関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうもご無沙汰、関ヶ原です。
皆様聖なる夜は如何お過ごしでしょうか?
私は一人です。
一人で、ハヤヒナ小説書いてます。
妙な空しさが胸を打ちますけれども、べ、別に気にしてなんかないんだからね!
今月の26にバカテスの新巻が出るそうなので、今から待ち遠しいです。
さて、今回書いた小説はあやさきけ。
今月初小説なんですね。
更新せず申し訳ありません……。
お詫びとなるかどうかは分からないのですが、この拙文をクリスマスプレゼントとしてアップします。
無駄に長くなって、無駄に中身のないようなクリスマスの話です。
俺は一体何が書きたかったのか?
分からないです。
本当に、文章上手に書く才能をください、サンタさん。
それでは皆様、メリークリスマス~☆
十二月二十四日。
この日は俗に言うクリスマス・イヴというものだ。
街に出れば、恋人や子供たちへのプレゼントを選んでいる人たちが多く見られ、店先には装飾されたクリスマスツリーが美しく輝いている。
二十四日の時点でまだプレゼントを決めかねているのはどうか、とも思うが。
しかし実のところ、今回焦点を当てる家族の父親と母親も、愛娘へのプレゼントをまだ決めていないのだから、案外そういう家庭も多いのかもしれない。
まぁそんな話はさておいて。
焦点を当てるという件の家族。
綾崎家のヒナギクさんとアイカちゃんは、そんな光り輝く街中を、来るべきクリスマスへ期待を膨らませながらのんびりと歩いていた。
『セイント・デイ』
「はうぅ……ママ、ツリー凄く綺麗だね!」
「ふふ。そうね、凄く綺麗ね」
様々な色で彩られたツリーを見て興奮する我が娘に、ヒナギクは目を細める。
普段は父であるハヤテの気を引くために、子供らしからぬ言動や行動を繰り返している娘でも、クリスマスは特別らしい。
背伸びすることもなく、年相応に来るべきクリスマスを楽しみにしているようでヒナギクも嬉しく思う。
「アイカは今年、サンタさんに何をお願いするのかしら?」
「ん~」
「アイカはいっつも(色んな意味で)頑張ってるから、サンタさんもきっと欲しいものくれると思うわよ」
ヒナギクとハヤテの、アイカの年くらいのクリスマスは、良い思い出など一切ない。
聖なる夜の日、二人とも寒空の下、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされていた。
だからこそ自分の子供には幸せなクリスマスを送って欲しいのだ、という想いはアイカが生まれ八年が経つ今でも変わっていない。
「ほらほら、ママにだけ教えて?ね?」
だから、出来る限りのことはしたいのだった。
「な、なんでもいいの……?」
「なんでもいいから、言ってみなさいよ」
そんなヒナギクの想いが伝わったのか、アイカが恥ずかしそうにヒナギクに尋ねる。
「うん、じゃあ………」
アイカのその姿に満足そうに頷きながら、ヒナギクは続く言葉を待った。
何が欲しいのだろう。
玩具か、お人形か。もしかしたらゲームかもしれない。
アイカは普段そういうものに欲は出さないので、玩具やお菓子を強請られたことがなかった。
それ故、欲しいものがある、というアイカの言葉に凄く興味が湧いた。
ヒナギクに内心期待されながら、アイカは頬を染めて欲しいものを言った。
「パ―――」「却下」
即答だった。
まさかの却下宣言に、アイカの空色の瞳が驚愕の色を浮かべながら見開かれる。
「えぇ!?まだ一文字しか言ってないよ!?」
「一文字で十分よ!!どうせ同じ文字がもう一つ続くんでしょ!?」
アイカの体が強張った。
「そ、そんなことないよぉ……?『パイナポー』って言おうとしたんだもん」
「なんでクリスマスにパイナップル頼むのよ。そんなこと言ったら本当に持ってくるわよサンタさん」
「あぁっ!う、嘘ですクリスマスジョークですよサンタさん!本当はパパって言おうとしたんだよう!」
