関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。
過度な期待はしないでください。
Top | ハヤヒナSS | あやさきけ | イラスト | 日記 |
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
東京都練馬区に、広大な土地がある。
その土地に足を踏み入れれば、まるで外国にいるかのような錯覚に陥り、しかし表札をみればやはり日本に自分はいるのだ、と何故か安心を覚えてしまう。
そんな土地の所有者の名は、表札には『三千院』と書かれている。
そう、ここは世界でも指折りの大富豪、三千院家の屋敷。
まるで一つの国のように馬鹿でかい土地。城のような豪邸。
何故かある湖。そして森のような庭。
そんな中、三千院家の豪邸から少し離れた所に、三千院家の豪邸とは雲泥の差もある一軒家があった。
表札には『綾崎』。
これからお話するのは、そんな『あやさきけ』の平凡な物語である―――。
その土地に足を踏み入れれば、まるで外国にいるかのような錯覚に陥り、しかし表札をみればやはり日本に自分はいるのだ、と何故か安心を覚えてしまう。
そんな土地の所有者の名は、表札には『三千院』と書かれている。
そう、ここは世界でも指折りの大富豪、三千院家の屋敷。
まるで一つの国のように馬鹿でかい土地。城のような豪邸。
何故かある湖。そして森のような庭。
そんな中、三千院家の豪邸から少し離れた所に、三千院家の豪邸とは雲泥の差もある一軒家があった。
表札には『綾崎』。
これからお話するのは、そんな『あやさきけ』の平凡な物語である―――。
『あやさきけ』
「こらぁ!!」
広大な土地に不自然に建つ綾崎家から、女性の怒号が聞えてくる。
そのすぐ後に、どどどど、と元気な足音が。
中を覗いてみれば、リビングらしき部屋のドアが行き成り開いて、小さなTシャツオバケが飛び出してきた。
「パパのTシャツを返しなさい!」
そしてそのすぐ後ろから、怒号の主かと思われる女性が出てくる。
肩まで流れる美しい桃髪、美しい顔立ちに意思の強そうな琥珀の瞳。
彼女の名前は綾崎雛菊(旧姓 桂)。この綾崎家のお財布を握る女性だ。
そんなヒナギクは、意思の強い目を吊り上げてTシャツオバケの後を追う。
彼女の出て行った後ろでは、何やら衣服が散乱していた。
だだだ…っ。
さて、オバケはヒナギクの声には従わず、猛スピードで廊下を掛けてく。
そんなに長くない廊下なのだが、オバケの歩幅が小さい所為か、直ぐには廊下の終点である部屋には着かないようだ。
それでもせっせと、オバケは一目散に廊下を駆け抜けて――
すてーん。
コケた。
どうやらTシャツの裾に足を引っ掛けたらしい。
その様子に、しめた!とばかりにヒナギクが駆け寄っていく。
そしてTシャツを捲り、
「…いたーい」
「Tシャツ勝手に持っていく行くから、バチが当たったのよ」
Tシャツの中から出てきたのは、オバケでもなんでもなく、一人の可愛い女の子であった。
肩の上で切りそろえられた桃髪や、端正な顔立ちから、ヒナギクの娘であるとわかる。
というか、ヒナギクと瓜二つである。
違うといえば、ヒナギクのような意思の強い瞳ではなく、優しげな空色の瞳を持っている、ということぐらいか。
「Tシャツぐらいでなんでバチが当たるのよ!ママ!」
そんな少女は、空色の瞳に涙を浮かべてヒナギクに言う。
気持ちいくらいのコケッぷり。なかなかに痛かったのだろう。
「あのね、人が洗濯物を畳んでいるのに、畳み終わった服を散らかしたのは誰?」
「う……」
ため息とともに呟かれた言葉に、少女がたじろいだ。
……成るほど、ヒナギクの背後に見えたあの散乱した洗濯物はこの少女の仕業らしい。
「だ、だって…。パパのTシャツって、とっても良い匂いがして気持ちいいんだもん!」
「その気持ちは痛いほど分かるけど!ダメなものはダメ!!」
「えー」
「えーじゃないの。ほら、あなたが散らかした服畳みなおすから来なさい、愛花」
ため息とともにヒナギクは愛花と呼ばれた女の子の手を掴んで、今来た道を戻って言った。
少女はその間「ドナドナドナ~」と歌い、ヒナギクから「どこで覚えてきたのよそんな歌」と、更なる呆れの言葉を頂いた。
綾崎愛花。今年で六歳を迎えるこの少女は、先ほど述べた通りヒナギクの娘であり、綾崎家の第一子である。
愛花という名前は、愛情を注げば注ぐほど綺麗に咲く花のように、愛情を持ってこの子を育てようという、両親の決意から来ている。
見からもわかるように、好奇心旺盛で活動的。
ヒナギクからいつも叱られているような子供であった。
産まれたときから様々な大人たちに囲まれ、特に三千院家の領主である三千院凪が彼女にもたらした影響は、大きい。
「ねーママー」
「なによ?」
渋々洗濯物を畳みながら、アイカはヒナギクに言葉をかけた。
ヒナギクがアイカの方を向く。
「そろそろアニメが始まるから、洗濯物はおしまいにしよう!」
「畳みながらでも見れます。続けなさい!」
アイカの提案をヒナギクが一蹴。しかしアイカもめげない。
「で、でもほら…!その場の臨場感を楽しむために、洗濯物を畳みながらだと…」
