関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
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どうも深夜更新に定評のある関ヶ原です。
ようやく最後のお題が完成したのでUPしにきました。
今回はハヤヒナ攻めではなく、ナギ×一樹で。
前のサイトを御覧になってくれていた方にはわかりますが、ヒナギクと結婚したハヤテに変わり、ナギの執事になったのはハムスターブラザー、西沢一樹、というのが『あやさきけ』における設定なので、ご了承ください。ちなみに二人は恋人同士なんですよー♪
これらのことを踏まえた上でお読みください。ではどうぞ~♪
写真とは、思い出を形付けるものであると思う。
カメラのフレームの中に思い出を詰め込み、現像することでその思い出を永遠に残す。
いつかそれを見て、互いに懐かしみ笑いあえたらなんて素晴らしいのだろうか。
きっと私はそれが見たいから、シャッターを切るのだ。
『アルバムの中に』
それは、五月も下旬を迎える日のことだった。
「お」
やることもなく、DVDでも見ようか、と思った私がラックを漁っていると、一冊のアルバムが出てきた。
「これは……」
古ぼけたアルバムは、少し埃が被っていた。どうやら長い間放置されていたらしい。
「それは何ですか?お嬢様」
私がアルバムを手にしたままでいたところに、執事である一樹がやってきた。
一樹は私の背後から覗き込むような形で私の持つそれをみる。
「アルバム…ですか?」
「あぁ」
「誰の?」
「ここにあるということは…、私のなのだろうよ」
一樹にそう答えると、私はアルバムに手を掛け、ページを捲った。
私の、と答えてはみたものの、自信はなかった。
というよりも、私が一冊のアルバムが出来上がるほどに写真を撮っていたのかどうかすら怪しい。
最初のページを開くと、マリアの写真が出てきた。飼い猫のシラヌイを抱きながら、見事なカメラ目線。
「これは…マリアさんですね」
「あぁ、マリアだな」
「……物凄くいい顔してますよ、このマリアさん」
「思い出したよ、一樹。確かにこのアルバムは私のだ。この写真も私が撮った」
数年前の日付がされたこの写真には見覚えがある。カメラを手にした私がハヤテとともに撮った一枚だ。
「お嬢様が?……漫画やゲームの他にこんな趣味があったとは」
「別に趣味じゃないが…」
私の言葉に「へぇ…」と意外な顔をした一樹をジト目で睨む。別に趣味なんかではないが、漫画やゲーム以外に趣味がない、なんてことを思われるのは面白くない。
「何だ?私が写真を撮るのがそんなに以外か?」
「いや、そうではないですが…。それよりも、他の写真も見てみましょうよ」
「ふん。…まあいい」
私の声色が変わったことに焦ったのだろう、一樹は逃げるかのように話題を転換してきた。
それからの写真は、マリアの時と似たようなものばかりだった。
ワタルや咲夜、伊澄たちとの写真や、ハムスターたちを写したものが続いた。
それらの写真を見るたびに、私の心に懐かしさが広がる。
「うわぁ…、みんな小さい」
一樹も傍らで、私とは違う懐かしさを感じているようだった。もっとも、この頃は私と一樹は今のように一緒にはいなかったのだから仕方がなかったのだが。
「あ…」
「これは…」
アルバムのページが半分くらいに差し掛かったころだろうか、私と一樹の視線が、一枚の写真に止まった。
その写真は、屋敷の前で撮られたもの。私とハヤテとマリアの三人が並んでフレームに納まっていた。
「屋敷の前で、三人で撮ったものだ」
こうして見ると、なんというか…本当の家族のように思える、そんな一枚だった。
この写真を見ている私の表情はどうなっていたのだろうか、その写真と私を見た一樹が、ふと言葉を発す。
「こうして見ると、本当の家族みたいですね」
「え?」
思わず一樹の方を見ると、一樹は優しく微笑んでいた。
「この写真のお嬢様、本当に幸せそうですから」
そう言われて、再び写真に目を移す。
マリアとハヤテの間に挟まれた少女は、笑顔を満面に浮かべてピースサインをしていた。
「………確かに、幸せそうだ」
「はい、とっても」
私の言葉に一樹は頷き、言う。
「なんか、写真に嫉妬してしまいそうですよ」
「はは」
その言葉に思わず笑ってしまった。
「む。笑うことないじゃないですか」
「だってお前…写真に嫉妬って…」
「だってお嬢様が俺と写真撮ったことなんて、考えてみれば一度もなかったし…」