「どんなジョークよ」
笑えなさ過ぎるジョークにも程があった。
「というかやっぱりハヤテだったんじゃない」
「だ、だって私頑張ったから、何でも欲しいものくれるんでしょ!?だったらパパでも………」
「いくらサンタさんだって、人の物はくれないわよ」
「今さらっとパパを物扱いしたよね」
「ハヤテは私の物。私はハヤテの物。そしてアイカは私とハヤテの宝物よ」
「う……恥ずかしいよママ」
アイカが照れくさそうに、けれども嬉しそうに頬を染めた。
そんなアイカに、ヒナギクは苦笑しながら諭す。
「だからね、アイカ。アイカがいくら欲しいって言っても、サンタさんはハヤテをくれないのよ」
「うぅ……」
「他の物にしたほうがサンタさんだってきっと助かると思うわよ」
「……ママに言っていることが『むじゅん』しているように思うんだけど」
「気のせいよ」
ヒナギクの言葉にまだ納得していない様子のアイカだったのだが、「しょうがないなぁ」と、ハヤテの代わりとなるプレゼントを検討し始める。
「パパ以外で、欲しいものかぁ……」
会話だけ聞いているとまるで私とアイカに父親がいないように聞こえるわ、とアイカを眺めながらヒナギクは思う。
ハヤテに対し、少しばかり罪悪感。
今、家でクリスマスのご馳走を作っている夫に永遠の愛を捧げながら、ヒナギクは再びアイカの方へと意識を向けた。
アイカはまだ悩んでいる最中だった。
「うーん……」
「まだ決まらないの?」
「うん……。だって何にも思い浮かばないんだもん……」
「どこまで欲のない子供なのかしら……」
ハヤテ以外に欲しいものがないという我が娘に、ヒナギクは呆れを通り越して感心する。
現代の子供で、ここまで欲のない子供というのはいないのではないだろうか。
「うーん。困ったわねぇ……」
「? どうしてママが困るの?」
「え!?い、いや……ママにも色々あるのよ」
「そうなんだ~」
折角プレゼントをしようと思っても、欲しいものがないのだから仕様がない。
そういえば今までのクリスマスも、このようにプレゼントに悩んでいたような気がする。
いつもプレゼントが決まるのはギリギリ。
いや、今まで聞かなかった自分たちも悪いのだが。
「(八歳にもなれば欲しいものの一つや二つは出来るだろうと思っていたけど……迂闊だったわ)」
アイカの方を見れば、アイカは再びプレゼントについて考え始めているようだった。
「う~ん……」
「……ねぇアイカ、本当に欲しいもの、ないの?」
「だからパ―――」「それ以外で」
「うぅぅぅぅぅ………」
「はぁ………クリスマスに欲しいものが何もなくて悩んでいるのは、アイカくらいよ」
何とかプレゼントを思い浮かべさせようと催促する。
しかしアイカは首を何回か傾げたものの、やはり思い浮かばないようだった。
その様子に思わずヒナギクは肩が下がる。
「ねぇママ……」
「どうしたの?欲しいもの、あった?」
「ううん、思いつかない」
「そう……」
だが、次のアイカの言葉で、下がった肩が少しだけ、上がった。
「私はね、ママ」
「ん?」
「パパが貰えないんだったら……パパとママと一緒に過ごせたら、それでいいんだもん」
「え……?」
「欲しいものなんてないし、今のまま、ずっと一緒にいれたらそれで私は充分だもん」
「でも、それじゃサンタさんへお願い事は……」
少しばかり戸惑いが含まれたヒナギクの言葉に、花が咲いたような笑顔で、アイカは答えた。
「欲しい物が出来るまで、とっておく!」
「………は?」
「で、欲しいものが出来たときにね、一杯欲しいもの貰うんだ!『今までのツケ、りしつけてかえせや~』って紙に書いて」
「どれだけ嫌な子供なのよ、それ……」
「いいの!サンタさんのお仕事が楽になるんだから。サンタさんも幸せ、私も幸せ。幸せスパイラル、だよ!」
「いや、アイカ貴女サンタさんの生き甲斐奪ってるようなものよ?サンタさん来ないのに幸せっていえるアイカって、たまに凄いと思うわ……」
ヒナギクは本日何度目かの、深いため息をつく。しかし。
「(でも……)」
