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関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。 過度な期待はしないでください。
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どうも、相変わらず深夜更新、関ヶ原です。
今回の小説もハヤヒナ小説。お題小説が五月病というタイトルだったんですが、欝気味な二人が想像できずこんな結果に。
ヒナギクはほとんどしゃべりませんので、あしからず。
それではどうぞ~♪




 夏に向けて緑の葉が茂る五月、有名進学校である白皇学院は、重大深刻な事態に陥っていた。

「ヒナ」
「ん~…」
「…ヒナ」
「ん~…」
「……ヒナギク!!」
「ん~…?」
「はぁ……、駄目か」

 学院内に聳(そび)え立つ時計塔の頂上、生徒会室の会話だ。
 綺麗に整頓された生徒会室には、花菱美希と桂ヒナギクがいた。
 その生徒会長であるヒナギクの机には、大量のプリントが詰まれ、今にも崩れそうだ。
 その光景を横目に、美希はその席の主に話しかける。

「どうしたんだ、一体?お前がこんなに仕事に精を出さないなんて」
「ん~、なんか、やる気がでないのよねぇ…」

 親友である美希の言葉にも、ヒナギクは空返事だった。
 プリントで埋もれそうな机のわずかなスペースに頬をつけ、ダルそうにしている。

「ヤバイ…。これは、相当だ…!」

 白皇学院が陥った状態、それは、生徒会長が無気力になってしまったことだった。





『五月病』





「ヒナギクさんが五月病!?」

 ヒナギクの状態に危機感を抱いた美希が相談したのは、クラスメイトでヒナギクと唯一親密な関係の男子生徒である綾崎ハヤテだった。
 クラスで三千院ナギや瀬川泉と会話していたところを呼び出し、冒頭のようにヒナギクの様子を伝えた。

「でも、ヒナギクさんに限ってそんな…」
「私だってそう思いたいよ。でも、何度言っても、ヒナは空返事で仕事をしようともしないんだ」

 初めは信じられないといった表情のハヤテだったが、美希の真剣な表情を見て本当だということを知った。

「このままでは仕事が溜まりに溜まって…、私たちが仕事をしなくてはならなくなる!!」
「いや……だったらやりましょうよ」
「ヒナギクがやるような仕事を、私が出来るとでも?」
「……なんで生徒会に入ったんですか」

 ふん、と胸を張る美希に心底呆れつつも、無視できない事態には変わらない。

「(とりあえずヒナギクさんに会いにいくか…)」

 美希に了解したことを伝え、ハヤテは生徒会室へと歩き始めた。



 …



「で、こうして来たわけだけど……」

 エレベーターが最上階を伝え、生徒会室のドアを開けたハヤテが目にした光景は本当に凄かった。
 床一面に散乱したプリント、使ったまま放置された紅茶のカップ、etc…。
 いつもと明らかに違う。

 ハヤテはごくりと喉を鳴らすと、ゆっくりと『生徒会長』の机に向かった。

「ヒナギクさーん…?」
「………」

 その散乱するプリントを除けながら着いたその席の主は、静かな寝息を立てていた。
 机の上で腕を組み枕代わりにしながら、すーすー、と気持ちよく眠っている。
 恐らく枕を作るときに腕がプリントに当たってしまったのだろう。

「…寝てるな…」

 無気力なヒナギクがどんなものか、内心びくびくしていたハヤテはホッと安堵の息をついて、ヒナギクの肩に自分の上着を乗せた。

「仕方ない。僕がやるか…」

 幼さが残る寝顔を見てハヤテは優しく笑って、散らばるプリントに手を伸ばす。

「ん……?」

 一枚、二枚…と拾っていくと、ある一枚のプリントに目が留まりハヤテは動きを止めた。

「…………はは、そういうことか」

 それは雑誌の切り抜きだった。
 ページには『彼氏にもっと好きになってもらう十の法則』とある。
 ハヤテの目がいったのは、中でも『違う一面を見せること』だ。

「こんなことをしなくても…、僕はヒナギクさんのことが大好きですからね」

 そう言って、ハヤテは静かに寝息を立てるヒナギクの髪を撫でた。

 恐らくこうだ。読んでいた雑誌にこの記事を見つけたヒナギクは早速実行に移そうとした。
 しかし違う一面というのも簡単には思いつかない。
 暫く考えて、そこで思いついたのが『五月病』だ。
 ヒナギク自身自分の責任力の強さを理解しているだろうから、その責任力を放棄してみるのはどうだろうか、と考えたに違いない。
 五月病に見せかけた、ハヤテに甘えたいという気持ち。
 それが今の状態の正体だった。

「全く…本当に可愛い人だな…」

 ハヤテとしては嬉しくて仕方がなかった。
 ヒナギクの目が覚めたら、取りあえずキスでもしてやろうと心に思いながら、ハヤテはウキウキとプリント拾いを再開したのだった。



 五月の白皇学院の日常は、こうして平和に過ぎていく。



End

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無題
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マリン 2009/05/16(Sat)12:57:09 編集
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ハヤヒナ小説とかイラスト書いてます。
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