「意味分かって言ってる?というか、アイカが蒔いた種なんだから、責任持って最後までやりなさい。私だって手伝っているでしょ?」
「うぅ…!ママのケチー!パパに嫌われちゃえー!!」
「はいはい。わかったわかった。それからね、パパが私を嫌いになるなんて、ありえないから♪」
アイカの言葉は、ヒナギクにあっさり流された。
ご覧の通り、アイカがアニメ好きなのや、家事が余り好きではないのは、ナギが影響している。
本当に小さいときからナギと遊んでもらったアイカは、そのナギから色々な事を伝授された。
かれアニメは深夜に限るだの、家事はメイドや執事がしてくれるだの、ヒナギクにとっては頭が痛くなるような事ばかりアイカは覚えていた。
ある意味、ヒナギクの姿をしたナギのような。
これで頭も良いのだから、ヒナギクは「ナギだわ…」と頭を抱えるしかない。
そんなこんなで洗濯物は無事畳み終わり、アイカはナギの家へ遊びにいった。
三千院家の領地に家があるのだから、一人でも大丈夫なのだ。
遊びの目的が『もう直ぐ始まるアニメを一緒に見る』というのはどうなのかはさておき。
アイカがナギの所へ行っている間、ヒナギクもまた出掛ける。
といってもアイカと同じく、目的地は三千院家の領内なのだが。
手にはお弁当らしき包みが二つ。
家の鍵を掛けて、歩くこと十分。
たどり着いたのは、銅像などが並ぶ道だった。
何体も並ぶ銅像の中に、動く影が一つ。
遠くからではよくわからないが、どうやら青年のようだ。
ヒナギクはその影を見つけると、顔を綻ばせて、その影に近づいていく。
そして背後に回ると――、
「ハヤテ―――――――――――――!!!!!!」
「おわっ!?」
勢い良く抱きついた。
ハヤテと呼ばれた青年は、ゆっくり顔をヒナギクに向ける。
綾崎颯。彼こそがヒナギクの夫であり、アイカの父だ。
そんなハヤテは空色の髪、優しい瞳も空の色。
振り返った一見女性と間違えてしまうような顔立ちが、苦笑いを浮かべていた。
「ヒナギク…。いきなりはビックリするんだけど」
ハヤテの言葉に顔を赤らめながら、ヒナギクは答える。
「だって…。早く会いたかったんだもん」
「それは嬉しいんだけど…。それより、何か用?」
「用がなかったら来ちゃダメ?」
「いや、悪くないけど」
ヒナギクの持つ包みにハヤテが気付くと、「ああ」と、
「もうお昼なんだ」
「そ。だから一緒に食べようかなって思ったの」
「アイカは?」
「またナギの所よ。アニメを一緒に見るんですって。全く…」
ため息をつくヒナギクを見て、ハヤテがクスリと笑った。
「はは。お嬢様にアイカを取られて、不服そうだね、ヒナギクは」
その言葉にヒナギクの顔が真っ赤になる。
「なっ…、なに言ってるのよ!?ただ、アイカがナギにまた変な事吹き込まれないか心配してるだけなんだから!」
「はは、分かった分かった。じゃあお嬢様がアイカに変なこと言わないか心配しながら、お弁当食べようか」
「~~~~!もう!」
更に顔を赤くするヒナギクを愛しそうに眺めながら、ハヤテは弁当の蓋を開けた。
時は経って、夕刻。
ナギの家でアニメを堪能したアイカは、ご機嫌で帰宅した。
「ただいまー」
玄関を開けて、そう言った。
しかし、いつも返ってくる返事は、返ってこない。
「あれ?」
おかしいなー、と思いながら、取り敢えずリビングへ向かう。
「パパー?ママー?」
リビングのドアを開けて、中を覗く。
部屋の明かりは点いておらず、窓から差し込むオレンジの光が、室内を照らしていた。
「あ……」
その中に。
「すぅ……すぅ…」
「…………」
三人用のソファに、肩を寄り添いながら眠る両親の姿があった。
「何だ、寝てたのか」
幸せそうに眠る両親を見ながらアイカはそう呟くと、
「………なんか、私も眠くなってきたな…」
小さく欠伸をして、両親の間に潜り込んだ。
「あーあ、夕飯は遅くなるなぁ…」
眠りやすい体制を整えた後、ため息をつきながらアイカはそう言うと、
「ま、いいか…。おやすみ、パパ、ママ…」
ゆっくり目を閉じた後、静かな寝息を立て始めた。
この数時間後、すっかり遅くなった夕食を可笑しそうに食べる綾崎家が見られるのだが、その話は置いといて。
あやさきけの日常は、こんなものである。
End
PR
この記事にコメントする
無題
いえいえ、読者の皆様の意見というのは大変貴重なものです。
リクエストとは別に、こうしたほうがいいのではないか、こうしたほうが絶対いい、という意見も、とても参考になってくれるんです。
実際前の小説をどう書いていたか、あまり記憶がないので、旧サイトからコピペしたのを修正して、このサイトに載せようと思います。
新作が出来る間、その作品でこのサイトを楽しめていただけたら幸いでございます。
リクエストとは別に、こうしたほうがいいのではないか、こうしたほうが絶対いい、という意見も、とても参考になってくれるんです。
実際前の小説をどう書いていたか、あまり記憶がないので、旧サイトからコピペしたのを修正して、このサイトに載せようと思います。
新作が出来る間、その作品でこのサイトを楽しめていただけたら幸いでございます。
カウンター
カテゴリー
小説は下へ行くほど古いものになります。
最新コメント
リンク
ブログ内検索
最古記事
(02/04)
(02/04)
(02/04)
(02/04)
(02/04)