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関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。 過度な期待はしないでください。
Top ハヤヒナSS あやさきけ イラスト 日記
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どうも関ヶ原です。
今回は予定通り、フォレストの方でリクエストのあった小説をアップしようと思います。
あやさきけでイブの話、ということでしたが、これはイブの話になっていないんじゃね? と思ったのは内緒の話。
書くことに意義があるんだ! きっと!

というわけで、こんな拙文ですがUPしたいと思います。

ところで皆さん、サンタさんはいつごろまで信じていましたか?
私は小学生の早い時期からサンタの存在を信じていなかったような気がします。

独り身ですので今年のクリスマスはバイトの方々と過ごすことになりそうです。
悲しいことに自分へのプレゼントとして買ったヒナギクのねんどろいど、届くのは来年になるそうでかなり気分がブルーです(笑)


まぁ無駄話もここまでにして、それでは短い文章ですがどうぞ~ ノシ


前回の返信


>ベディアンさん
今週のハヤテを思い出して、ヒナのねんどろいどのショックを和らげたいです(笑)


拍手[4回]

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どうも皆様こんばんわ。
最近風邪が治り掛けの関ヶ原です。

今回は、サイトでお世話になっている方の誕生日ssです。
あやさきけを希望されたのであやさきけで。

ただ今回のあやさきけはいつもと違います。

その理由はタイトル。

そう、満を持して、彼女がいよいよ登場です。

予定よりずいぶん早く登場しましたが、書いていてかなり話が作りやすいキャラクターだと実感しました。

これからはハヤテssでも使っていきたいと思います。

毎度のことながら拙文ですが、読んでいただけると幸いです。

では話が長くなるといけませんので、コメント返信後に本編の方を。



前回の返信

>ちぃさん
はじめまして! 嬉しいコメントありがとうございます!
私の自己満足の拙文ですが、良かったらこれからも見てあげてください!


>ベディアンさん
私もこんなハイペースでテンションおかしくなって風邪を引きました(笑) できれば次回もこんなペースでガンガン書いていきたいです。

>KOUさん
お久しぶりです! しばらく顔を見せられないので心配しました。元気そうで何よりw 
11/11……ハヤテの誕生日だったぁぁぁ! 母親の誕生日が一緒なので、そっちばかりに気をとられてましたw まぁハヤテの誕生日は、ヒナギクが自身にリボンを巻いてげふんげふん。


>イクサさん
ありがとうございます……><
いろいろと停滞してますが、これからも頑張って書いていきたいと思います!





