関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうも皆様関ヶ原です。
予告通り更新です。
今回はフォレストの桜吹雪でお世話になっているイチ様からのリクエストで、あやさきけの初詣の話を書かせていただきました。
ぶっちゃけ、初詣がこれで良いのか?とか、内容こんなんでいいの?とか、そういった質問に自信満々に『大丈夫!』と言える自信が皆無です(苦笑)
まずタイトルからして何の捻りもありませんよね。
ただ付け足したみたいな感じになってしまいました。
ゴメンナサイ!
もっと勉強して、自信が持てるような小説を書けるよう頑張りますので、皆様も私の拙文にお付き合いくださいますようよろしくお願いしますm(__)m
それではどうぞ~☆
年明けの神社は、予想通りの大賑わいだった。
「うわぁ…人が一杯だ……」
「毎年こんなものでしょ」
「まぁでも、いつまでもなれないね、この人ごみは」
神社へ余分なスペースも無くぎっしりと詰め込まれた人ごみに飲まれないようにしながら、綾崎家の三人はやや大きめの声で話す。
「アイカ、ヒナギク、手を離さないように」
「了解」
「わかってるよー」
握られた手に力が込められ、三人は少しずつ足を前に運んでいった。
初詣に来た人々の、喧騒の中を。
『初詣とおみくじ』
「もう……どうしてこんなに人がいるんだよぅ……」
あまりの人の多さに、ほとんど進めず、アイカが弱った声を上げた。
綾崎家が近所の神社に初詣に来たのは午前九時を回った頃。
その時には神社は人、人、人で埋め尽くされていた。
「仕様がないのよ。アイカだって毎年経験してるじゃない」
「慣れないものはなれないんだよ……」
早く進まないかなぁ、と呟くアイカに、ハヤテとヒナギクは苦笑を浮かべる。
確かに新年早々、この人ごみの中にずっといるのはアイカにとっては辛いかもしれない。
携帯を開くと、現在の時刻は十時を回った所。
かれこれ一時間は並んでいたことになる。
「うう……帰りたい」
「もう少しなんだから、我慢しなさい」
「初詣が終わったら美味しいものでも食べに行こうか」
幸いといっていいものか分からないが、一時間前と比べて大分最前列に近づいてきた。
自分たちが参拝するまで、それほど時間がかかることもないだろう。
アイカもそのことが分かったのか、それともハヤテの言葉に心揺らされたのか、「もう少し我慢する……」と駄々を捏ねるのをやめた。
「ありがとう、アイカ」
「何食べたいか考えておきなさいね」
「うん。高いものでもいい?」
「大丈夫よ」
「だからもう少し我慢してね、アイカ」
ゆっくりと流れる人波に従いながら、綾崎家は前へと進む。
脇に並ぶ的屋から発せられる、たこ焼きやお好み焼きの匂いがとても香ばしい。
ちらり、と隣のアイカを見ると、的屋の食べ物をじろりと見ながら目を光らせていた。
「(アイカ、的屋の食べ物ほとんど頼みそうだよなぁ……)」
「(私もそれ思ったわ……)」
心で会話が成立するのは、おしどり夫婦の良い証拠。
…
少しばかりの時間が過ぎ、ようやく自分たちの順番が来た。
賽銭箱を前に、ハヤテはアイカに十円玉を渡す。
「おつかれアイカ。ほら、これをあの箱に入れて」
「うん。ありがとパパ」
「それじゃあお祈りしましょうか」
賽銭箱に賽銭を投じ、鈴を鳴らす。
2礼2拍の後に手を合わせ静かに目を閉じ、今年一年の祈願をする。
「(今年一年家内安全でありますよう…)」
「(パパ奪還、パパ奪還……)」
「(夫死守、夫死守……あと家内安全)」
持続させたいこと、昨年は達成できなかったこと、昨年も達成できたこと。
叶うよう、一念に祈る、祈る。
『………よし』
これで大丈夫、といえる程祈った三人は、一礼して踵を返した。
若干二名ほど不穏な祈願がされていたようだが、これで三人の参拝は終了だ。
ようやく終わったね、と安堵の息をつきながら出店が並んだ方向へ向かう途中で、ハヤテが何かに気が付く。
「ん?」
それは境内の端の方に位置する、おみくじだった。
近くの木の枝には、何十枚ものおみくじが結ばれている。
ふむ、とハヤテは少し考えてから、嬉々として先頭を歩いていたアイカに声をかけた。
「アイカ、おみくじがあるよ」
「んにゃ?」
「やらない?」
「………やる!」
数秒考えて、元気良くアイカは答えた。