「そういえば…そうだったか?」
むっとした、というか拗ねた様子の一樹に言われ、私は「ふむ」と考えてみる。
そういえばこの後、私は何回カメラを触ったか。たぶん、数えるくらいしか写真を撮っていないだろう。
でなければこのアルバムの存在を忘れているはずがないのだから。
「なら、撮ろうか」
「へ?」
私の言葉に一樹はそんな間抜けた声を出した。
「撮るって…?」
「写真だよ。お前と一枚も撮ってないんだろ?」
「そ、そりゃそうですけど、カメラは?」
「そんな物いくらでも用意できるよ。何年私の執事をしてるんだ、お前は」
いきなり言われたからか、あたふたする一樹は見ていて面白い。
「とにかく!撮ろう、一樹。二人でな」
「は、はい!!」
私が一樹に笑いかけると、一樹も笑い返してくれた。
それがこそばゆく、しかし嬉しい。
「どこで撮りましょうか?」
「撮るのは一枚だけじゃないんだから、色々な場所で。それから一樹」
「はい?」
その気持ちを隠し、遠足に行く前の子供のようにはしゃぐ一樹に、私は一つ言っておく。
「執事服じゃなくて私服で撮るぞ」
「え?何でですか?」
「何でも!わかったら早く着替えてこい!!」
聞き返された質問には答えず、一樹は「わかりました!」と慌てて部屋を出て行った。
その後ろ姿を見送り終え、私は一つ息をついた。
「全く…。執事とお嬢様以前に、私たちは恋人同士なんだぞ」
誰もいない空間に、小さく呟かれた私の声が響く。
「だったら恋人らしい写真がほしいじゃないか」
ハヤテやマリアと撮った写真は仲の良い家族のような一枚だった。
だからこそ、一樹との写真は『仲の良い夫婦』みたいに写りたい。
「着替えてきました!!」
「よし!じゃあ行くぞ」
「はい!!」
「それから一樹」
傍らで笑う大好きな人と。
「はい?どうしましたか、お嬢様」
「私はお嬢様じゃなくて『ナギ』だ。何度言えばわかるんだよ。あと二人きりの時は敬語禁止」
幸せに溢れる夫婦のように。
「あ…。すいませ…ごめん。じゃあ行こうか、ナギ」
「……ふん」
でもそんな事、一樹には恥ずかしすぎて言えるわけがないのは重々承知しているから、と私は一樹に差し出された手を握りながら苦笑する。
「ちゃんと良い写真を撮ってやるからな」
「期待してるよ」
だからその言葉は閉まっておこうと思う。
二人の写真が納まる、このアルバムの中に。
End
ようやく最後のお題が完成したのでUPしにきました。
今回はハヤヒナ攻めではなく、ナギ×一樹で。
前のサイトを御覧になってくれていた方にはわかりますが、ヒナギクと結婚したハヤテに変わり、ナギの執事になったのはハムスターブラザー、西沢一樹、というのが『あやさきけ』における設定なので、ご了承ください。ちなみに二人は恋人同士なんですよー♪
これらのことを踏まえた上でお読みください。ではどうぞ~♪
写真とは、思い出を形付けるものであると思う。
カメラのフレームの中に思い出を詰め込み、現像することでその思い出を永遠に残す。
いつかそれを見て、互いに懐かしみ笑いあえたらなんて素晴らしいのだろうか。
きっと私はそれが見たいから、シャッターを切るのだ。
『アルバムの中に』
それは、五月も下旬を迎える日のことだった。
「お」
やることもなく、DVDでも見ようか、と思った私がラックを漁っていると、一冊のアルバムが出てきた。
「これは……」
古ぼけたアルバムは、少し埃が被っていた。どうやら長い間放置されていたらしい。
「それは何ですか?お嬢様」
私がアルバムを手にしたままでいたところに、執事である一樹がやってきた。
一樹は私の背後から覗き込むような形で私の持つそれをみる。
「アルバム…ですか?」
「あぁ」
「誰の?」
「ここにあるということは…、私のなのだろうよ」
一樹にそう答えると、私はアルバムに手を掛け、ページを捲った。
私の、と答えてはみたものの、自信はなかった。
というよりも、私が一冊のアルバムが出来上がるほどに写真を撮っていたのかどうかすら怪しい。
最初のページを開くと、マリアの写真が出てきた。飼い猫のシラヌイを抱きながら、見事なカメラ目線。
「これは…マリアさんですね」
「あぁ、マリアだな」
「……物凄くいい顔してますよ、このマリアさん」
「思い出したよ、一樹。確かにこのアルバムは私のだ。この写真も私が撮った」
数年前の日付がされたこの写真には見覚えがある。カメラを手にした私がハヤテとともに撮った一枚だ。
「お嬢様が?……漫画やゲームの他にこんな趣味があったとは」
「別に趣味じゃないが…」