では本編をどうぞ~ ノシ










「お姉ちゃん、誰……?」

 私が扉を開けると、目の前には凄く綺麗な人がいた。

「こんにちは。お父さんはいるかしら?」
「パパ?」

 その人にパパのことを聞かれて、改めてその人をまじまじと見る。


 ナギ姉ちゃんに負けず劣らずな位美しい金髪に、すらっとした体躯、そしてママよりも圧倒的にある胸の質量。

 はっきり言って、ないすばでぃ、というやつだった。

「えーと……パパに何か用……ですか?」

 思わず見とれてしまいそうな位綺麗なその人に尋ねると、その女の人は、まるで。


「ええ。お父さんに『女神が来た』って言えば分かるはずだから」



 まるで。
 言葉のごとく――女神のような笑みを浮かべて、その人は言った。






『女神、襲来。』



「パ、パパ!」
「おおっと」

 大慌てでリビングに飛び込んできたアイカに、くつろいでいた僕とヒナギクは少し驚く。

「ど、どうしたのアイカ……? そんな慌てて」
「そ、それが……」

 ヒナギクが心配そうにアイカに聞くが、アイカの息はまだ整っていない。

「はい、取り敢えずこれ飲んで」
「あ、ありがと……」

 手元にあった水をアイカに手渡すと、もの凄い勢いでそれを飲み干し、ようやく一息つけたようだ。

「それで? どうしたのアイカ」

 改めて僕がアイカに聞くと、

「そ、そう! なんかすっごく綺麗な人がパパ呼んできてって!」
「凄く……綺麗な人?」

 『綺麗な人』にヒナギクが僕を凄い目で睨んでくる。

「何ハヤテ……『また』誰か助けたの……?」
「こ、今回はそんなことないと思うけど……」

 残念ながら、そんな記憶はない。
 というか、ヒナギクの嫉妬が怖いからそんなこと出来ないし。

「ごめん、僕にも検討がつかないよ」

 というわけで皆目検討もつかない僕だったが。

「何かその人のことが分かるようなことないかな?」
「分かるようなこと……あ」
「何かあるの?」

 僕だったが。

「そうそう。『女神が来た』って伝えてくれって言われたんだけど」

 アイカの言葉を聞き終えるまでもなく、僕は玄関へ駆け出していた。





「アーたん!?」

 久しぶりに見る彼女は、玄関で手持ち沙汰な様子で、まっすぐ立っていた。

「あ。久しぶり、ハヤテ」
「久しぶり……」

 驚きの中で彼女に微笑まれ、思わず僕も笑みが浮かぶ。

「来ちゃった♪」


 天王洲アテネ。
 この世で最も偉大な女神の名前。
 それが彼女の名前。

「来ちゃったって……どうして急に?」
「まぁ良いじゃない。それともハヤテは嬉しくないのかしら?」
「いや嬉しいけど、いきなりで驚いちゃって……。取り敢えず上がってよ」
「ええ。お邪魔するわ」



「て、天王洲さん!?」
「久しぶり桂さん。いえ……今は綾崎さん、かしら」
「ひ、久しぶり……」

 リビングに現れた彼女を見て、ヒナギクもかなり驚いたようだ。
 そりゃそうだよなぁ……なんてったってアーたんがいきなり現れたんだから。

「ねーねーパパ。この綺麗な人、誰?」

 そんな中一人事情が分からないアイカだけが、不満顔で僕の袖を引っ張ってきた。
 なんだかのけ者にされたようで嫌だったんだろう。

「あーごめんアイカ。今紹介するよ。彼女は……」
「あら、さっきの可愛いお嬢さん。やっぱりハヤテたちのお子さんだったのね」

 僕の言葉を遮って、アーたんがアイカの手をとった。

「こんにちはお嬢さん。私の名前は天王洲アテネ。この世で最も偉大な女神の名前よ」
「アテネ……お姉さん?」
「あら、アテネ、で良いわよ?」

 アーたんに微笑まれ、アイカの顔が赤くなる。
 それよりもアーたん……その歳になってもその自己紹介なんだね……。
 実年齢よりずっと若く見えるからまぁ、アリなんだろうけど。

「不愉快なことを考えてたわね、ハヤテ」
「おわっ」

 そんなことを思っていると、いつの間にか眼前にアーたんの傘の先端が来ていた。

「何? デリカシーのなさは相変わらずということ?」
「え? あ、あははー嫌だな……そんなことないって」
「そんなことあるでしょう」

 ヒナギク、なんてことを言うんだい。

「あの……」
「ん?」

 二人の美女からジト目で見られたじろいでいたところに、救いの手が差し伸べられる。

「あの……アテネお姉さんは、パパとはどういった関係……なんでしょうか?」

 あのアイカが恐縮している……。
 なんとも珍しい光景を見た。
 質問を受けたアーたんは、僕に向けていたものとは思えないくらい優しい目をアイカに向けて、一言。

「元カノよ」
「ふぇ!?」

 率直過ぎる答えを言った。


「も、もももももも元カノ!? パパの!?」
「えぇ。加えるなら、アイカちゃんのパパのファーストキスを奪ったのも私よ♪」
「ファーストキス!?」
「え!? ヒナギクも驚くところなの!?」

 アイカだけでなく、ヒナギクも僕とアーたんを交互に見ながらわたわたとしていた。

「ちょ、ちょっとパパ!? 一体どういうこと!?」

 アイカがもの凄い剣幕で僕に詰め寄ってきた。
 おぉ……これは、怖いぞ……。

「い、いやどういうことって……昔のことだし」
「昔!? じゃ、じゃあ事実ってこと……!?」

 余りの形相だったので素直に答えたわけだが、逆効果だったようだ。
 額に手を当てながら、ふらふらとソファに座り込んだ。

「な、なんてこと……! ママならいざ知らず、こんな綺麗な人まで……」
「あらありがとう」

 そんなアイカとは対照的に、アーたんは上機嫌のようだった。
 アイカの頭に手を乗せて優しく撫でた、その後に。

「ちなみに高校時代もハヤテとキスしたのよ」
「ふにゃぁぁああ!?」
「はぁぁぁぁ!?」
「ちょ、ちょっとアーたん!? その情報は必要ないんじゃない!?」

 アーたんの爆弾発言に、女性から悲鳴が上がった。
 僕も心の中で絶叫が上がったよ!
 なんてこと言い出すんだ!