おみくじを一枚買って、恐る恐るアイカはそれを開く。
「今年の運勢は……」
自分の運勢位はアイカにだって読める。
長方形の紙に書かれていた文字を、目で追う。
『大吉』
「やった!」
「やったね、アイカ」
書かれていた自分の運勢に、アイカの顔がぱぁっと明るくなった。
新年から都合が良い。
「へぇ~凄いじゃない、アイカ」
「えへへ、今年は私の年だね!」
「貸してみて?何て書いてあるか読んであげるよ」
はしゃぐアイカの手から大吉のおみくじを取り、ハヤテは内容を確認する。
「ええと……うん、健康も金運もかなり良いみたいだね」
「大吉だもんね!当然だよ!他には?」
「全体的に悪いものは何もないよ。後はそうだね……『願い事:幸運にむかい早くかなうでしょう』とか、『待ち人:来ます』だって」
『本当!?』
「本当本当。やったねアイカ。願い事叶うってさ」
「うん、やった!」
「良くないじゃない!」
笑顔のハヤテとアイカに対し、ヒナギクは非常に焦った様子。
「? どうしたのヒナギク」
「そうだよママ。私の願いごと……叶うんだよ?」
「アイカの願い事を叶えるわけにはいかないのよ……」
ヒナギクの言っていることが分からないと、ハヤテは不思議そうな表情を浮かべた。
そんなハヤテに、ヒナギクは気にしないでと視線で訴える。
「………?」
しっかりと思いが伝わってくれるのは有難い。
理解はしていないものの、とりあえずは了承してくれたハヤテにヒナギクは内心安堵する。
娘に夫を盗られるかもしれないと心配している妻が、どこにいるというのか。
とてもじゃないが、夫本人に言えない。言えるわけがない。
「良く分からないけど、あまり無茶しちゃだめだよ?ヒナギク」
「ありがとうハヤテ……。その台詞をそっくりそのまま誰かに言いたいけれど」
その誰かは自分のおみくじを握ったまま、上機嫌に鼻歌を歌っている。
「さて、そろそろ行こうか」
おみくじも買ったことだし、とハヤテが皆に声をかける。
初詣は一応終わったのだし、これ以上境内にいる必要も無いだろう。
「ええ、そうしましょうか」
「お腹すいたよー」
何故か落ち込んでいたヒナギクも今はいつものヒナギクに戻っている。
二人ともハヤテの意見には賛成のようで、三人は境内を出た。
「お腹空いた、か……。」
「アイカ、何か出店で買っていこうか?」
行きはゆっくり行かざるを得なかったが、帰りの道は敢えてゆっくりとした足取りで歩く。
様々な出店が立ち並ぶ中、アイカの目は光りっぱなしだ。
「うーんとね、ママ、パパ……」
「ん?」
「どうしたのアイカ?」
出店から目を離すことなく、アイカはハヤテとヒナギクに次の言葉を続けた。
「全部食べたいんだけど……駄目、かな?」
『………………』
遠慮がちに、でも期待が込められた瞳に見つめられ、ハヤテとヒナギクは、
『………ぶはっ!』
噴出した。
「え!? どうしてそこで笑うの!?」
『い、いや………』
びっくり顔のアイカを見て、さらに笑いがこみ上げてくるハヤテとヒナギク。
いや、まさか、本当に。
想像していた通りのことを言う我が子に向けて、心の中で親指を立てた。
「だ、駄目なんだ!やっぱり!」
「いやいや……」
「食べれるなら、好きなだけ頼んでいいわよ」
こんなに面白い娘の頼みを誰が断れようか。
たくさんの食べ物に囲まれ、どれを食べようか迷っているアイカの姿を想像し、再び笑いが出そうになった。
「やったやった!じゃあ行こう!今すぐ行こう!」
「そんなに急がなくてもお店は逃げないよ~」
「逸れないようにちゃんと手を繋ぎなさいよ!」
聞いているのか聞いていないのか分からないアイカにそれぞれの手を引っ張られながら、ハヤテとヒナギクは、人が込み合う出店の方へと向かっていった。
家族三人で来た初詣。
ハヤテとヒナギクが自分のおみくじを引いていないと気づいたのは、アイカが最後の焼きそばを注文している時のことだった。
End
予告通り更新です。
今回はフォレストの桜吹雪でお世話になっているイチ様からのリクエストで、あやさきけの初詣の話を書かせていただきました。
ぶっちゃけ、初詣がこれで良いのか?とか、内容こんなんでいいの?とか、そういった質問に自信満々に『大丈夫!』と言える自信が皆無です(苦笑)
まずタイトルからして何の捻りもありませんよね。
ただ付け足したみたいな感じになってしまいました。
ゴメンナサイ!
