変わらず拙い文章スイマセン(汗
本当に久しぶりで、なかなか上手く書けなかった作品ですorz
これからハヤヒナもっと書いて、リハビリしていこうと思います。
この小説はベディアン様のサイトhttp://id35.fm-p.jp/88/HAKUREN/?guid=onに寄贈させていただきました。
是非足を運んで見てください。
それでは、どうぞ~♪
秋もまだまだこれからという、10月の上旬。
染まりきっていない銀杏の木の下を、ハヤテとヒナギクは歩いていた。
「まだ紅葉は始まってないみたいですねー」
「そりゃそうよ。だってまだ秋の初めじゃない」
秋が深まる、という言葉が当て嵌るにはまだ早い時期。
色が変わっていない銀杏の葉を見ながら呟かれたハヤテの言葉に、ヒナギクが答える。
「これの色がはっきり変わるには、もう少しかかりそうね」
「そうですね……。お嬢様や瀬川さんたちの目の色は、すっかり変わっているんですけどね」
「上手いこと言ってるけど、巧くないから、それ……」
『目の色を変えてまで』
秋といえば食べ物が美味しくなるし、読書や勉学に励みたい気になる。
『○○の秋』とはよく言ったもので、最近ではナギも漫画賞へ向けてひたすらペンを握る毎日を送っているし、生徒会三人娘も、お世話になっている動画投稿サイトで秋の投稿祭が行われているらしく、動画製作に勤しんでいた。
普段何事も不真面目に行う者が、何かに向けて一生懸命になるというのは、中々に新鮮で、中々に不自然でもあるのだが。
「本当、どうして生徒会の仕事は目の色変えてやってくれないのかしらね……」
深いため息をつくヒナギクに、ハヤテは苦笑するしかない。
そう。生徒会のメンバーが私情に目の色を変えてしまっているために、本日の生徒会の仕事もハヤテとヒナギクの二人で行っていたのだ。
別にハヤテは生徒会役員ではないのだが、ヒナギクを見ていたら手伝わずにはいられなかった。
勿論ハヤテも屋敷の仕事があるが、マリアに事情を説明してあるので、ヒナギクの手伝いをしている間は、屋敷の仕事はマリアとクラウスにしてもらっている。
「まぁでも、当分は僕もヒナギクさんの手伝いが出来ますので、三人の分まで力にならせていただきます」
「………ハヤテ君は既に三人分以上の仕事してるわよ」
「そうですか?」
「そうなの。だからね、色々考えさせられるのよ」
ヒナギクはそう言うと、もう一度深くため息をついた。
ハヤテの方をちら、と見た後、遠い目をして夕焼けに染まった空を見上げ、呟く。
「三人いても仕事が進まないあの子たちは、なんなのかしらって」
「………」
ハヤテはそのことに何も言えなかった。
泉たちとヒナギクをあわせた四人より、ハヤテとヒナギクの二人で仕事に取り組んだ方が、仕事が倍近く進むという事実は、事実であり、証明でもある。
「………ねぇハヤテ君?生徒会入らない?」
「流石に瀬川さんたちが泣いてしまいますよ」
ハヤテは本当に、余計なことは言えなかった。
泉たちの話題を何とか逸らすことに成功したハヤテは、変哲もない話題を挙げながらヒナギクと帰り道を歩いていた。
今は途中で見かけた公園で、道草を食っている。
「そういえば、目の色変えるで思ったんですが」
冬が近づいてきたからだろうか、公園には人っ子一人存在せず、街灯が暗い園内を照らしている。
その公園のベンチに二人は腰を下ろすと、ハヤテが口を開いた。
「ヒナギクさんは今、一生懸命になっていることはありますか?」
「私?」
急にやってきた自身への質問に、ヒナギクは少しきょとんとしていた。
「目の色変えて……?」
「はい。ヒナギクさんって何事にも一生懸命ですけれど、その中でも特に力を入れているものって、ありますか?」
「な、何よ……。褒めたって何も出ないんだから」