「あら、大事なことじゃない。原作の重大パートよ?」
「ワケのわからないこと言わないで!」
「ひ、否定していない……」
「ハヤテ……あなた」
「あ、アイカ……? ヒナギク……?」

 ヒナギクとアイカはもう泣きそうだった。
 ヒナギクなんか、もう目に涙が浮かんでいる。
 泣きたいのはこっちなのに。

「あ、アーたん! どうにかしてよ!」
「あら、やっぱりここはハヤテの仕事でしょう。夫の、父親の、ハヤテが」
「うっ……」

 アーたんに助けを求めれば、有無を言わせぬ意味深な笑顔しか返ってこない。
 そもそもアーたんが余計なことを言わなければ、この現状は生まれなかったはずなんだけど。

「あー、えーと、ヒナギク? アイカ?」
「なによぉ……」

 弱弱しい目を向けられて、胸が痛む。
 過去のこと、しかも僕とアーたんの問題を解決した大事な思い出ではあるけれど、今は家族に不安を与えるものである。
 僕の中でその思い出はとても美しく、切ないものだったはずなのだけど……。

「…………」
「ん? 何かしらハヤテ?」

 横目で眺める彼女は澄まし顔で、でもどこか楽しそうにも見えた。
 その表情が何を思っているのか、僕には分からないけれど。

「いや、なんでもない」

 僕にやれ、というのだから、きっと僕がやらなければならないことなのだろう。
 もしかしたら、ヒナギクたちにこのことを知らせるのが彼女の目的だったのかもしれない。
 どんなに僕が綺麗だと思っている思い出でも、ヒナギクたちにとってそれは、気分の良いものではないもののはずだから。

「アイカ、ヒナギク」

 それが彼女の伝えたい、僕にやらせたいことなのなら。
 再び最愛の家族に視線を戻す。
 二人の瞳は、まだ不安に揺れている。
 二人の不安を取り除くことが、僕に求められる最低限の、最高の結果のはずだから。


「僕が愛しているのは、二人だから」


 だから、二人の目を見てはっきりと伝えた。
 嘘偽りの一切ない、正直な気持ちを。

「……本当? パパ……」
「うん、本当だよ」
「嘘……だったら殺すわよ?」
「嘘じゃないから殺せないよ」

 物騒だぞマイワイフ。

「とにかく昔の話だから……」
「……それなら」
「良かったぁ」

 ヒナギクとアイカが大きなため息をつく。
 その様子を見る限りどうやら最高の結果を残せたようで、僕も心底ほっとした。
 僕ら三人の様子を見て、アーたんが楽しそうに笑っていた。

「ふふ……ちゃんと父親出来てるのね、ハヤテ」
「もぅ……誰のせいだと思ってるんだよ」
「自分のせいでしょ?」
「アーたんのせいである部分が大きいと思います!」
「あらそうだったかしら?」

 けらけらとアーたんは笑って、「でも」と言葉を続けた。

「でもこれで、些末事ではあるけれど……隠し事はなくなったんじゃない?」
「……アーたん、やっぱり……」

 どうやら、僕の思っていた通りだったようだ。
 自分との過去が、僕たち家族にとって不安の種であると、アーたんは感じていたのだ。
 だからこうやって、いきなり我が家にやってきて、カミングアウトして……。

 自己犠牲、と言って良いのか分からないが、ずっと僕のことを心配してくれる彼女に胸が熱くなる。
 彼女に出会えて、本当に良かったと、心から思う。

「……ありがとう、アーたん」

 色々伝えたいこともあったけど、その言葉しか言えなかった。
 本当、彼女には頭が下がるばかりだ。

「私は何もしてないわ。ハヤテが一人で解決したのよ」
「うん。でも、お礼を言いたかったんだ」
「……そう」


 本当にありがとう、アーたん。
 改めて心の中で、頭を下げた。
 感謝の気持ちで一杯で、溢れそうだった。

 だから。

「――あ、そうそうハヤテ」
「え?」


 だから。


「一つ言わなくてはならないことがあったのだけど」
「うん、何?」



 ――だから、出来れば次の言葉は聞きたくなかったよ、アーたん。


「あなたとの過去をあなたの家族にばらしたのはね、ばらしたら面白いかなーって思ったのが大半の理由なのよ」
「それは今すぐ僕に謝るべきだよアーたん!」



 本当、よく彼女と付き合っていたものだ。
 当時の自分に拍手を送りたくなった。





 …




「今日は楽しかったわ♪」
「僕は疲れたよ……」
「私も……」
「出来れば今回みたいなことは、もうしないようにお願いしたいわね……」

 夕方。
 僕たち三人は玄関で、アーたんの見送りをしていた。
 あの後何だかんだで一緒に夕食を食べて、食べ終えて間もないうちに「そろそろお暇するわ」とアーたんが言ったのだ。