何故だろうか。アイカの言葉は、どんなものが欲しいと言われるよりも、一番しっくりきた。
『家族と仲良く過ごす』なんて、サンタさんに普通は頼まない。
「でも、ある意味サンタさんへのお願い事よね……?」
考えてみれば、自分たちはアイカの両親であると同時に、アイカ専属のサンタクロースではないか。
両親と一緒に仲良く楽しく過ごしたい、とヒナギクに言うこと、それはサンタへのお願いと言っても間違いではない。
なんだ。この娘は、しっかりとお願いしてくれたじゃないか。
無理に考えたわけでもなく、純粋に、心から願ってくれたサンタへのお願い事。
嬉しくて、頬が緩んでくる。
「ねぇアイカ」
「ん?何?」
こちらに顔を向けてくる我が娘に、ヒナギクは優しく微笑みながら、言った。
「ありがとう」
「? どういたしまして?」
「ふふ……」
「?」
アイカが不思議そうな表情を浮かべるが、ヒナギクは気にしない。
理由を聞かれたところで、サンタである自分は答えることなど出来ないのだから。
「さて!帰ろうか!」
「え?いや、もうすぐお家着くけど……」
「ふふふ。愛しのパパが美味しい料理を作って待ってるんだからね~」
「それは楽しみ!」
アイカの小さな手を引いて、ヒナギクは歩く速度を速めた。
早く家に帰って、ゆっくりと、楽しく過ごしたかったから。
アイカの願いを叶えるため。
アイカへ、サンタからのクリスマスプレゼントを与えるため。
………少しばかりは、ヒナギク自身のため。
「「ただいま!」」
「お帰り~。料理もうすぐ出来るから、もうちょっと待っててね」
「うん!」
「手伝うわ。ねぇハヤテ」
「ん?」
「今日は家族三人、一緒に寝ない?」
「へ?別に全然いいけど……どうして?」
「ふふっ……。プレゼントのため、よ!」
「はぁ……良く分からないけど、うん。僕も久しぶりに皆で寝たいし、こっちからお願いするよ」
「決定ね♪」
「ところで……なんでそんなに上機嫌なの?何か良いことでもあった?」
「さぁ?イヴだからじゃない?」
「………?今日のヒナギクは良く分からないや……」
「ふふ………。さて、料理も出来たことだし、そろそろ始めましょうか!」
「そうだね」
「アイカ―――!ご飯出来たわよ―――!!」
「はぁい!!今行く―――!!」
家に帰って料理を食べて。
家族で仲良く寄り添って、クリスマス・イヴを過ごすこと。
それは、アイカが望んだ願いごとであり、ずっと昔に聖夜の寒空へ呟いた、ヒナギクの願いでもあった。
その願いが今こうして叶っているのは、ひょっとしたらサンタが自分へくれたプレゼントなのではないだろうか。
「全く……この歳になって、何を考えているのやら、私は……」
そんなことを思う自分に思わず苦笑してしまう。
欲しいものがない、という娘のことを言えないじゃないか。
「本当に困ったものだわ……クリスマスって……」
寝ている二人を起こさぬよう、静かに布団からヒナギクは抜け出す。
そして窓を開ければ。
「あ……雪………」
空から深深と降る氷の結晶に、ヒナギクはしばし見とれる。
ホワイトクリスマス。
物語にしては、出来すぎる展開だった。
「これもサンタさんの力なのかしらね……?」
その声に答えるものは、静かな寝息を立てていて。
「………本当、ステキな聖夜だわ」
その音をBGMに、雪の降る聖夜の夜空を、心穏やかにヒナギクは見上げるのだった。
End
皆様聖なる夜は如何お過ごしでしょうか?
私は一人です。
一人で、ハヤヒナ小説書いてます。
妙な空しさが胸を打ちますけれども、べ、別に気にしてなんかないんだからね!
今月の26にバカテスの新巻が出るそうなので、今から待ち遠しいです。
さて、今回書いた小説はあやさきけ。
今月初小説なんですね。
更新せず申し訳ありません……。
お詫びとなるかどうかは分からないのですが、この拙文をクリスマスプレゼントとしてアップします。
無駄に長くなって、無駄に中身のないようなクリスマスの話です。
俺は一体何が書きたかったのか?