「事実ですから」
うんうん、と頷くハヤテに、ヒナギクはうーん、と首をひねる。
夢中になるもの。目の色を変えてまで、白皇生徒会長の自分が一生懸命になっているもの。
いきなり言われても、そう簡単には出てこない。
「(何か……あったかしら?)」
そもそも、何事にも一生懸命とハヤテは言ったが、ヒナギクの中では『それが当たり前』となってしまっているので、イマイチハヤテの言葉にも実感が湧かないのだ。
「(私が自身を持って、一生懸命やっていると言えるもの……)」
泉たちやナギは、自分の好きなものに一生懸命になっていた。
その姿を見て、どんなことがあっても生徒会に参加しろ、とは強く言えなかったのだ。
どんなに下らない理由だったとしても、本人たちからすれば何物にも変えがたい大事な事かもしれないから。
そんな彼女たちと同等のものが、自分にはあるのだろうか。
何かに夢中になれるものが、自分にはあるだろうか。
「………あ」
そこまで考えて、ヒナギクは思い至った。
ナギたちは何に一生懸命だったのか。
「ハヤテ君……」
「はい?何ですか?」
「正直言うとね、私って、何事も一生懸命に取り組んでいるわけじゃないのよ」
「え?」
「ただ、当たり前のように行っていることが他の人からはそういう風に見られているだけで、私自身はそんな、一生懸命って言葉が当て嵌るような事をしているつもりはないの」
「そう……なんですか」
「でもね」
残念な表情を浮かべたハヤテだったが、ヒナギクの答えはそれで終わりではなかった。
「私にも、目の色が変わってしまうくらい一生懸命になっているものが、一つだけあったわ」
そう、つまりそういうことだ。
漫画賞を獲るだとか、動画を撮るだとか、形あるものを得るためだけが、それに当てはまるわけではない。
『形ないもの』にだって、人は、ヒナギクは、目の色を変えるほど夢中になれるものがあるのだ。
「それはね」
ハッと息を小さく吸って、続く答えを、ヒナギクは言葉にした。
「……ハヤテ君に恋すること」
「…………え?」
言って、ヒナギクは頬を赤く染めた。
言ってて恥ずかしくなったらしい。
しかし言葉の意味を理解したハヤテは、もっと赤い顔をしていた。
「…………」
そんなハヤテを満足そうに見て、ヒナギクはニコリ、と微笑んだ。
「それが、私の答えよ」
「………それは…なんというか、その……光栄、です……」
「えへへ……」
ヒナギクはハヤテの右腕を抱きこむと、そのままハヤテに身を委ねる形になった。
「ヒナギクさん?」
「目の色変えるくらい夢中なんだから、このくらいいいわよね?」
「痛い、痛いですって」
絶対離すものか、とヒナギクは腕に力を加えた。
締められれば痛みは増し、比例してヒナギクの温もりもより感じれる。
まるで子供のようなヒナギクの姿にハヤテは苦笑を浮かべつつも、そんな彼女が愛しいと思う。
純粋すぎる好意を向けてくれるヒナギクが、愛しくてたまらない。
この温もりを、できればこれからもずっと、感じていたいと思った。思ったから。
思ったからこそ。
「ヒナギクさん」
「ん?」
自分を抱きしめる少女に、ハヤテは言った。
「どうやら僕も、目の色が変わってしまうくらいにヒナギクさんに恋しているようです」
顔はまだ赤いままだったが、その言葉はしっかりとヒナギクに届いたと思う。
なぜなら。
「……そう」
街灯と月明かりが照らした彼女の表情が、とても幸せそうだったのだから。
秋もまだまだこれからという、10月の上旬。
身を寄せ合う恋人たちの時間も、染まりきっていない銀杏の葉のように、これからもっと美しく色を変えていくことだろう。
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