「それと、次来る時は事前に連絡してほしいな。今回はなんのもてなしも出来なかったから」
「そうよ。こちらとしてはもう少しちゃんとしたもの食べてもらいたかったんだから」

 ヒナギクがため息をつきながら僕の言葉に便乗してくる。
 どうやら今回の一件で、ヒナギクの中のアーたん像が崩れ去ったようだ。

「ふふ……。そういうことなら、次来る時はちゃんと連絡するようにするわね」
「そうしてね」
「そういえば……」

 ふと気づいたように、アイカが口を開く。

「どうしてアテネ姉ちゃんは、今日私の家に来たの?」

 どうやらアイカもアーたんのイメージが大幅修正されたようだった。

「どうしてってそれはアイカ、僕たちの……」
「でもそれ、今日じゃなくても良かったよね? 私なんかは今日、アテネ姉ちゃんと初対面だったわけだし」
「え?」

 アイカの言葉に、返答に困る。
 そう言われてみればそうなのだろうけど、でも僕たちのことを思ってアーたんは来てくれたのだ。

 だが、やはり彼女は一味も二味も違った。

 僕が悩んでいる返答を、アーたんは何も迷うことなく、こう答えた。



「原作の出番が余りにもないから、思わず来ちゃったのよ」
『…………へ?』
「それじゃあね。お邪魔しました♪」




 僕たちが反応する前に彼女はそういい残し、軽やかに去って行った。
 まるで何事もなかったかのように、あっさりと。


「……本当、大した女神様だよ」
「本当ね」
「……凄い」


 自分の家なのに置いてけぼりを食らったような気持ちになって、僕たち家族三人は顔を見合わせながら、苦笑を浮かべたのだった。



 全く本当。
 気まぐれな女神には困ったものだな、と。

 それでも悪い気が全然しないのはやはり彼女が女神だからなのかな。


 そんな馬鹿らしいことを考えながら、僕は玄関扉を閉めたのだった。






End

拍手[5回]

どうも皆様こんばんわ、関ヶ原です。
前々から言っていたハロウィンのss、出来たのでうpします。
つーか我ながらずいぶん早い更新になりました。

その分内容が紙、ということなのか……?

どうせ紙ならB5サイズがいい。
使いやすいから。

そんな戯言は置いておいて、今回の作品も短くなってしまいました。
一年ほど前に書いたハロウィンssとはエライ違いです。

短いから出来たの早かったのか……。

ま、まぁいいでしょう。
細かいことを気にしては駄目な気がする。
量より質も大事!

量も質もないかもしれないけれど!


でも心の広い皆様なら分かってくれる……よね?

分かってくれますよね?

ごめんなさい許してください悪気なんてなかったんです。
次回から頑張ります、多分。


さてお話も長くなりましたし、前回の返信をさせていただいてから本編といきましょう。


前回の返信

>ベディアンさん

気遣いのコメントありがとうございます。健康だけが取り得なので頑張ります。
年を重ねることに大きくなり、少しずつ変わっていくアイカ嬢ですが、根本はやっぱりアイカなのです。
そんなアイカが大好きなんだと思います、ハヤヒナ夫婦は。






さて、それでは本編をどうぞ ノシ








『あやさきさん家のハロウィン』





「そういえば今日ってハロウィンなんだよねー」

 夕食の席についたアイカが、ふと思い出したようにそんなことを言い出したのは、十月も最後の日となった十月三十一日。
 いわゆるトリックオアトリート、ハロウィンだ。

「うん、そうだね」
「だから一応、今日の夕飯にはカボチャとか使ってるんだけど」

 アイカの言葉に私もハヤテもうなずく。

「というか結構ハロウィンに関係のあるもの置いてたりしてたんだけど……気づかなかった?」
「え? そうなの?」
「そうよ。玄関とかにあったじゃない」
「ちょっと見てくる」

 私たちの言葉を受けて、アイカが席を立った。


 去年のハロウィンはハヤテが一人で頑張ってちょっとしたパーティ会場を用意してくれたので、今年はあまり無理をせずにハロウィンっぽいことをしよう、というのが私たちの間での決定だった。
 だから身近なところで、仄かにハロウィンを感じられるようにしていたのだ。

 玄関に小さなカボチャの置物を置いたり、夕飯にカボチャを多く使ったり。

「本当だね。全然気づかなかったよ」

 玄関を見てきたアイカも、ハロウィングッズに気づいたようだ。

「結構分かりやすいと思うんだけど……」
「あはは」
「……なんで気づかなかったのかな?」

 アイカは今まで気づかなかったようだけれど、このリビングの所々にも、自己主張の弱いハロウィンらしきものがある。
 小さなカボチャとか、カボチャを象ったランプとか、電話機の近くにあるメモ用紙がカボチャだったりとか。

「……というかカボチャばっかりだね」
「そこは突っ込まない」

 それなりの数があったが、その全てがカボチャだった。

「なんで?」

 不思議がるアイカに見つめられ、若干たじろぐ私。

 し、仕方ないじゃない。
 私とハヤテの中では、ハロウィン=カボチャだったんだから!

