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関ヶ原の書いた二次小説を淡々と載せていくブログです。 過度な期待はしないでください。
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俺が三年前、初めて書いたハヤヒナ小説。
関ヶ原の小説は、ここから始りました。
まぁ処女作だけあって文章も酷く、読んでいて「うわぁ…」と呟いてしまう程でした。
これも再編集して、UPしました。
といっても稚拙な文章には変わらないのですが(汗)
それではどうぞ~♪





『陽だまりの下で』




 太陽の光が暖かくなりはじめた昼休み。
 綾崎ハヤテは一人、学校の桜の木の下にいた。
 いつも一緒にいるナギは、読みたい漫画があるからということで学校を休んでいる。
 ハヤテは相変わらずの主人の様子にため息をしつつ一人、学校へきていた。

「…はぁ。お嬢様がいないと学校も何だか…」

 心地よい日差しに照らされながらハヤテは一人呟く。

「…張りがないというか…」

 執事になったばかりの頃はナギの行動に振り回されっぱなしだった(まぁそれは今でもかわらないが)ため、そのナギがいないとなんだか調子が狂う。

 ……毎度毎度は勘弁願いたいが。

 そうした矛盾を感じる中、昼食を食べ終えたハヤテは、特にやることがなく、かといって帰るわけにもいかないので、こうやって寝転んでいるわけなのである。

「いい天気だなぁ…」

 本日は晴天ナリ。
 見上げる空は雲一つない青空が広がっている。
 陰りのない澄み切った蒼と春の陽気は、嫌でも人を眠りの世界へと誘う。
 それは、ハヤテも例外ではなかった。

「こんないい天気…。お嬢様も部屋にいないで外で遊べばいいのに――」

 木陰に入り、空の蒼さと心地よい風を感じながら、ハヤテはゆっくりと瞼をとじる。

「(そう言えば授業……もう少しで始まる――)」

 数分後、気持ちの良さそうな寝息が聞こえてきた。



 …



「(――ん…?)」

 睡魔の世界から、ハヤテは頭に暖かいものを感じて目を覚ました。

「(あれ…?いつのまに寝ちゃったんだろう…?)」
 まだ覚醒に至らない脳を何とか動かし、ハヤテは重たい目蓋を僅かに開けた。

 すると。


「―――――っ!?」

 薄らと開けた眼前に飛び込んできた光景に、ハヤテは思わず息を呑んだ。

「(な、な、ななな……!?)」

 覚めきってない頭が一気に覚醒。
 その光景に、まだ自分は夢を見ているのでは、と錯覚してしまった。

「(な、何で……)」

 まぁ、それも仕方がないといえば仕方がなかった。
 何故なら。
 うっすらと目を開けたハヤテが見たのは、美しい桜色の髪と――、

「(ヒ、ヒナギクさんが…!?)」

 ――想いを寄せていた少女の顔だったからだ。

「(というか、もしかしてこの頭に当たる素晴らしい感触のものは―――!!)」

 何故想い人がここにいるのか、その疑問を遥かに凌駕してしまう状況に自身が置かれている事に、ハヤテは頭がパンクしそうになった。

 ハヤテはヒナギクに、いわゆる『膝枕』をされていた。

 予想することすらなかった状況に、ハヤテの心臓が高鳴る。

「(うわ…凄い柔らかい…)」

 頭から湯気が出そうだった。
 正直言って、理性が持つ自信がなかった。
 それでもハヤテは、何とか起きていることを悟られないように寝たふりを続けつつ、ヒナギクのひざ枕を堪能する。

 ……想い人が自ら膝を提供してくれているのだ。堪能せずにどうする。

 生まれたときから不幸がバッドステータスとして認識されないハヤテは、正に今幸せの絶頂だった。
 果報は寝て待て、というが、寝ていたら本当に願ってもない幸福が訪れた。