分からないです。
本当に、文章上手に書く才能をください、サンタさん。
それでは皆様、メリークリスマス~☆
十二月二十四日。
この日は俗に言うクリスマス・イヴというものだ。
街に出れば、恋人や子供たちへのプレゼントを選んでいる人たちが多く見られ、店先には装飾されたクリスマスツリーが美しく輝いている。
二十四日の時点でまだプレゼントを決めかねているのはどうか、とも思うが。
しかし実のところ、今回焦点を当てる家族の父親と母親も、愛娘へのプレゼントをまだ決めていないのだから、案外そういう家庭も多いのかもしれない。
まぁそんな話はさておいて。
焦点を当てるという件の家族。
綾崎家のヒナギクさんとアイカちゃんは、そんな光り輝く街中を、来るべきクリスマスへ期待を膨らませながらのんびりと歩いていた。
『セイント・デイ』
「はうぅ……ママ、ツリー凄く綺麗だね!」
「ふふ。そうね、凄く綺麗ね」
様々な色で彩られたツリーを見て興奮する我が娘に、ヒナギクは目を細める。
普段は父であるハヤテの気を引くために、子供らしからぬ言動や行動を繰り返している娘でも、クリスマスは特別らしい。
背伸びすることもなく、年相応に来るべきクリスマスを楽しみにしているようでヒナギクも嬉しく思う。
「アイカは今年、サンタさんに何をお願いするのかしら?」
「ん~」
「アイカはいっつも(色んな意味で)頑張ってるから、サンタさんもきっと欲しいものくれると思うわよ」
ヒナギクとハヤテの、アイカの年くらいのクリスマスは、良い思い出など一切ない。
聖なる夜の日、二人とも寒空の下、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされていた。
だからこそ自分の子供には幸せなクリスマスを送って欲しいのだ、という想いはアイカが生まれ八年が経つ今でも変わっていない。
「ほらほら、ママにだけ教えて?ね?」
だから、出来る限りのことはしたいのだった。
「な、なんでもいいの……?」
「なんでもいいから、言ってみなさいよ」
そんなヒナギクの想いが伝わったのか、アイカが恥ずかしそうにヒナギクに尋ねる。
「うん、じゃあ………」
アイカのその姿に満足そうに頷きながら、ヒナギクは続く言葉を待った。
何が欲しいのだろう。
玩具か、お人形か。もしかしたらゲームかもしれない。
アイカは普段そういうものに欲は出さないので、玩具やお菓子を強請られたことがなかった。
それ故、欲しいものがある、というアイカの言葉に凄く興味が湧いた。
ヒナギクに内心期待されながら、アイカは頬を染めて欲しいものを言った。
「パ―――」「却下」
即答だった。
まさかの却下宣言に、アイカの空色の瞳が驚愕の色を浮かべながら見開かれる。
「えぇ!?まだ一文字しか言ってないよ!?」
「一文字で十分よ!!どうせ同じ文字がもう一つ続くんでしょ!?」
アイカの体が強張った。
「そ、そんなことないよぉ……?『パイナポー』って言おうとしたんだもん」
「なんでクリスマスにパイナップル頼むのよ。そんなこと言ったら本当に持ってくるわよサンタさん」
「あぁっ!う、嘘ですクリスマスジョークですよサンタさん!本当はパパって言おうとしたんだよう!」
「どんなジョークよ」
笑えなさ過ぎるジョークにも程があった。
「というかやっぱりハヤテだったんじゃない」
「だ、だって私頑張ったから、何でも欲しいものくれるんでしょ!?だったらパパでも………」
「いくらサンタさんだって、人の物はくれないわよ」
「今さらっとパパを物扱いしたよね」
「ハヤテは私の物。私はハヤテの物。そしてアイカは私とハヤテの宝物よ」
「う……恥ずかしいよママ」
アイカが照れくさそうに、けれども嬉しそうに頬を染めた。
そんなアイカに、ヒナギクは苦笑しながら諭す。
「だからね、アイカ。アイカがいくら欲しいって言っても、サンタさんはハヤテをくれないのよ」
「うぅ……」
「他の物にしたほうがサンタさんだってきっと助かると思うわよ」