「やっぱりカボチャが一番ハロウィンらしいな、と思ったんだよ」

 返す言葉に困っている私に、ハヤテが助け舟を出してくれた。
 
「ふーん……。でも、そうだね。私もハロウィンといったらカボチャのイメージが強いもん」

 アイカの思考回路も大体私たちと一緒らしい。
 流石は私たちの娘。

「でも今回は仮装とかしないの?」
「え?」
「去年は確か、カボチャとかくり貫いたり色々したよね、パパ」

 その娘が言っているのは、去年のハヤテが頑張ったハロウィンのことだろう。
 冒頭辺りでも言ったとおり、今年のハロウィンはそこまで力を入れないという方針なので、アイカに返す言葉もそれである。

「そうだね。だから今年のハロウィンは力を入れずに……っていうのは変なんだけど、こんな感じにしようってヒナギクと決めたんだよ」
「そうなの?」
「えぇ」
「そうなんだぁ……」
「そうなんだよ」

 ほほーと頷くアイカを少し可笑しく思いながら、私とハヤテは顔を見合わせて微笑む。
 去年のようなハロウィンじゃないことをアイカはどう思うのか、と思っていたのだけど、見た感じでは嫌ではなさそうだ。

 アイカの思考回路も、私たち夫婦と大体一緒、ということはさっき私が感じたこと。

「それにね、アイカ」

 だったら、きっと私が感じていることもアイカはわかってくれるはず。



「こっちの方が私たちらしくっていいでしょ?」


 派手ではないけれど。
 イベントというには静か過ぎるかも知れないけれど、家族で一つの何かを感じたり、祝ったりすることが出来る。
 クリスマスに家族皆でケーキを食べてメリークリスマスと言ったり、お正月にはお餅を食べながら新年の特番を見たり。

 そんな感じが、私たちらしいと思ったから、今回のハロウィンを提案したのだ。

 去年のハヤテの頑張りを否定するみたいでハヤテに言うのはとても憚られたのだけど、

『うん、僕もそっちの方が僕たちらしいと思う』

 そう言ってくれた。
 嬉しくてキスしちゃったわよ、思わず。

 これが、私たち夫婦の一存で決まったハロウィンの方針なのだった。

「アイカは去年とどっちが好きなのかしら?」
「私、は」

 少し前のハヤテとのやり取りを思い出しながら、アイカの返事を待つ。
 思案顔をしながら、眼前の夕飯を見て、周りを見回して、そして私たちの顔を交互に見たアイカは。


「……私もこっちの方が良いかな」


 そう言ったのだった。

「なんかこっちの方が落ち着くんだもん」
「そっか」

 アイカの言葉に私たちは笑った。
 アイカが私たちと同じ事を思ってくれたのが、嬉しかった。

「じゃあ夕飯の続きだね」
「そうね」
「うん!」

 家族の総意も決まったところで、私たちは再び夕飯を食べ始めた。

「……カボチャのスープちょっと冷めちゃったね」
「暖めなおす?」
「ううん、十分美味しいからいい」
「……そう」

 外国でやっているような賑やかなものではない、私たちのハロウィン。
 トリックオアトリートであげるようなお菓子もなければ、カボチャの切り抜きもないけれど。

「……本当だ、美味しい」


 家族で楽しむ位には十分すぎた事が嬉しくて、私は一人、小さく笑ったのだった。



 カボチャのスープは冷めていたけれど、身体が温まったのはきっと、家族のお陰だろう。







 …





「トリックオアトリート、ヒナ! お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞー!」
「トリックオアトリート、ヒナちゃん! お菓子をくれなきゃ悪戯するよー!」
「トリックオアトリート! お金貸してヒナ!」
「帰りなさい。特に最後」


 その後、突然仮装姿で玄関に現れた友人と姉に言い放った言葉がとても冷ややかなものだったのは、言うまでもない。




End

拍手[2回]

どうも皆様こんばんわ、関ヶ原です。
十月も終わり、十一月になりました。
巷では風邪がはやっているようですが、皆様は大丈夫ですか?