もっと勉強して、自信が持てるような小説を書けるよう頑張りますので、皆様も私の拙文にお付き合いくださいますようよろしくお願いしますm(__)m
それではどうぞ~☆
年明けの神社は、予想通りの大賑わいだった。
「うわぁ…人が一杯だ……」
「毎年こんなものでしょ」
「まぁでも、いつまでもなれないね、この人ごみは」
神社へ余分なスペースも無くぎっしりと詰め込まれた人ごみに飲まれないようにしながら、綾崎家の三人はやや大きめの声で話す。
「アイカ、ヒナギク、手を離さないように」
「了解」
「わかってるよー」
握られた手に力が込められ、三人は少しずつ足を前に運んでいった。
初詣に来た人々の、喧騒の中を。
『初詣とおみくじ』
「もう……どうしてこんなに人がいるんだよぅ……」
あまりの人の多さに、ほとんど進めず、アイカが弱った声を上げた。
綾崎家が近所の神社に初詣に来たのは午前九時を回った頃。
その時には神社は人、人、人で埋め尽くされていた。
「仕様がないのよ。アイカだって毎年経験してるじゃない」
「慣れないものはなれないんだよ……」
早く進まないかなぁ、と呟くアイカに、ハヤテとヒナギクは苦笑を浮かべる。
確かに新年早々、この人ごみの中にずっといるのはアイカにとっては辛いかもしれない。
携帯を開くと、現在の時刻は十時を回った所。
かれこれ一時間は並んでいたことになる。
「うう……帰りたい」
「もう少しなんだから、我慢しなさい」
「初詣が終わったら美味しいものでも食べに行こうか」
幸いといっていいものか分からないが、一時間前と比べて大分最前列に近づいてきた。
自分たちが参拝するまで、それほど時間がかかることもないだろう。
アイカもそのことが分かったのか、それともハヤテの言葉に心揺らされたのか、「もう少し我慢する……」と駄々を捏ねるのをやめた。
「ありがとう、アイカ」
「何食べたいか考えておきなさいね」
「うん。高いものでもいい?」
「大丈夫よ」
「だからもう少し我慢してね、アイカ」
ゆっくりと流れる人波に従いながら、綾崎家は前へと進む。
脇に並ぶ的屋から発せられる、たこ焼きやお好み焼きの匂いがとても香ばしい。
ちらり、と隣のアイカを見ると、的屋の食べ物をじろりと見ながら目を光らせていた。
「(アイカ、的屋の食べ物ほとんど頼みそうだよなぁ……)」
「(私もそれ思ったわ……)」
心で会話が成立するのは、おしどり夫婦の良い証拠。
…
少しばかりの時間が過ぎ、ようやく自分たちの順番が来た。
賽銭箱を前に、ハヤテはアイカに十円玉を渡す。
「おつかれアイカ。ほら、これをあの箱に入れて」
「うん。ありがとパパ」
「それじゃあお祈りしましょうか」
賽銭箱に賽銭を投じ、鈴を鳴らす。
2礼2拍の後に手を合わせ静かに目を閉じ、今年一年の祈願をする。
「(今年一年家内安全でありますよう…)」
「(パパ奪還、パパ奪還……)」
「(夫死守、夫死守……あと家内安全)」
持続させたいこと、昨年は達成できなかったこと、昨年も達成できたこと。
叶うよう、一念に祈る、祈る。
『………よし』
これで大丈夫、といえる程祈った三人は、一礼して踵を返した。
若干二名ほど不穏な祈願がされていたようだが、これで三人の参拝は終了だ。
ようやく終わったね、と安堵の息をつきながら出店が並んだ方向へ向かう途中で、ハヤテが何かに気が付く。
「ん?」
それは境内の端の方に位置する、おみくじだった。
近くの木の枝には、何十枚ものおみくじが結ばれている。
ふむ、とハヤテは少し考えてから、嬉々として先頭を歩いていたアイカに声をかけた。
「アイカ、おみくじがあるよ」
「んにゃ?」
「やらない?」
「………やる!」
数秒考えて、元気良くアイカは答えた。
おみくじを一枚買って、恐る恐るアイカはそれを開く。
「今年の運勢は……」
自分の運勢位はアイカにだって読める。