 好きな人から膝枕をしてもらえる、という幸福が。

 ――だが、次のヒナギクの行動は、そんなハヤテの幸せ指数を限界突破させることになる。

「(うわー、なんでこんな柔らかいんだろ…?ってか僕、幸せ過ぎて死んだりしな――んん!?)」

 ハヤテの思考を遮ったのは、唇に当たる柔らかなモノ。というか、この状況ではヒナギクの唇以外ありえない。

 なんてことはない。ヒナギクがハヤテにキスをしたのだ。

「(な…な…)」

 突然のヒナギクからのキスに、声を上げるわけもいかず、そして柔らかいヒナギクの唇の感触にハヤテはもう考える力を無くしていた。
 ただ、幸せ過ぎて死んでしまうことを割と本気で懸念していた。
 数秒…、数十秒過ぎて、ヒナギクはすでに起きているハヤテに気付くことなく唇を離した。
 唇を離したヒナギクの顔はこれ以上ないほど赤く、また幸せに満ち溢れているように見える。

「(ヒナギクさん、真っ赤だ…)」

 キスによる酸欠と嬉しさに意識が朦朧とする中、ハヤテはヒナギクの顔を見て思う。

 “ヒナギクさんはなぜ自分にキスをしたのか”

 と、いうか何故ここにいて、膝枕?
 想い人とキスをすることが、嬉しくないわけがないし、現に幸せの絶頂にいたといっても過言ではない。
 キスされた瞬間もそりゃあ幸せで飛び上がりそうだったし、頭も本当に『ぱ―――ん!』といきそうだった。
 だがそんな、知恵熱と別な熱に頭がどうにかなりそうだった半面、冷静な部分で考えてみるとどう考えても戸惑いを覚える。

 そもそも、自分達は恋人ではない。
 ヒナギクのことは好きであっても、ただの片思い。

 自分は借金執事で、彼女は才色兼備の生徒会長の関係だ。
 到底、いくら好きになろうが叶わない恋なのだと…そう、思っていた。
 思っていたからこそ、こんなに動揺してしまう。
 ヒナギクは自分を好きなのではないか、そんな確信のない期待を抱いてしまうから。

「(なんなんだ…)」

 期待したい、でも確信がない。
 そのもどかしさの波に揺らされ、ハヤテはもうどうしたらいいか分からなかった。
 何をすれば、何を言えばいいのか。

 キスの名残が、想いが、ハヤテの胸を燻らせる。
 春の日差しがより眩しくなる中、迷う彼を答えに導いたのは、結局は彼女だった。


「――好き」


 期待と戸惑いの葛藤の中、ハヤテの耳に飛び込んできた声。
 聴き間違えるはずが無い、彼女の声。

「―――!」

 ハヤテの身体を、何かが貫いた。
 ハヤテの頭を優しく地面に下ろし、ヒナギクは走り去っていく。
「…そういうことか…」
 残されたハヤテはぽつり、そう呟き、
「彼女も同じだったのか…」
 喜びに身体を震わせる。
 釣り合いなんか関係なかった。
 自分は彼女を想って、彼女も自分を想ってくれていた。
 ならば、自分のすべき事はもうわかっているんじゃないか。
 不安に足を踏みとどませていては、駄目なのだ。
 踏みとどめた一歩を、踏み出すこと。
 『想いを伝える』こと。

「―――よしっ!」


 ハヤテは頬にビンタを一発くらわせて立ち上がった。
 決意を抱き、目指す先は言うまでもない。こっそりと背中を押してくれた彼女の元へ。

 先走る気持ちを押さえ付け、ハヤテは一歩を踏み出した。
 その一歩は、しっかりと地を踏み、この陽だまりの下を、駆けて行く。


 少年と少女の物語が始るまで、あと少し。



End











ハヤテ「ところで、なんでヒナギクさんはあそこに?というかなんで膝枕?というか授業は?」

ヒナギク「……ハヤテ君が寝てたのを見かけて…気持ち良さそうで、起こしたらかわいそーかなーって思いながら寝顔見てたら、なんか授業とかどうでもよくなっちゃて…」

ハヤテ「……膝枕は?」

ヒナギク「昼休みにね、美希たちが『男の子の夢は膝枕だ』って言ってたの思い出して…」

ハヤテ「………キ、キスは?」

ヒナギク「…………さ、察しなさいよ、バカ……」

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