私は大丈夫です。
荒ぶるマスクの中を、飄々としています。

さて、思っていたよりもずいぶんと長引いてしまった今回は、あやさきけ。

待っていた方はお待ちかね、久方ぶりのアイカ嬢の登場です。
久しぶりにアイカを使ったので、キャラを思い出すのに苦労したのは秘密。

アイカもだんだんと大きくなって、少しずつ大人になっていってます。
そんな感じのお話を書いたつもりです。

相変わらず乱文拙文なのですが……それでも読んでいただけると嬉しく思います。

さて今月なのですが、就職活動に向けての大学での活動が本格化する時期でもあります。

所属するゼミや、資格試験等、忙しさが何時も以上に増すと思います。

なので今月は(も……?)日記中心の更新になると思われます。
こちらの都合で申し訳ございません。
ただ日記等のコメントには、その日のコメント欄もしくは次回の日記にて返信したいと思いますので、良かったら飽きずに見てやってください。


前回の返信

>セイバーさん

そうですね、気づきませんでしたw
毎回日記のタイトルは適当に考えてるので被ること多いんですよね(笑
気をつけます。ハロウィン話、何とか書きたいところです。ヒナ魔も全然書けてないですし、時間の使い方が上手くなくて申し訳ないです。






↑こんな感じで返信のほうを行いたいと思います。
それでは長くなりましたが、本編の方に移りたいと思います。
長くはないですすいません。


ではどうぞ~ ノシ





『秋』



 十月も下旬。
 例年よりも低い気温のためか、冬と秋が同時に訪れたかのような日が続いている。

「うひゃー、寒いねパパ」
「そうだね」

 秋物ではなく、冬物の上着に袖を通した僕とアイカは現在、ヒナギクに頼まれた買い物を終えての帰り道だ。
 顔に当たる風は冷たく、氷をぶつけられたかのように痛い。本当、十一月にもなっていないのに冬道を歩いている気分である。

「今年は冷え込むなぁ……」
「なんか、カメムシがたくさん出たから今年は凄く寒いってニュースで言ってたよ」
「へぇ、そうなんだ」

 少し立ち止まって、傍らの街路樹に目をやる。
 見てみれば、木々の枝にはまだ葉がついている。
 というか、葉はまだ赤々としていた。

 言うところの紅葉、というやつだ。

「この寒さで季節的には秋って言うんだから、冬はどれくらい寒くなるのかな」
「……想像もつかないね」

 この紅葉を見ると、季節はまだ秋なのだと実感する。いや、『ようやく秋になった』と思わされるのだから、何とも不思議な気持ちだった。
 九月が過ぎ、十月に入っても中々『秋』というものを実感できずにいたのだ。寒さの影響もあるのか分からないけれど、一ヶ月ほど前にこの街路樹を見たときは、ここまで紅葉が進んでいなかったように思う。

「寒いのは嫌だよぅ」
「冬生まれが何を言うか」

 寒さにコートの襟を寄せるアイカに苦笑しつつ、同じように僕も襟を寄せる。
 寒い。とにかく、寒い。
 秋がここまで寒い年も珍しいのではないかと思うくらい。

「パパだって冬生まれじゃん」
「あはは、そうだったね」

 アイカが生まれて、もう九度目の秋。
 一、二年前までは、例え真冬だろうが関係なしに外で遊んでいたアイカが『寒さが苦手』と呟くのを聞くと、それ程年月が経ったんだなぁ、と感じずにはいられない。
 そう思ったから、僕はアイカに言う。

「でも去年のアイカなら、この寒さでも元気に外で遊んでいたけどなぁ」
「へ? そうだっけ?」
「うん。上着も大して着込まないで走り回っていたよ」
「んー、良く覚えてない」
「そっか」

 もしかしたら、本人は自覚していないだけで、こういう小さな変化は、子供を何時も見ている親だからこそ分かるものなのかもしれない。
 子供に関心を持っているからこそ分かる、僅かな子供の成長なのかもしれない。
 そう思うと、こんな自分でもそれなりにこの子の親をやっていけているのだと思える。