長方形の紙に書かれていた文字を、目で追う。
『大吉』
「やった!」
「やったね、アイカ」
書かれていた自分の運勢に、アイカの顔がぱぁっと明るくなった。
新年から都合が良い。
「へぇ~凄いじゃない、アイカ」
「えへへ、今年は私の年だね!」
「貸してみて?何て書いてあるか読んであげるよ」
はしゃぐアイカの手から大吉のおみくじを取り、ハヤテは内容を確認する。
「ええと……うん、健康も金運もかなり良いみたいだね」
「大吉だもんね!当然だよ!他には?」
「全体的に悪いものは何もないよ。後はそうだね……『願い事:幸運にむかい早くかなうでしょう』とか、『待ち人:来ます』だって」
『本当!?』
「本当本当。やったねアイカ。願い事叶うってさ」
「うん、やった!」
「良くないじゃない!」
笑顔のハヤテとアイカに対し、ヒナギクは非常に焦った様子。
「? どうしたのヒナギク」
「そうだよママ。私の願いごと……叶うんだよ?」
「アイカの願い事を叶えるわけにはいかないのよ……」
ヒナギクの言っていることが分からないと、ハヤテは不思議そうな表情を浮かべた。
そんなハヤテに、ヒナギクは気にしないでと視線で訴える。
「………?」
しっかりと思いが伝わってくれるのは有難い。
理解はしていないものの、とりあえずは了承してくれたハヤテにヒナギクは内心安堵する。
娘に夫を盗られるかもしれないと心配している妻が、どこにいるというのか。
とてもじゃないが、夫本人に言えない。言えるわけがない。
「良く分からないけど、あまり無茶しちゃだめだよ?ヒナギク」
「ありがとうハヤテ……。その台詞をそっくりそのまま誰かに言いたいけれど」
その誰かは自分のおみくじを握ったまま、上機嫌に鼻歌を歌っている。
「さて、そろそろ行こうか」
おみくじも買ったことだし、とハヤテが皆に声をかける。
初詣は一応終わったのだし、これ以上境内にいる必要も無いだろう。
「ええ、そうしましょうか」
「お腹すいたよー」
何故か落ち込んでいたヒナギクも今はいつものヒナギクに戻っている。
二人ともハヤテの意見には賛成のようで、三人は境内を出た。
「お腹空いた、か……。」
「アイカ、何か出店で買っていこうか?」
行きはゆっくり行かざるを得なかったが、帰りの道は敢えてゆっくりとした足取りで歩く。
様々な出店が立ち並ぶ中、アイカの目は光りっぱなしだ。
「うーんとね、ママ、パパ……」
「ん?」
「どうしたのアイカ?」
出店から目を離すことなく、アイカはハヤテとヒナギクに次の言葉を続けた。
「全部食べたいんだけど……駄目、かな?」
『………………』
遠慮がちに、でも期待が込められた瞳に見つめられ、ハヤテとヒナギクは、
『………ぶはっ!』
噴出した。
「え!? どうしてそこで笑うの!?」
『い、いや………』
びっくり顔のアイカを見て、さらに笑いがこみ上げてくるハヤテとヒナギク。
いや、まさか、本当に。
想像していた通りのことを言う我が子に向けて、心の中で親指を立てた。
「だ、駄目なんだ!やっぱり!」
「いやいや……」
「食べれるなら、好きなだけ頼んでいいわよ」
こんなに面白い娘の頼みを誰が断れようか。
たくさんの食べ物に囲まれ、どれを食べようか迷っているアイカの姿を想像し、再び笑いが出そうになった。
「やったやった!じゃあ行こう!今すぐ行こう!」
「そんなに急がなくてもお店は逃げないよ~」
「逸れないようにちゃんと手を繋ぎなさいよ!」
聞いているのか聞いていないのか分からないアイカにそれぞれの手を引っ張られながら、ハヤテとヒナギクは、人が込み合う出店の方へと向かっていった。
家族三人で来た初詣。
ハヤテとヒナギクが自分のおみくじを引いていないと気づいたのは、アイカが最後の焼きそばを注文している時のことだった。
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