私の言葉に「へぇ…」と意外な顔をした一樹をジト目で睨む。別に趣味なんかではないが、漫画やゲーム以外に趣味がない、なんてことを思われるのは面白くない。
「何だ?私が写真を撮るのがそんなに以外か?」
「いや、そうではないですが…。それよりも、他の写真も見てみましょうよ」
「ふん。…まあいい」
私の声色が変わったことに焦ったのだろう、一樹は逃げるかのように話題を転換してきた。
それからの写真は、マリアの時と似たようなものばかりだった。
ワタルや咲夜、伊澄たちとの写真や、ハムスターたちを写したものが続いた。
それらの写真を見るたびに、私の心に懐かしさが広がる。
「うわぁ…、みんな小さい」
一樹も傍らで、私とは違う懐かしさを感じているようだった。もっとも、この頃は私と一樹は今のように一緒にはいなかったのだから仕方がなかったのだが。
「あ…」
「これは…」
アルバムのページが半分くらいに差し掛かったころだろうか、私と一樹の視線が、一枚の写真に止まった。
その写真は、屋敷の前で撮られたもの。私とハヤテとマリアの三人が並んでフレームに納まっていた。
「屋敷の前で、三人で撮ったものだ」
こうして見ると、なんというか…本当の家族のように思える、そんな一枚だった。
この写真を見ている私の表情はどうなっていたのだろうか、その写真と私を見た一樹が、ふと言葉を発す。
「こうして見ると、本当の家族みたいですね」
「え?」
思わず一樹の方を見ると、一樹は優しく微笑んでいた。
「この写真のお嬢様、本当に幸せそうですから」
そう言われて、再び写真に目を移す。
マリアとハヤテの間に挟まれた少女は、笑顔を満面に浮かべてピースサインをしていた。
「………確かに、幸せそうだ」
「はい、とっても」
私の言葉に一樹は頷き、言う。
「なんか、写真に嫉妬してしまいそうですよ」
「はは」
その言葉に思わず笑ってしまった。
「む。笑うことないじゃないですか」
「だってお前…写真に嫉妬って…」
「だってお嬢様が俺と写真撮ったことなんて、考えてみれば一度もなかったし…」
「そういえば…そうだったか?」
むっとした、というか拗ねた様子の一樹に言われ、私は「ふむ」と考えてみる。
そういえばこの後、私は何回カメラを触ったか。たぶん、数えるくらいしか写真を撮っていないだろう。
でなければこのアルバムの存在を忘れているはずがないのだから。
「なら、撮ろうか」
「へ?」
私の言葉に一樹はそんな間抜けた声を出した。
「撮るって…?」
「写真だよ。お前と一枚も撮ってないんだろ?」
「そ、そりゃそうですけど、カメラは?」
「そんな物いくらでも用意できるよ。何年私の執事をしてるんだ、お前は」
いきなり言われたからか、あたふたする一樹は見ていて面白い。
「とにかく!撮ろう、一樹。二人でな」
「は、はい!!」
私が一樹に笑いかけると、一樹も笑い返してくれた。
それがこそばゆく、しかし嬉しい。
「どこで撮りましょうか?」
「撮るのは一枚だけじゃないんだから、色々な場所で。それから一樹」
「はい?」
その気持ちを隠し、遠足に行く前の子供のようにはしゃぐ一樹に、私は一つ言っておく。
「執事服じゃなくて私服で撮るぞ」
「え?何でですか?」
「何でも!わかったら早く着替えてこい!!」
聞き返された質問には答えず、一樹は「わかりました!」と慌てて部屋を出て行った。
その後ろ姿を見送り終え、私は一つ息をついた。
「全く…。執事とお嬢様以前に、私たちは恋人同士なんだぞ」
誰もいない空間に、小さく呟かれた私の声が響く。
「だったら恋人らしい写真がほしいじゃないか」
ハヤテやマリアと撮った写真は仲の良い家族のような一枚だった。
だからこそ、一樹との写真は『仲の良い夫婦』みたいに写りたい。
「着替えてきました!!」
「よし!じゃあ行くぞ」
「はい!!」
「それから一樹」
傍らで笑う大好きな人と。
「はい?どうしましたか、お嬢様」
「私はお嬢様じゃなくて『ナギ』だ。何度言えばわかるんだよ。あと二人きりの時は敬語禁止」
幸せに溢れる夫婦のように。
「あ…。すいませ…ごめん。じゃあ行こうか、ナギ」
「……ふん」
でもそんな事、一樹には恥ずかしすぎて言えるわけがないのは重々承知しているから、と私は一樹に差し出された手を握りながら苦笑する。
「ちゃんと良い写真を撮ってやるからな」
「期待してるよ」
だからその言葉は閉まっておこうと思う。
二人の写真が納まる、このアルバムの中に。
End
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