「どうしたのパパ? ニヤニヤして」
「えっ」

 アイカの怪訝そうな声にハッとする。
 僕譲りの空色の目が、不思議そうにこちらを見ていた。

「何か面白いものでもあったの?」
「い、いや全然」
「? そう?」

 嬉しくなって少し気が緩んでいたようだ。
 誤魔化すようにわざとらしい咳をして、

「それよりアイカ。寒いから早く帰ろうか」
「ん。そだね」

 どうやら誤魔化すことには成功したようだ。
 いや、そもそも大した関心がなかっただけかもしれないけど。

「ほらアイカ」

 そんなアイカに、僕は手を差し出した。
 もっと早くこうするべきだったな、と思いながら。

「寒いからね」
「……ありがと、パパ」

 差し出された手を、ぎゅっとアイカは握った。
 冷気ですっかり冷たくなった掌に、小さな熱を感じる。

 僕の手をしっかりと握りながら、アイカは言った。

「帰ったら一緒にお風呂入ろう!」
「…………そういう所は変わってほしい、かな」
「えー」
「えーじゃないよ」

 変わるところもあれば、変わらないところもある、か。

 不満げに口を尖らせるアイカに苦笑しながらも、紅葉に染まった並木道を僕たちは再び歩きはじめた。


 十一月も眼前に迫った、十月の下旬。
 紅葉も終わっていない頃。
 小さな秋ならぬ小さな娘の変化を見つけた、とある帰り道のことだった。


End

拍手[3回]

どうもこんばんわ、関ヶ原です。
新作です。
どうしようもないくらい酷いものが完成しました。

ヤマがあるわけでもなく、オチがあるわけでもない。

甘くもなければ、苦くもない。

本当、日記のような作品が出来上がりました。

無心で書き上げた結果がこれだよ!

ぶっちゃけUPしていいものかと激しく迷ったんですが、折角書いたので上げます。

思い入れがあって書き上げたものではありませんので、食べ物の種類別名称を見るみたいな感覚でお読みください。

つまり、今まで以上にかるーく読んでください。

ぶっちゃけた話、私の体験談を元ネタに、ハヤヒナ夫婦のやり取りをプラスしただけの話なので。
歯医者でのやりとりが体験談、ハヤヒナ夫婦の会話が私の妄想、というわけでございます。

まぁその点、甘くなく、本当に普通の夫婦のようなハヤヒナが書けたのは新鮮な感じがします。

次回こそ……甘い内容を書きたいなぁ。

ではどうぞー☆







「ん?」

 変哲もない朝。
 何時も通りに起きて、ヒナギクの美味しい朝食を腹に納めて、エチケットとして歯を磨いていた時のことだ。

「なんだこれ?」

 右の奥歯の更に奥――本来ならば存在しないところに、違和感を覚えた。
 気持ちが悪くて、ブラシをその部位に当てる。

 ――ゴシッ

 すると、確かにブラシは己の仕事をするべくして、その部分を『磨いた』。

「あちゃー……」

 もしかして、と思っていたが、どうやらそうらしい。
 ブラシを洗って、口を漱いだ後、苦笑交じりに僕は言った。

「親知らず、生えちゃったか」





『親不知』


 歯磨きを終えた僕は、その事をヒナギクに伝えた。
 
「え? 親知らず?」

 キッチンで皿を洗っていたヒナギクがその手を一旦止めて、僕を見る。

「生えたの?」
「うん、そうみたい」
「ちょっと見せて」

 ヒナギクは布巾で水のついた手を拭うと、「ほら口開けて」と言ってきた。

「どこ?」
「右上の奥」

 あー、と大きく開けた口の中をヒナギクが見る。
 妻とはいえ、口の中をまじまじと見られるのは中々恥ずかしい。

「あー……確かに生えてるわね。痛む?」
「いや全然」

 親知らずを細い指で突かれながら(くすぐったい)、僕は答える。
 ちょっと口の中に違和感を感じる位で、痛みといったものは今のところない。

「そう……」
「どうしようか。抜いたほうが良いんだっけ? 親知らずって」
「そうねぇ……生えない人には生えないって言うけれど、ハヤテは生えてるわけだしね……」

 その話は聞いたことがある。
 親知らずは人によっては一生生えない場合もあるが、生えた場合、虫歯や炎症の原因となる。
 親知らずと奥歯の間に出来た小さな溝に粕が溜まり、その小さな溝には歯ブラシでも磨くことは難しい。
 取り除かれなかった溝の粕の部分から虫歯や炎症が起こるとも言われているそうだ。

「そうだね。このまま放置、っていうわけにもいかないから、抜こうか」
「そうしましょうか」

 僕自身一応口内にも気を使って歯磨きをマメにしてはいたが、こればかりは仕方ない。
 親知らずを抜く意思をヒナギクに伝えると、

「じゃあ歯医者に電話ね。予約って出来たかしら……ハヤテ、あまり親知らず弄らないようにね」

 そう言って電話帳を調べ始めた。

「弄らないでって……子供じゃないんだから」

 子供に言いつけをするみたいに言われて思わず苦笑するが、自分のために動いてくれるヒナギクを見るのは、嬉しかった。



 …



「綾崎ハヤテさーん」
「はい」

 数時間後。
 僕は近くの歯医者にきていた。
 ヒナギクが電話で予約をしてくれたらしいが、当日に見てもらえるのは幸いだ。
 歯医者は以外にも診療を受ける人が多くて、予約をするにも一ヶ月後、ということもある。

