忍者ブログ
関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。 過度な期待はしないでください。
Top ハヤヒナSS あやさきけ イラスト 日記
[11]  [10]  [9]  [8]  [7]  [6]  [5]  [4]  [3]  [2]  [1
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Prologue




 ――死んでもいいと思っていた。

 迫りくるトラック。
 それを眼前にしながら、僕の心境は、驚くほど穏やかであった。

『最後に幸せになるのは、働いている奴だ』

 十数年前のクリスマス・イブの、サンタ(今となってはあいつがサンタかどうかも怪しいが)から言われたこの言葉を信じ、今日まで我武者羅に働いてきた。
 休む間も惜しんで、一生懸命、働きもしない親と、生活のために。

 自転車便でリミットギリギリの書類を無事届け終え、その帰り道のことだった。

 ――ハンドル操作を誤ったトラックが、僕に突っ込んできたのは。

(……あ、僕、死んだな…)

 驚いた運転手の顔が目に映る。
 そりゃそうか、今にも人を撥ねようとしているのだから。
 でも、ごめんよ。

(……別にいいか)

 運転手はきっと、僕を撥ねたくないと思っているに違いない。
 それは、当然のことだと思うし、撥ねられたくないと思うのも当然だ。
 でも僕は、撥ねられてもいいと思ったんだ。
 自分のためではなく、働かない両親のために延々と働く毎日よりだったら、いっその事、撥ねられて一生を終えたほうがいい……そんな風に思ったから。
 どうせあの両親は僕に相当な保険金をかけているだろうし、僕が働かなくてもあの二人のこと、何とかしていくはずだろう。

(……って、何考えてるんだか)

 死に際になっても、ヒトデナシの両親のことを考える自分に苦笑する。
 ……ああ、自分は結局、人のための人生を歩んでいたんだなぁ、なんて。
 でも、ま、いいか。これで終わりなんだし。

 トラックが僕に迫るまで、えらく時間がかかっているように思えた。
 これが『走馬灯』というやつだろうか。

 そう思って僕は目を瞑る。
 これで、もう何もしなくていいんだ……。

 目を瞑り、目の前は真っ暗なはずなのに。



 ―――僕はこのとき、目の前が暖かく、明るい光に包まれた感じがしたんだ……。


 ドン、という衝撃の後、僕の意識はブラックアウトした。









to be continued

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カウンター
プロフィール
HN:
関ヶ原
HP:
自己紹介:
ハヤヒナ小説とかイラスト書いてます。
皆様の暇つぶし程度の文章が今後も書ければいいなぁ。

リンクをご希望の際は以下のバナーをご利用ください。

最新コメント
[01/31 真司]
[08/07 タマ]
[06/16 がじぇる]
[03/28 イクサ]
[12/25 真司]
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]