「……ママに言っていることが『むじゅん』しているように思うんだけど」
「気のせいよ」
ヒナギクの言葉にまだ納得していない様子のアイカだったのだが、「しょうがないなぁ」と、ハヤテの代わりとなるプレゼントを検討し始める。
「パパ以外で、欲しいものかぁ……」
会話だけ聞いているとまるで私とアイカに父親がいないように聞こえるわ、とアイカを眺めながらヒナギクは思う。
ハヤテに対し、少しばかり罪悪感。
今、家でクリスマスのご馳走を作っている夫に永遠の愛を捧げながら、ヒナギクは再びアイカの方へと意識を向けた。
アイカはまだ悩んでいる最中だった。
「うーん……」
「まだ決まらないの?」
「うん……。だって何にも思い浮かばないんだもん……」
「どこまで欲のない子供なのかしら……」
ハヤテ以外に欲しいものがないという我が娘に、ヒナギクは呆れを通り越して感心する。
現代の子供で、ここまで欲のない子供というのはいないのではないだろうか。
「うーん。困ったわねぇ……」
「? どうしてママが困るの?」
「え!?い、いや……ママにも色々あるのよ」
「そうなんだ~」
折角プレゼントをしようと思っても、欲しいものがないのだから仕様がない。
そういえば今までのクリスマスも、このようにプレゼントに悩んでいたような気がする。
いつもプレゼントが決まるのはギリギリ。
いや、今まで聞かなかった自分たちも悪いのだが。
「(八歳にもなれば欲しいものの一つや二つは出来るだろうと思っていたけど……迂闊だったわ)」
アイカの方を見れば、アイカは再びプレゼントについて考え始めているようだった。
「う~ん……」
「……ねぇアイカ、本当に欲しいもの、ないの?」
「だからパ―――」「それ以外で」
「うぅぅぅぅぅ………」
「はぁ………クリスマスに欲しいものが何もなくて悩んでいるのは、アイカくらいよ」
何とかプレゼントを思い浮かべさせようと催促する。
しかしアイカは首を何回か傾げたものの、やはり思い浮かばないようだった。
その様子に思わずヒナギクは肩が下がる。
「ねぇママ……」
「どうしたの?欲しいもの、あった?」
「ううん、思いつかない」
「そう……」
だが、次のアイカの言葉で、下がった肩が少しだけ、上がった。
「私はね、ママ」
「ん?」
「パパが貰えないんだったら……パパとママと一緒に過ごせたら、それでいいんだもん」
「え……?」
「欲しいものなんてないし、今のまま、ずっと一緒にいれたらそれで私は充分だもん」
「でも、それじゃサンタさんへお願い事は……」
少しばかり戸惑いが含まれたヒナギクの言葉に、花が咲いたような笑顔で、アイカは答えた。
「欲しい物が出来るまで、とっておく!」
「………は?」
「で、欲しいものが出来たときにね、一杯欲しいもの貰うんだ!『今までのツケ、りしつけてかえせや~』って紙に書いて」
「どれだけ嫌な子供なのよ、それ……」
「いいの!サンタさんのお仕事が楽になるんだから。サンタさんも幸せ、私も幸せ。幸せスパイラル、だよ!」
「いや、アイカ貴女サンタさんの生き甲斐奪ってるようなものよ?サンタさん来ないのに幸せっていえるアイカって、たまに凄いと思うわ……」
ヒナギクは本日何度目かの、深いため息をつく。しかし。
「(でも……)」
何故だろうか。アイカの言葉は、どんなものが欲しいと言われるよりも、一番しっくりきた。
『家族と仲良く過ごす』なんて、サンタさんに普通は頼まない。
「でも、ある意味サンタさんへのお願い事よね……?」
考えてみれば、自分たちはアイカの両親であると同時に、アイカ専属のサンタクロースではないか。
両親と一緒に仲良く楽しく過ごしたい、とヒナギクに言うこと、それはサンタへのお願いと言っても間違いではない。
なんだ。この娘は、しっかりとお願いしてくれたじゃないか。
無理に考えたわけでもなく、純粋に、心から願ってくれたサンタへのお願い事。
嬉しくて、頬が緩んでくる。
「ねぇアイカ」
「ん?何?」
こちらに顔を向けてくる我が娘に、ヒナギクは優しく微笑みながら、言った。