 勧められた椅子に腰掛け、先生に大まかな事情を説明する。
 事情を大体に伝えると、

「分かりました。それでは口の中を見せてもらえますか?」
「はい」
「椅子倒しますねー」

 腰掛けていた椅子の背もたれが下がり、眼前をライトが照らす。

「じゃあ口を開けてください」
「はい」
「痛かったら左手を挙げてくださいね」

 言われるままに口を開き、先生が親知らずの辺りを突いたりする。
 痛みはないが、くすぐったい。
 それに、やはり口内を他人に見られるというのは恥ずかしい。

「はい、口を閉じてください」

 一分ほど経って、口内を見終えた先生が話しかけてくる。

「確かに親知らずが生えてますね。今のところは炎症などは見られませんが」
「そうですか……やっぱり抜いたほうが良いですかね?」

 炎症などは見られない、ということに安心しつつ、僕は尋ねた。
 今のところは、ということはこの先炎症を起こすかもしれないということだろう。

「そうですね。このまま伸びてしまっても『噛み合う』歯がありませんので、抜いても良いかもしれません」
「じゃあお願いします」

 経過を見ながら抜くよりも、今のうちに抜けるのなら抜いてしまいたい。

「わかりました。それでは麻酔を打つための薬を塗りますので」
「はい」



 そんなわけで、親知らずは抜かれることになったのだった。





 …





 結論から言おう。
 親知らずは抜かれた。

「お疲れ様でした。明日消毒しますので、明日も来てくださいね」
「はい。ありがとうございました」

 受付のお姉さんに笑顔で見送られながら、僕は右頬をさすった。

「うーん……気持ち悪さが倍増したな」

 あの後麻酔を打って、ぐっぐと歯を引き抜かれたわけなのだが、親知らずとはいえ今まで歯があった場所に歯がないというのは落ち着かない。
 抜かれた部分に挟まれた止血用ガーゼの存在も、かなり際立っている。

「あ、おかえり」
「ただいま」

 なるべくそのガーゼを動かさないよう家に帰ると、ヒナギクが駆け寄ってきた。
 歯は閉じたまま唇を動かすので何とも話しづらいことだ。

「その様子じゃ抜いてきたのね」
「うん。とりあえずあまりガツガツご飯食べるなだって」
「そりゃそうね」

 これが抗生物質と痛み止め、と渡された薬をヒナギクに差し出す。

「朝昼晩の食後に一錠ずつ、ね。分かったわ」

 忘れないようにしなくちゃ、とそれらをキッチンの引き出しにしまって、

「じゃあ今日のご飯は簡単に食べれるものにしましょうか」
「お願いします」
「ふふっ。了解」

 じゃあ取り敢えず昼食準備するわね、と冷蔵庫を調べ始めた。

「手伝おうか?」
「大丈夫よ。それよりハヤテは少し休んだほうがいいわよ? そろそろ麻酔が切れ始めるから」

 そういえば、麻酔が切れたら少し痛むかもしれないと言っていたな。
 ヒナギクの言うとおり、仮に痛みが来たとしても寝ていれば感じる痛みも小さいかもしれない。

「そう? じゃあごめん、少し横にならせてもらうね」
「お大事に」

 そのヒナギクの優しい笑顔に見送られながら僕は寝室へ向かう。

「親知らず……か」

 向かう途中に、思う。
 手を沿える位置は、少し前まで親知らずがあった場所。
 気持ち悪くて抜いたというのに、抜いたことによって更に気持ち悪くなる。
 しかし。

「でもまぁ、ヒナギクに心配されるのは嬉しいし……」

 歯を抜いて、ヒナギクは色々と心配してくれるし、手厚くしてくれている。

「――まぁ、たまには良いのかもな、こういうのも」

 妻の優しさを何時も以上に感じての一言だった。

 我ながら馬鹿なことを考えていると思う。
 口内は気持ち悪さが残っているが、自分の考えも相当だ。
 しかし、それらも麻酔のせいで頭が鈍っているからだと言えば、言い訳にもなる。


「……痛みが来たら、ヒナギクにキスでもしてもらって和らげてもらおうかな」


 そんな、本当にどうしようもない事を考えながら、僕は寝室へと入っていったのだった。


 僕がヒナギクにキスしてもらったかどうかは、皆さんの想像にお任せすることにする。





End

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