「ありがとう」
「? どういたしまして?」
「ふふ……」
「?」
アイカが不思議そうな表情を浮かべるが、ヒナギクは気にしない。
理由を聞かれたところで、サンタである自分は答えることなど出来ないのだから。
「さて!帰ろうか!」
「え?いや、もうすぐお家着くけど……」
「ふふふ。愛しのパパが美味しい料理を作って待ってるんだからね~」
「それは楽しみ!」
アイカの小さな手を引いて、ヒナギクは歩く速度を速めた。
早く家に帰って、ゆっくりと、楽しく過ごしたかったから。
アイカの願いを叶えるため。
アイカへ、サンタからのクリスマスプレゼントを与えるため。
………少しばかりは、ヒナギク自身のため。
「「ただいま!」」
「お帰り~。料理もうすぐ出来るから、もうちょっと待っててね」
「うん!」
「手伝うわ。ねぇハヤテ」
「ん?」
「今日は家族三人、一緒に寝ない?」
「へ?別に全然いいけど……どうして?」
「ふふっ……。プレゼントのため、よ!」
「はぁ……良く分からないけど、うん。僕も久しぶりに皆で寝たいし、こっちからお願いするよ」
「決定ね♪」
「ところで……なんでそんなに上機嫌なの?何か良いことでもあった?」
「さぁ?イヴだからじゃない?」
「………?今日のヒナギクは良く分からないや……」
「ふふ………。さて、料理も出来たことだし、そろそろ始めましょうか!」
「そうだね」
「アイカ―――!ご飯出来たわよ―――!!」
「はぁい!!今行く―――!!」
家に帰って料理を食べて。
家族で仲良く寄り添って、クリスマス・イヴを過ごすこと。
それは、アイカが望んだ願いごとであり、ずっと昔に聖夜の寒空へ呟いた、ヒナギクの願いでもあった。
その願いが今こうして叶っているのは、ひょっとしたらサンタが自分へくれたプレゼントなのではないだろうか。
「全く……この歳になって、何を考えているのやら、私は……」
そんなことを思う自分に思わず苦笑してしまう。
欲しいものがない、という娘のことを言えないじゃないか。
「本当に困ったものだわ……クリスマスって……」
寝ている二人を起こさぬよう、静かに布団からヒナギクは抜け出す。
そして窓を開ければ。
「あ……雪………」
空から深深と降る氷の結晶に、ヒナギクはしばし見とれる。
ホワイトクリスマス。
物語にしては、出来すぎる展開だった。
「これもサンタさんの力なのかしらね……?」
その声に答えるものは、静かな寝息を立てていて。
「………本当、ステキな聖夜だわ」
その音をBGMに、雪の降る聖夜の夜空を、心穏やかにヒナギクは見上げるのだった。
End
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素敵です。
はじめまして、ソラと申します。
実は今までも何度かこちらにお邪魔して、ちょくちょく小説を読んでおりました(^0_0^)
いつも文章力の素晴らしさに感服しています。
今回の小説を読ませていただきましたが、とても良かったです。
ヒナギクとアイカの会話が微笑ましいですね。
アイカちゃんいい子すぎるv
あと、ツケをりしつけてかえせや~など、会話も面白いです(^^)
クリスマスに家族と一緒に過ごすことが一番幸せなプレゼントというのが素敵だなと思いました。
今後も小説楽しみにしています(^_^)
実は今までも何度かこちらにお邪魔して、ちょくちょく小説を読んでおりました(^0_0^)
いつも文章力の素晴らしさに感服しています。
今回の小説を読ませていただきましたが、とても良かったです。
ヒナギクとアイカの会話が微笑ましいですね。
アイカちゃんいい子すぎるv
あと、ツケをりしつけてかえせや~など、会話も面白いです(^^)
クリスマスに家族と一緒に過ごすことが一番幸せなプレゼントというのが素敵だなと思いました。
今後も小説楽しみにしています(^_^)
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